七七日の日取りが決まったのは、当日の6日前、当初、兄妹衆や姉夫婦を迎えて行う予定の彼岸に入る前の休日だった。霊園の手続きやら、戒名をつけるためのFAXやらに忙殺されて、母の実家である中沢の本家に日取りを伝えたのが、法要の三日前だったと思う。
中沢の叔父さんが電話に出たので日取りを報告すると、「わかった」と答え、「その日は(長女の)けば子(仮名)の(嫁ぎ先の)家の新築祝いだったなぁ」と言った。
なんと、中沢の叔父さんは実の姉の納骨の日に家から遠いから出ないと言ったばかりでなく、娘の新築祝いが母の納骨の日取りの予定日だったことを伝えていなかったのだ。しかも自分も新築祝いに出席するという。
「この叔父は姉の納骨の日に娘の新築祝いをさせても平気なのか...新築祝いの日取りをずらすとか考えなかったのだろうか...」
しばし絶句!
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七七日が終わった二日後だったと思う。分家の麻畑の叔父さんが、中沢の叔父さんに自分の家が決めている坊さんと同じ臨済宗を勧めていると言っていたのを思い出した。
「麻畑の叔父さんには臨済宗を勧めているそうですが、ぼくには特に何も言ってくれなかったですよね?」とぼくは聞いた。
すると、叔父は、
「お前は分家ではないから、そっちの本家の宗派に合せればいい。こっちに合わせることはないだよ。おれは(次男)のたかし(仮名)にも(臨済宗を)勧めてる」と、こともなげに答えた。
ぼくは生前、母から叔父さんの家のことを、本家、本家と聞かされてきたので、「分家ではない」と言われたことにショックを受けた。
「そんな、分家でないって...」とぼくはあせって心のなかでつぶやいた。
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ぼくは困惑しながら、麻畑の叔父さんに再び電話し、
「中沢の叔父さんに、ぼくの家は分家ではないから合わせる必要がないといわれてしまった。ぼくの家は分家ではないの?」と聞くと、
それまで、ぼくが「分家」、「分家」と言っても何も言わなかった麻畑の叔父さんが、「兄貴のいうことが正しいだよ。」とそっけなく言った。
「おまえの母さんが嫁いだ家がおまえの本家だけん、おまえのうちは中沢の分家ではないよ。」と続けた。
つね日ごろ、母が叔父がなくなったときに中沢の叔父さんが兄妹衆に3万円しか相続しなかったことを怒って、遺産の相続権を再主張すると言って、中沢の叔父さんをビビらせていたときも、麻畑の叔父さんは「おれの本家だけはなくさないでくれよ」と母に懇願したものだ。
ところが、母が死んだとたん、手のひらを返したように「おまえの家は中沢の家とは無関係だ」といわんばかり。この無節操ぶりにはらわたが煮えくりかえった。
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母は本家を継ぐ甲斐性のない中沢の叔父さんに見切りをつけて、母が亡くなった後、ぼくの保証人やらなにやらを麻畑のおじさんに頼んでくれていた。
麻畑のおじさんは若いとき失業していたころがあり、父のところで世話になったことがあるから、母には恩があるはずだと言っていた。
それなのに、麻畑の叔父は続けていった。
「どこの家も分家の当主になったら、自分で関係を切り開いていくしかないだよ」
まるで、ぼくの面倒をみるのも放棄しようといわんばかりである。
ぼくはついにキレて言ってしまった。
「中沢の叔父さんがぼくの本家だと思って、叔父さんたちのために葬式やら七七日やらやってきたのに...ぼくは生保だし、母に縁切りされた身だから、いわば他人。しかも障害者だ。そんな障害者をひとりにして姉の七七日をやらせて、兄妹である自分たちは何もしない。それを世間の人が観たらなんと言うでしょう?」
すると、麻畑の叔父は「そんな理屈は通じないよ」と言ったので、「いや通じますよ」と言うと、急に不快になり「野良(畑)があるからごめんよ」と言って電話を切ってしまった。
その後、佳山の叔母さんに電話して話しているうちに、気持ちが落ち着いてきたので、その夜、麻畑に電話したら、ちょうど夜勤でいないからかけ直してくれという。
翌日電話をかけると、釣りに出かけたから、またかけ直してくれというので(つうか電話してこいよ、ボケ)、叔母さんに「これからは中沢の叔父さんと呼ぶことにします、と伝えてください」と言って電話を切った。
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その後、小坂の叔母さんに七七日が無事終わったことを告げると、「ご苦労さまでした」とひとこと言ったきり、早々に電話を切り上げてしまった。
なんだか母の兄妹衆全員に嫌われてしまったようで落胆し、その後、数日電話していない(たまには電話してこいよ、ボケ)。
今日、七七日に撮った写真をアルバムに入れて手紙とともに発送し、七七日の報告も終えた。本来、兄妹衆や姉夫婦が来れば、そんなものも作らずに済んだのに...来ないことで返って手間がかかり、母宅の片付けが遅れるということを分かっているのだろうか...(遅れた分の家賃払ってくれよ!)
明日からまた、物を収納スペースに置くための知的・肉体的格闘が再開する。もうすでに心身ともにガタガタだけど、なんとかなるかな。