雑草記32. ヒメツルソバ
事務所のある建物のアプローチの砂利の中にいつのまにか咲いていた。
最初、夏過ぎに雑草を抜いている時に見掛けた。
少し特徴のある葉をしていたので気になって抜かずに放っておいたのだ。
すぐ横のエアコンの屋外機のドレンからの排水が流れ落ちる辺り。
よほど案配がいいのだろう、いつの間にか群生し花をつけていた。
この草花、明治中期に渡来した外来種という事だ。
元々はインド北部のヒマラヤ原産らしく、「半耐寒性多年草」とある。
そりゃ、ヒマラヤから来たのであれば寒さにも強かろう。
日本の冬越えなんてお茶の子さいさいだろう。
日本に来て100年以上になるらしい。
もうすっかり日本の草花として根づいている。
和名の「ひめつるそば」は、「姫蔓蕎麦」と書く。
名前の由来はわからないが、英名はわかりやすい!
「Pink-head knotweed」 ピンクの頭の一塊の雑草。まさに見た通りである。
コンペイ糖のような小さな丸い花、葉には黒斑がV字に入っているのが特徴で、秋には紅葉する。
元は園芸植物らしいが、野生の状態であちらこちらに見られる。
それこそ、敷地と道路の縁石との1センチ程度の隙間にすら茂っている事もある。
地面を這うように広がり、小さいながら生命力は旺盛なようだ。
花もほぼ一年中咲かせているようだ。
ことわざの「蓼(たで)食う虫も好き好き」に出てくるタデ科の植物だ。
「タデの辛い葉を食う虫もあるように、人の好みはさまざまである」という意味で、
この言葉にあるように、とても食べられるような草ではないらしい。