まだ午後だけど。
笹の葉の匂いが大好きな笹餅フェチのきくっちゃんです。
おとといくらいの『天の川の呪い(だっけ?)』の続きです。
すだっちが、「ほったらかすなよ。きくっちゃん飽きる前に書けよ」て脅すもんで


天の川(byなさん)
で、そもそも銀河系ってさ、直径が10万光年もある上にうちらはその中にいるのに、なんで形がわかるんだ!
ってのを「後編で書きます」って言ったんだけど。。。
すだっち、もう飽きちゃったよ。
どうしよう。。。

ってわけで、自分のテンションを上げるために勝手に章立てにしたいと思います。
相当長いですごめんなさい。
<目次>
第1章『最新の想像図』
第2章『おじいさんと、関係のない若造』
第3章『てんてんしてく』
第4章『崩れない渦巻きのメカニズム』
第5章『夕食ホット、未来へのはばたき』
★第1章『最新の想像図』
僕らのいる「天の川銀河」。最新の想像図がこちら。

直径10万光年。
中心がでっかいうまい棒、まわりが渦巻き。
なので「棒状渦巻き銀河」というタイプみたいです。
うちらの太陽系は、結構端っこのマイナーな領域(オリオン腕)にあります。
それがだいたい2億年周期で自転しています。
えっと、回っとるんですこいつ!
端から端まで光で10万年もかかるこんなでっかい天体が、ぐーるぐーると美しい渦巻きを保ちながら!
★第2章『おじいさんと、関係のない若造』
主人公は二人です。

↑一人目。オタワ大学のヤン・バイツァー博士。
ただのおじいちゃんです。
うそ。宇宙とまったく関係のない地質学者です。
手に持っているのは、「ブラキオポッド」という貝的なサムシングの化石です。
この人ね、世界中の「ブラキオポッド」の化石をしこしこ集めては、貝殻の成分を分析しているおじいさんなのです。

この貝殻中の酸素18という同位体の成分を調べることで
「こいつが生きてたときの地球の気温」がどうだったか分かるんだって。
で過去五億年分の化石を集めて調べたら、、、
うーん。

でもおじいちゃん、いくら考えても調べても原因が分からない。
説明がつかないまま、
えーーーい、もうええわい!って
2000年にネイチャーに事実のみを論文として発表したのです。
原因は分かんないままっす。もっと頑張れよ。
二人目の主人公。

↑ニール・シャビブさん。当時20代のヘブライ大学の宇宙物理学者(若造)。
さっきのおじいさんとは全く関係のないイスラエルの人。
この人は、宇宙から日々降り注ぐ<宇宙線>を調べてたのです。
ちなみに僕らの大好きな日光も宇宙線の一部です。
こやつが、あれこれ考えた結果
・ どうやらある宇宙線が増えると、それが大気と衝突して微粒子が増える
・ それが核となって水滴が成長し雲が出来やすくなる
・ その宇宙線ってば、近くで星が爆発したりしたら飛んでくるやつみたい
ってことに気づきました。
大事なのは、宇宙線が増えると雲が出来る。ってとこです。
テストに出ます。
ちなみに、その爆発ってのは、星が一生の最後で起こす「超新星爆発」で、まあそうめったにあるもんじゃないっす。
だから心配いらないっす。
よっぽど周りに星の多い"銀座"てきなとこなら別だけど。だって。
★第3章『てんてんしてく』
簡単に、天の川の正体を突き止めてきた人々の歴史を
がちゃんぴん書きでまとておきますです。




↑ハーシェルさんの書いた銀河系の形。
ぷぷ。絵へったくそ~、って言ったらあきませんよ。これ、当時の観測技術で一個一個測ってペンで「てんてんした」んだから。そらものすごい頑張りです。
そして判明!
天の川は円盤ぽいで、って。

まとめると、
・ 「星が多い部分=腕がある」。つまりただの円盤じゃなく渦巻きっぽい。
・ 中心はうまい棒みたいなかたまりっぽい
・ 中心の向こう側も同じっぽい
★第4章『崩れない渦巻きのメカニズム』
さて、この美しい渦巻きの腕を持つ僕らの天の川銀河。
よく考えるとちょっと不思議です。
なぜなら、うずまきは普通崩れてゆくものだからです。

