Jin side 23-1.
僕にとって。
待ち侘びた再会だった。
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『ごめんね、僕ばっかり一気に喋っちゃって』
きちんと順序立てて話すべきだったけど、既にめちゃくちゃだ。
多分、ヌナは何が何だか分からないだろう。
とにかく。
ヌナに会いたかった。
ヌナに謝りたかった。
もう一度。
ヌナの手を取りたかった。
前のめりな気持ちが自分勝手に先走ってしまい、まだこの部屋に入ってからヌナの声を聞いていない。
『ごめんっ、ヌナ...ヌナに対して僕がどうこう言うとか、何ができるとか、そんなのひとつもないって分かってる。ヌナの気持ちもまだ分からないのに、こんなところに連れてきて一方的に話して、ごめん...』
春の幕開けにも程遠いのに、僕の手のひらは汗でびっしょりだ。
強く握ったジーンズは色が変わっていた。
『本当...こんなところに...』
やっと聞かれたヌナの声は、呆れそのものだ。
『本当にごめんなさいっ...こんな話、どこでしたらいいか分からなくて...いきなり僕の部屋なんてヌナに失礼だと思ったし、ヌナの部屋に僕なんかが行っちゃいけないし、道端で話すことでもないし、まだ寒いし...それでっ!それで...』
『それで...友達の部屋?』
ここは、ナムジュンの部屋。
僕たちの集合場所だ。
『...ごめんなさい...』
『そしてもれなく、仲良しさんたちもついてくるわけだ?』
ヌナと僕が向かい合って座るその様子を、柱の奥の小さな台所から見つめる6人分の瞳。
『いやっ...あのっ...そうだよね!なんで、まだいるんだろ、ははは!大切な話するって言ったんだから出て行ってくれればいいのにさっ!ねっ!はっ、はははっ!』
せめて、こちらから見えないように奥に隠れろ、と必死に手で払うが言うことを聞かない。
カフェから、どうやってヌナとここまで来たんだろう。
あの背中を見てすぐ分かったんだ。
一生懸命、本を読む時の姿勢。
声をかけるのは、正直迷った。
でも、その迷いより先に心から声が出たような気がした。
ヌナ。
愛しいその人を目前にして呼びかけることは、一体どのくらいぶりだっただろう。
ヌナ。
震えて聞こえる僕の声は、とても頼りなかった。
ヌナ。
こちらを向いて、目が合った途端。
胸が一気に熱くなった。
今までにないほど、心臓が強く打たれた。
本当に僕は。
自分のことばかりで泣きたくなるほど情けないけど。
もう一度、ヌナに恋をした気分になったんだ。
つづく→