東条side11-2.


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→つづき


彼を過去へ送ってから、所長と俺の2人で監護を続けているからさすがにヘトヘトだ。


そろそろ二か月か。

彼の様子を確認する際、所内の人間には外出だと話してあるが、その言い訳もなかなかキツくなってきた。


彼は遡る過去が10年と少しだったから覚醒は年を越すかも知れない。


瑞上に話すか?


いや...今さら、か...


意識転送について本当のことを話さずにここまで来てしまったことに、罪悪感以外の何物でもない、重く冷えた水が、俺の心に毎日注がれている気分だ。


それは眠った彼を見ているときでも同じだった。


ざまぁみろ、と思えたのは最初の数日くらいで、これが最善策だったか。

今となっては愚問だ。



そういえば。

あいつ、ちゃんと泣いたんだろうか。

もう限界ってところまで感情を外へ出せたんだろうか。


俺が公園で泣き上げた、あの日のように。



『オモニ。久しぶりだね。今日行きたいんだけど大丈夫?俺と...友達を1人連れて行くよ。外の席がいいんだ』


うまいもん食わせて、背負った荷物を下ろさせてやらなきゃ。


しかし...

どうやって誘ったもんか...




*******


「ちゃんと泣いたのかって聞いてんだよ」


「うっ...せんぱっ...


「違うだろ。俺じゃなくて?」


悔しいよ。

こんなになるまでお前の心を掴んで離さない存在が俺じゃないなんて。


「ッ...ジッ...ジンッッ...


泣きじゃくりながら彼の名前を呼ぶ彼女の声を、一番聞きたくないのは俺だ。


「泣け。もう全部吐き出せ。ここでお前を取り戻せよ」


それでも。

一度、吹っ切れさせなきゃいけない。


もし瑞上と彼との出会いがタイムリープを越えてまでも変えられない運命だとしたら。

いつかきっと、再会の日が来てしまうから。


その日までに、瑞上に少しでも俺が必要だと思ってほしい。


彼と俺。

天秤にかけられるくらい、瑞上の心に俺の居場所が欲しい。


泣かせてごめん。

辛い思いをさせてごめん。

無理矢理、彼と引き離すようなことをしてごめん。


でも、信じてほしい。

本当に、愛してるんだ。