もしこの形を維持したまま銀河系がぐーるぐーる回転しているとなると、
外の子、猛ダッシュしないとあかんです。
ところが、観測をしてみると、中心もうちらの太陽系ももっと外の天体も、みんなほぼ同じ速度で回っていることが分かりました。
これ、もしみんなが同じ速度で円運動しちゃうと、外側の子らが「巻き取られ」ちゃうのです。
例えば、ぐーるぐーるしたコーヒーにミルクをたらすと、最初は渦巻きができるけれど、すぐに巻き取られてびよーんってなって、最後はただのカフェラテになっちゃいます。
(あ、ちなみにカフェラテの“ラテ”と、銀河の英語名であるギャラクシーの”ラク”はおなじ語源なのです。どちらもミルクの意味)
で現実の天の川銀河ですが、カフェラテじゃなく綺麗な渦巻きのままです。
どうなっとんねん!
考えられる理由は3つ。

→いや、どうやらほんとっぽい。だめ。

→他の遠くの銀河見ると、けっこう渦巻きだよ。奇跡ってほどじゃない。だめ。

>→これ?
さて、悪魔とかじゃなくてもっと科学的に説明する方法はないものか、とみんなで考えてるとき、リンさんとシューさんって人が面白い説明を提案しました。
それ、ただの模様じゃね?
って。
・渦巻きの腕がずっと同じ星の集まりって考えるから変なのではないか。
・渦巻きの腕の速さと、個々の星の速さは別。
・で、星が渋滞してるところが「濃い腕」なのじゃないか
ものすごい理論です。
銀河のスパイラルアーム疎密波理論といいます。
これ、よく車の渋滞に例えられます。
空から高速道路の料金所を見ていたとします。
他は空いているのに、料金所のところだけ渋滞していたら、、、料金所のところだけ「車が濃い」はずです。
でも、その濃い部分を構成している車はどんどん入れ替わってます。
渋滞の最後尾に付いた車は、やがてその中をノロノロと進み、先頭までくるとまた猛ダッシュします。
「渋滞」という構造がそこにあるけれど、その構成要素の車はどんどん入れ替わって通り過ぎて行く。
これと同じことが、銀河の腕で起きているんじゃないかと。
つまり、僕らの太陽系を例にとると、こんな感じです。

いまはちょうどスカスカ領域にいる僕らの太陽系。
やがてでっかいペルセウス腕に突入して渋滞にはまります。
それをクリアするとまたスカスカ。みたいな。
だから、いま僕らが銀河の寂しいところいいるからって落ち込まなくていいのです。
あと数千万年もすれば銀座を通ります。
そして、もちろん見える星座もぜんぜん違うみたいです。
さて、これ以降、いろんな科学者がコンピューターを使って、この渋滞渦巻きモデルをシミュレーションし
「どうやらこれっぽい」ってことになってきたのです。
でもこでひとつ問題が。
証拠がない!のです。
銀河の回転の時間スケールがでかすぎて、僕らが生きている間に観測しても、なーんも分からんのです。
なにせ一周2億年以上!
なので、この説は面白いけど、どうやって確かめるねん状態だったのです。
そして2003年の奇跡を迎えます。
さきほどのイスラエルの若造ニールシャビブ君は考えました。

・銀河を逆回しして時間をさかのぼると、僕らの太陽系は、どうやら1.4億年ごとに渋滞にハマっていた計算になる。
・ つまり星の銀座にいたわけで、そういうときはしょっちゅう周りで超新星爆発が起こっていた。
・てことは大量の宇宙線が降り注ぎ、雲が出来て地球は寒かったんじゃね?
まとめると
1.4億年ごとに銀河の腕を通るので、地球は寒冷化してたんじゃないか?
ってことです。
もしその証拠がみつかれば、銀河系の渦巻きが保たれている秘密(=渋滞説)が証明できるじゃん!!
そこで若造の彼は、まったく畑違いの地質学関連の論文を手当たり次第に読みまくります。
そしてすべてが繋がる瞬間が。。。
ついに彼は、おじいさん地質学者↓

がネイチャーに発表していた
「1.4億年ごとに寒冷化してるって貝殻の化石が言ってるけど、理由わかんねー」論文に辿り着くのです!
速攻メール&カナダに会いに行き、二人は意気投合したそうです。

↑2003年7月、二人の連名で発表された論文の表紙(本物)。

ほら連名。

その論文より。上が銀河の腕にいたときの宇宙線の量。下が貝殻で調べた地球の気温。
ぴたりと一致しとります。
よかったっすね。
いやー、ほんとによかった。
これでようやく、僕らの天の川銀河の形と、なぜそうなっているかの説明が完成したのです。
めでたしめでたし。
この話。
自分たちより遥かに大きく、しかも内側にいるのでまともに見ることも出来ないモノについて、人間が、想像力と地道な努力を積み重ねた結果、みんなで「見る」ことができた!っていう、とっても素敵な例だと思います。
いいなあ。
頑張れるなあ

★第5章『夕食ホット、未来へのはばたき』
あ、もう書くスペースないや。
残念。
続きはライブで。。チャオ。
http://u-hot.net/info/