みなさま、こんにちは。
いつも「落穂拾い」ブログをご覧くださいまして誠にありがとうございます。
本日は「埋め木に見る職人の技とセンス」と題しまして、お届けしたいと思います。
京都にある 浄土真宗本願寺派 龍谷山 本願寺 通称「西本願寺」の阿弥陀堂(重文)の床の敷板に施されている「埋め木」に焦点を当ててみる。
趣や リサイクルの知恵 そして何よりも 「職人の遊び心とその精緻な技」を感じ取って頂ければ幸いである。
埋め木は、大きく分けて三つに分類されてデザイン施工されている。
■一つ目は 矩形で 主に死に節や、抜け節部分の補修用に
用いられている。
形状と大きさに合わせて、多角形で構成され、正多角形になっているものは少ない。
四角形の埋め木
①菱形
②台形
五角形の埋め木
③正五角形
④変形五角形
六角形の埋め木
⑤正六角形
⑥変形六角形
七角形の埋め木
六角形に見えるが、辺の数は7つある。
欠けや腐れ或いは傷と云った形状に合わせて切り込み、
埋め木を嵌めているので形状には統一性は見られない。
■二つ目は 富士山の図柄で、多少大き目の傷や腐れ部分の補修用に用いられている。
②
③
①~③ 何れも富士山を図柄にした物であり、
最も有名な図柄でもある。
一富士、二鷹、三茄子
いずれも目出度い吉祥を表す。
④職人の技と、形式化された図案をお楽しみください。
■三つ目は デザインに具象的な物が最も多いが、 中には抽象的なデザインもあり そのデザイン性と自由さにされた物で、傷や腐れといった欠落部分の形状に合わせて補修したもので
「職人達のセンスと技量」を 見ることができる。
見る者を飽きさせない、おおらかさとユーモアそして、
精緻さが 感じられる。
②これは一体、何を表しているのでしょうか?
③この図柄も面白いですネ。
人魂でしょうか?
それともウーパールーパーでしょうか?
最後に
いかがだったでしょうか。
今回は西本願寺に焦点を絞ってご紹介致しましたが、
みなさまのお住まいの近くには、神社仏閣といった古建築が
数多くあると思います。
古い建物を観るときには、床板にも目を向けていただけたら
新しい発見があるのではないでしょうか?
2013年2月13日
児玉 博文 記
(掲載の写真データは、すべて児玉撮影分)
閑話休題
東京都日野市には 2つの超有名なものがある。
一つは、「日野自動車の企業城下町」である事、
そしてもう一つが 江戸時代の「日野本陣跡」が、残されている事である。
この建物は 本陣としては東京都内で唯一遺された
当時の建物(日野市日野本町)が建っているが、実はそれだけではない。
江戸後期には 上記の建物 (現在駐車場になっている) の辺りにあった
長屋門を改装して、佐藤彦五郎が天然理心流の道場を開いており、
この道場で剣術を教えていたのが 後の新選組局長「近藤 勇」である。
近藤と土方歳、沖田総司、井上源三郎、山南敬助ら新選組主要メンバーは
ここで出会い、共に汗を流した事は、あまりにも有名な話である。
また、土方歳三の親戚筋にあたる一族の方々が 今もこの近くに住んでおられる。
ここでは、日野本陣の表玄関の床板に施された、
「蝙蝠(コウモリ)」と「瓢(ヒョウタン)」の形をした 「埋め木」を紹介する。
見事な技ですね。
瓢(ヒサゴ)ひょうたんの造形は見事です。
この部分の埋め木は敢えて下げて段差を強調しています。
これも見事ですネ。
また次回、「落穂拾い」ブログをご期待ください。