亜鉛

動物性食品や全粒粉に多く含まれる栄養素です。

生命の維持や細胞の正常な分化に深く関わっており、不足すると色々な不定愁訴の原因になります。体内の様々な酵素を正常に働かせるために必須のミネラルです。

ヒトでの欠乏症が知られるようになったのは1960年代に入ってからで、1970年代には亜鉛欠乏による味覚障害も発見され、現在、入院患者さんの静脈栄養などでももっとも注目されているミネラルのひとつです。

 

亜鉛の分布

 

亜鉛は大人の体内に約2g含まれており、鉄の次に多い微量ミネラルとなっています。

前立腺、骨・骨髄、眼の脈絡膜、筋肉などにたくさん含まれており、コラーゲン合成に関わるため皮膚にも多く存在しています。

 

亜鉛の吸収

食べ物から摂取された亜鉛は小腸で吸収され、その吸収率は約30%といわれています。

そして年齢とともに亜鉛の吸収率は低下します。

吸収された亜鉛は、その多くがタンパク質とくっついて存在しています。

亜鉛の吸収を助ける因子

亜鉛の吸収を助ける因子としては動物性タンパク質が挙げられます。

動物性タンパク質の摂取量が増えると亜鉛の吸収も増えるといわれています。

また※CPPも亜鉛の吸収を助ける因子のひとつです。

 

※CPPとは
牛乳に含まれている「カゼイン」というたんぱく質が変化したもの。
Cカゼイン・Pフォスフォ・Pペプタイド

 

亜鉛吸収を妨げる因子

亜鉛の吸収を妨げる成分としては、※フィチン酸、多すぎる食物繊維、リン酸などが挙げられます。

※フィチン酸とは

 米ぬかや小麦などの穀類、豆類などに多く含まれています。

 

亜鉛の効果

亜鉛は、300種以上の酵素に関わっていることが知られ、その効果は全身に及びます。亜鉛の具体的な効果は以下の通りです。

インスリンは亜鉛のおかげで安定して働けます。

  • 皮膚を守る
  • 妊娠を維持する
  • アレルギーを抑制する
  • 成長を促す
  • けがや火傷の回復を促す
  • 骨を丈夫にする
  • 味覚・視覚・嗅覚を正常にする
  • 脱毛を防ぐ
  • 精力増強
  • 前立腺障害を防ぐ
  • 糖尿病を防ぐ(インスリンの構成成分)
  • からだの酸化を防ぐ

 

亜鉛不足の症状

亜鉛の不足が続くといちばん出てくるのが皮膚症状です。そのほかの亜鉛不足の症状としては高齢者に味覚障害がよく見られます。しかし最近は子どもや若者の味覚障害も問題になってきています。

  • 成長が障害され、低身長となる
  • 性腺発育不全がおこる
  • 精子の形成が障害され、男性不妊の原因となる
  • 食欲不振
  • びらん、水疱、乾燥、などの皮膚症状
  • 脱毛
  • 傷の治りが遅い
  • 無欲化、情緒不安定、行動異常、記憶障害、うつ症状
  • 下痢、胃腸障害が起こる
  • 風邪を引きやすい
  • 正常な味を感じない
  • 鉄欠乏性貧血
  • 活性酸素障害が起こる

亜鉛が不足する原因

亜鉛は日本人にとって不足しやすい栄養素なのでしょうか?

亜鉛が不足する原因としては以下のことが考えられます。

 

加工食品や精製された穀類は亜鉛含有量が低いので、これらを日常的に食べている方々にとって不足しやすい栄養素です。

また菜食主義者も亜鉛は不足しやすくなっています。

このほか、クローン病、ネフローゼ症候群、中心静脈栄養を行っている場合、未熟児なども亜鉛が不足しがちです。

美肌ミネラル~亜鉛~

美肌作りの3分ルール~美肌への最短アプローチ④

米ぬかや小麦などの穀類、豆類などに多く含まれています。

赤ちゃんようなみずみずしい素肌は憧れです。その美肌にミネラルである亜鉛が関わっています。

皮膚は日々生まれ変わっています。肌が正常に新しい皮膚細胞を生みだしていくのに必要なのが亜鉛です。亜鉛は細胞の正常な分裂を促します。

皮膚の90%はコラーゲンです。良質なタンパク質・ビタミンC・鉄とともに、美肌ミネラル亜鉛、そして細胞の正常な分化を促すビタミンAも合わせて摂りましょう。

 

母乳と亜鉛

赤ちゃんは日々成長します。生まれてからすぐの初乳には、出産後3ヶ月を過ぎた母乳の、なんと8倍もの量の亜鉛が含まれています。

成長するとき、からだは1つの細胞を2つに、2つの細胞を4つにと細胞分裂を繰り返して、どんどん大きくなっていきます。このとき亜鉛が十分あることで細胞分裂がスムーズにいき、無事に大きくなっていけるのです。

亜鉛を多く含む食品