JIN side⑦-1.
関連するお話しはこちら↓
光を避けて、闇の中を歩き続ける。
ヌナのことが少しずつ分からなくなっていく感覚は、まるで、誰かが僕の背負うべき過去の大罪を思い出させるように仕向けているみたいだった。
ヌナは、温かくて優しくて強くて。
どんな時でも僕を包んでくれる。
世界中の愛を集めたってヌナには敵わない。
そのくらい、ヌナはすごいんだ。
そんなヌナが。
僕なんかを本当に愛してくれているのか、不安に思い始めたのは「彼女」と出会ってからだ。
「彼女」もまた、僕らと同じように愛を求めて彷徨う人だった。
そうなんだ...
みんなそうなんだ。
僕たちだけじゃない。
どんな人だって。
全ての人が問題を抱えている。
じゃあ、ヌナは?
どうしていつも優しくしてくれるの?
どうしてヌナの心はいつも温かいの?
どうして何があっても強いの?
あの日。
覚醒後の僕をヌナは見てくれなかった。
何度も会いたい、話したい、って言ったけど、はぐらかされた。
よく考えれば当たり前のことだ。
僕にやましいところがあると、僕自身も認めていたから取り乱した。
それに勘付いたヌナが僕にとった行動は別に何もおかしくない。
それでも。
今までのヌナとは違う反応に、ヌナの人間らしさに触れた瞬間、僕は身勝手にもヌナに対して怒りを覚えた。
...人間らしさ...?
僕はヌナを...なんだと思っているの?
つづく→