ショパンはピアノ演奏会用ワルツを生涯に19曲遺しています。
が、それぞれの曲で、微妙にタイプ、雰囲気が異っているようです♪
牛田智大さんが、現在、準オールショパン・プログラムのリサイタルでも披露されている
ショパン ワルツ 第5番 変イ長調 Op42
ワルツ 第5番 エリック・ルー
1840年に作曲。
左手の3/4拍子のリズムに対し、右手が違ったリズムで主題を奏でる一種のポリリズム的な、面白いアプローチで始まり、華やかで目まぐるしいグランドワルツが続きます。
工夫の多いテーマ展開をしつつ、統一感を形作ってゆく、なかなか熟練された仕上がりのワルツと言えそうです。
ワルツは、古くはヨーロッパで農民の踊りの、ヴェラー として、13世紀に発祥したと言われています。
19世紀前半にはヨハンシュトラウス1世、更に19世紀中盤以降はヨハンシュトラウス2世の、ウインナーワルツがヨーロッパ中で、主に舞踏会用のワルツとして人気を博しましたが、ロマン派以降の作曲家は、オーケストラ曲、ピアノ曲などでも、おおまかには実用的な舞踏会用ワルツと、そうでない演奏会用ワルツを、様々な形で生み出してゆきました。
ショパンもまた、ワルツに惹かれ、ピアノ曲として生涯にわたり、ワルツを作曲していますが、
社交界・舞踏会の雰囲気を思わせるものから、抒情詩としてのワルツ、踊りを殆んど意識しないものまで幅広く生み出しています。
また、演奏的には高い技巧を要するものは比較的稀で、当時のサロンに集うアマチュア向けに書かれたものが多いと推測できます♪
有名な 第1番 華麗なる大円舞曲 変ホ長調 Op18 は、とても明朗華麗な”舞曲調”の代表であり、曲の規模も大きめです。
第2番 華麗なるワルツ 変イ長調 Op34-1などと並んで、舞踏会で踊られる華やかな社交的ワルツのイメージが濃い代表的な作品といえるでしょう。次々と提示される主題群は、どれも華麗ですし、タイトルにもれなく「華麗なる(ブリリアンテ)~」と付けられています。
尚、上記2作、牛田さんは過去に披露されてます。
「華麗なるワルツ(円舞曲)」と題されたものには、第4番 ヘ長調 Op34-3 俗称「猫のワルツ」もあります。
牛田さんのデビュー当時、盛んに弾いておられ、今年のリサイタルシリーズにも、当初予定されていましたが、第5番に変更されたようですね。
最も初期(18歳頃)に作曲された、第10番 ロ短調は、素朴な哀愁に満ち、踊るための曲では明らかにないようですね。 牛田さんもデビューアルバムに収録してますね。
牛田智大(10歳時) ショパン ワルツ第10番
ショパン・ワルツ 第14番 ホ短調 遺作 キーシン
これもショパンの若い時期の作品ですが、情熱的かつ技巧的で、弾かれる機会もとても多いです♪
しかし、第10番にしろ、第14番遺作にしろ、”踊る”にはあまり適さないですね
短調で、いくぶん影があるものは、ショパンの内面の表出が遥かに濃くなっているようです。
ニックネームの付いた優美なワルツの一つ、第9番 変イ長調「告別」 中村紘子
最も晩年のワルツになるOp67の3曲
うち特に第6番 変ニ長調「小犬のワルツ」、 第7番 嬰ハ短調は、
(第7番は、ブロ智さんも大好きだそうで、現在、熱心に練習されてる名曲☆彡)
大変にポピュラーなもので、特に後者は独特の哀愁が漂っていて「踊れないワルツ」の代表作と言えるでしょう。マズルカのリズムが微妙に入っているのも特徴です。
牛田智大 ショパンの楽曲中、最も広く親しまれてるものの1つ🐶🐶
ワルツ 第7番 ラテン・ジャズ・アレンジ 小曽根真版
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牛田さん、8月31日の、約半年ぶりとなるリサイタル、サントリーホールのリサイタルでは、今まで聞かせたことが無いような「牛田色」に染め上げた、見事な集中力を見せた感動的なショパンだったそうです。
更に、9月9日、ヤマハホールの昼・夜 2回公演(体力的に大丈夫か?とも思いましたが・・💦)も、サントリーホールとはまた違った、更に進歩したとも言える内容だったとの報告があります。
どちらも、自身のカラーを色濃く出した密度の濃いショパンで、知的かつ情熱的な演奏はファンならずとも、虜にしてしまうほどだったそう
いずれにしてもどこまでも進化しつづける、今はショパンプログラムで、
”かの舞台”に向けても、大変に楽しみな牛田さんですね!!