コレクター福富太郎の眼
昭和のキャバレー王が愛した絵画
コロナ過で再開しました。
福富太郎
ふくとみ たろう1931-2018
1964年の東京オリンピック景気を背景に、全国に44店舗にものぼるキャバレーを展開して、キャバレー王の異名をとった実業家です。
その一方で、父親の影響で少年期に興味をもった美術品蒐集に熱中し、コレクター人生も鮮やかに展開させました。
念願だった鏑木清方の作品を手はじめに、著名な作家の作品だけでなく、美術史の流れに沿わない未評価の画家による作品であっても、自らが良質であると信じれば求め、蒐集内容の幅を広げていきます。
さらには、それに関連する資料や情報も集めて対象への理解を深め、美術に関する文筆も積極的に行いました。
江戸っ子らしい福富の好みも感じられます。
これまで各地で開催された日本近代美術の展覧会に、福富コレクションから数多くの作品が貸し出されてきたことは、コレクションの質の高さと、福富太郎の見識の高さを物語っています。
鏑木清方の作品十数点をはじめとする優品ぞろいの美人画はもとより、洋画黎明期から第二次世界大戦に至る時代を映す油彩画まで、魅力的な作品八十余点をご紹介いたします。
素晴らしい作品ばかりでビックリしました。
東京ステーションギャラリー
高橋由一《小幡耳休之肖像》1872年
松本華羊「殉教(伴天連お春)」
チャールズ・ワーグマン
《英国人への襲撃 生麦事件》1862年
満谷国四郎《軍人の妻》1904年
岡田三郎助《ダイヤモンドの女》1908年
川村清雄《蛟龍天に昇る》1893年
上村松園《よそほい》1902年頃
渡辺省亭《幕府時代仕女図》1887年頃
福富は鏑木清方の美人画を積極的に蒐集した。
第1章では、代表作である《薄雪》や《妖魚》に加え、異色作《刺青の女》など、清方の作品を合計13点展示する。
福富による蒐集は、清方を起点に、先達であった渡辺省亭、友好関係のあった池田輝方とその妻蕉園などと、その幅を広げていった。
第2章では、福富太郎コレクションの美人画を紹介。省亭《幕府時代仕女図》や蕉園《宴の暇》などに加えて、「毎晩、飽かず眺めて暮らした」という北野恒富《道行》や、上村松園の初期の重要作《よそほい》も目にすることができる。
美術史の王道を外れた作家の作品を蒐集したように思われる日本画に対して、洋画においては著名作家の作品が並ぶ。
第3章では、高橋由一《小幡耳休之肖像》などの洋画黎明期の作品から、岡田三郎助の美人画の代表作《ダイヤモンドの女》や川村清雄《蛟龍天に昇る》、そして第二次世界大戦の体験をうつした満谷国四郎《軍人の妻》といった作品まで、油彩画の数々を展示する。
昔はよく深夜時間にキャバレーのCMが流れていました。
「ハリウッド」「ロンドン」今はキャバレーと云っても若い人は知らないでしょうね。
福富太郎さんもよくテレビには出ていましたが、皆「やらしいおじさん」と云う印象しかもっていなかったような。
とても優秀な美術収集家だったのですね。
またどんな職業にも、下賤や貴賎の印象を持ってはいけません。
それにしても私も勉強不足ですが、素晴らしい作品が沢山ありましたね。
コロナ過で公開が中止になって既にチケットは完売。しかし、再開してからまた発売したので運よく見れました。見られて良かったです。
またこのステーションギャラリーも素敵な好きな会場です。
キャバレー「ハリウッド」は、最盛期には直営店だけでも29店舗、全国に44店舗数えたが、福富が没した時には赤羽店・北千住店の2店舗のみとなっていた。
この2店舗が東京都内で営業していた最後のグランドキャバレーであるとされる。
赤羽店・北千住店も2018年12月30日に閉店となった