下肢静脈瘤
下肢静脈瘤の「瘤(りゅう)」というのは「コブ」という意味。
下肢(脚)の静脈がコブのようにふくらむことを表し、「下肢静脈瘤」という名前がついています。
男性よりも女性の方が下肢静脈瘤になりやすい傾向があります。
その一因として妊娠・出産を経験する方が多いこともありますが、そうでなくとも男性に比べて軟部組織(体を構成している軟らかい部分)が弱いため、静脈弁が壊れやすいということがあります。
下肢静脈瘤は、足の皮膚のすぐ下を流れる静脈(表在静脈)にある逆流防止弁が壊れ、本来足首から心臓に向かって流れるはずの血液が、足首に向かって逆流することで発症します。
血液が逆流すると、その下にある静脈が瘤状に拡張して静脈瘤となり、血管が皮膚表面にボコボコと浮き出る症状が現れます。
- 静脈の逆流防止弁が壊れる
- 2本来心臓へ戻るべき血液が逆流する
- 3逆流した血液により静脈がふくらむ
- 4ふくらんだ静脈がコブのようになる
下肢静脈瘤の発症原因はさまざまですが、発症しやすい要因として主に以下の3つがあります。
立ちっぱなしの状態が続く
立ち仕事に従事しているなどの理由で、日頃から立ちっぱなしの状態が続いていることが、下肢静脈瘤を発生させる原因となります。
足の血液が、重力に逆らいながら心臓へとスムーズに流れることができるのは、ふくらはぎの筋肉が収縮する力(筋肉ポンプ力)がはたらき、血液を上へと押し流しているためです。
しかし、立ちっぱなしなどでふくらはぎの筋肉がゆるんだ状態が続くと、血液はスムーズに流れなくなります。すると、逆流防止弁に通常よりも強い負荷がかかり、逆流防止弁がその負荷に耐えきれずに壊れるために、下肢静脈瘤を発症します。
妊娠・出産による腹圧の上昇
女性が妊娠・出産によって子宮が大きく発達して腹圧(お腹の中の圧力)が上昇することが、下肢静脈瘤を発生させる原因となります。腹圧の上昇により、骨盤内静脈の血流が滞りその影響を受けて下肢静脈の血流も滞って、逆流防止弁が壊れるために、下肢静脈瘤を発症します。
また、妊娠・出産によるホルモン分泌の変化も、要因のひとつであるといわれています。
下肢静脈瘤を発症しやすい体質
下肢静脈瘤は遺伝病ではありませんが、下肢静脈瘤を発症しやすい何らかの体質が遺伝し、下肢静脈瘤を発生させる原因となることがあります。たとえば、逆流防止弁の数が生まれつき少ないことが挙げられます。逆流防止弁の数が少ないと、1つの逆流防止弁にかかる負荷が大きくなるために、逆流防止弁が壊れやすく、下肢静脈瘤を発症すると考えられます。
下肢静脈瘤の予防軽いジョギングやウォーキングは、下肢静脈瘤の予防に効果的です。
足の血液は、ふくらはぎの筋肉ポンプによってスムーズに流れています。そのため、運動によってふくらはぎの筋肉を動かすことは、下肢静脈瘤を防ぐために有効です。
ただし、過度な運動はかえって逆流防止弁に強い負荷がかかるため、無理のない範囲で運動することが大切です。
足のマッサージ
足のマッサージも、下肢静脈瘤の予防につながります。
足首から太ももにかけて揉み上げると、血液のスムーズな流れをサポートできます。