このリブログ記事を読んで
20年以上前にタイムスリップした私です。
愛犬葉月を風邪で連れて行った動物病院で診察を終えた獣医さんが
「猫飼う?」
「えっ? 飼いません。」
「すごく可愛い子だよ。
連れて来ようか?」
「いえ。見たら飼いたくなるので会わずに帰ります。」
「この子なんだけど?」
助手の方が連れて来た
きな粉色の小さな命は
私の胸にしがみついて鳴きもせずに
潤んだ瞳で必死に私を見つめていました。
この子をひっぺがして置いて帰れるでしょうか?
「連れて帰ります。」
「ありがとう。
病院の玄関に捨てられて居たんだよ。
今日から1年間何があっても
この子の医療費は無料です。
予防接種も避妊手術も連れて来て下さい。
お願いします。」
無知で昔ながらに出入り自由に保護した子をこの家で飼っていた私は
5ヶ月頃になって避妊手術に連れて行こうとする時期に
10年間に4匹家の前の道路で交通事故で死なせてしまいました。
転居前の家は商店街で
アーケイド内は車の乗り入れ禁止だったので飼い猫たちは長生きでした。
回りは畑が広がっていました。
この家では猫は飼えないと決めて我慢していた時でした。
その頃の私には家猫に徹すると言う考えはありませんでした。
転居と共に連れて来たイクラとチョンちゃん親子は家に閉じこもる生活に馴染めずに以前の商店街で外猫として生きる道を選びました。
避妊手術をしていた事と
猫好きさんが多く隠れ場所もあり餌やりさんも居る商店街は
この親子の育ったテリトリーでした。
きな粉色の秋生まれの女の子はそのまんま「キナコ」になりました。
それから避妊手術も終えて半年後に娘と訪れた動物病院で
ワンちゃんのノミ取り首輪を購入に行った気がしますが
獣医師さんが
「もう1匹猫を飼う?」
「いえ。キナコだけで良いですから。」
「キナコちゃんほどの美人でないけど。今度は男の子なんだ。」
「ごめんなさい。保護したワンちゃんが3匹になってて無理です。」
帰ろうとすると小学低学年だった娘が
「どんな子か見たい!」
助手の方が連れて来た仔猫を抱いて娘が
「モモちゃんからジイジに頼んでキナコの弟にする。」
「連れて帰ります。」
「この子も病院の玄関に捨てられて居たんだよ。
1年間医療費は無料にします。
お願いします。」
白黒のハチワレさん。
春生まれのアズキです。
腕が良くて安いと評判の病院で市外からも沢山の利用者が訪れて私も隣の市から通っていました。
隣の叔母も野良ちゃんや保護した子の避妊手術をしていたので
獣医師さんも
この2匹を私に託してくれたのかもしれません。
キナコとアズキは
本当にたおやかで風格のある美猫に成長して長生きしました。
性格も穏やかで2匹ともに肩乗り猫で
私はいつも両肩に乗せて順番に背中と腰をトントンしていました。
畳に立っている時もトントンが好きで踏ん張って気持ち良さそうでした。
友人やお客さんたちが
こんな風にして喜ぶ猫は初めて見ると
トントンのアメアラレでした。
この子たちからトントンはウチの子のお家芸です。
ワンちゃんも含めて芸を教えた事はないのですが。
助けるつもりですか?
動物病院に
もの言えぬ命を捨て去った人は
こんな楽しい想い出も
人との心の繋がりも
自分の人生から捨て去ったのですね?
私には気の毒な人生としか思えません。
娘の人生にもキラキラした宝物を残してくれたキナコとアズキ。
このウチの子になってくれて
ありがとう。
いつまでも忘れないよ。
そして獣医師さん。
この子たちを私に託してくれて
ありがとうございます。
感謝しかありません。
キナちゃん
アズくん
ウチの子たちが迷わないように一緒に待っててね。
昨年の暮れに風ちゃんが逝きました。
ちょっと意地悪だけど
野良で頑張って生きた子です。
4回出産して子育てしました。
風ちゃんの子で残っている子は私が知る限りでは
ウチの子のスミちゃんだけです。
TNRも動物愛護法も知らなかった私は
風ちゃんを連れて帰って4回目の子育てを終えてから
ようやく仔猫5匹と一緒に風ちゃんの避妊手術が出来ました。
あの頃にTNRと動物愛護ボランティアさんを知っていて
出逢った頃に風ちゃんと相棒の陸ちゃんのTNRが出来ていたら
風ちゃんは一代の命を陸ちゃんと共に身軽に暮らせたでしょう。
広い商業施設の西側駐車場で
わが子と自分たちの食料を守る為に大きな野良犬も追い立てていた風ちゃん。
ウチの子になってからも
先住猫に意地悪だった風ちゃん。
野良の生活が
儚げな可愛い女の子を逞しい母親に育てました。
怪我をして逝くまでの1ヶ月半に
神様は風ちゃんに罰を与えました。
風ちゃんは元野良の根性と
凛とした精神力で耐えて
何も汚さずに美しく逝きました。
神様は風ちゃんを許して
空に呼び戻されたのでしょう。
でも悪いのは
野良として生きてきた命ではなくて
捨てた人間です。
この人間に
神様はどんな罰を与えてきたのでしょう?
出来るならば
命を救い育てるサガを与えて下さい。
どんな命もたった一つの
かけがえのないものです。
大切に育む世の中でありたいです。
私は無知ゆえにいくつもの
愛しい命を救えずに亡くしてしまいました。
愛しい子たちが居る場所に辿り着けないかもしれません。
それでも
この国がもう少し
もの言えぬ命に
優しくなれるまで
待ちたいです。
見届けたいです。
動物も人間も
どの命も優しい手と
暖かな居場所に包まれて
安らかに眠れる世を
信じて
生きていきましょう。





















