『鬼平犯科帳 決定版』シリーズの表紙絵に歌川広重の『名所江戸百景』が使われていて関心が出て、さらにはつい最近、日曜日朝6時からNHKの再放送の時代劇で『広重ぶるう』が3回にわたって放映されていた。そんなときに立ち寄った中古本屋でたまたま目に止まったのが本書『江戸・東京百景 広重と歩く』だった。


これは読まないといけないだろう。平成21年(2009)11月に角川SSC新書より刊行された。著者は大久保博則さん(平成広重ラボラトリー)と写真家の安田就視さん。



『名所江戸百景』は、安政3年(1856)2月~安政5年(1858)10月にわたって出版された竪絵119枚と目録で構成される浮世絵師・歌川広重の画集だ。なお、119枚のうち4枚は、娘婿の二代目広重の作品。


本書では、シリーズを以下の12エリアに分け、絵に関する技術的な解説、広重が名所として選んだ場所の歴史や背景に関しての考察が加えられている。さらに現在の地図と比較し、絵と同じ景色を求めた写真を載せ、時代の変化を感じさせてくれる。


(以下、目次引用)

はじめに

壱 日本橋・京橋方面 20点

・日本橋雪晴

・日本橋江戸ばし

・する賀てふ

・鎧の渡し小網町

・日本橋通一丁目略図

・八ツ見乃はし

・大てんま町木綿店

・大傳馬町こふく店

・馬喰町初音の馬場

・両国花火

・両国橋大川ばた

・大はしあたけの夕方

・三つまたわかれの淵

・永大橋佃しま

・佃しま住吉乃祭

・銕炮洲稲荷橋湊神社

・銕炮洲築地門跡

・びくにはし雪中

・京橋竹がし

・市中繁栄七夕祭


弐 神田・本郷方面 7点

・神田紺屋町

・筋違内八ッ小路

・昌平橋聖堂神田川

・神田明神曙之景

・湯しま天神坂上眺望

・水道橋駿河臺

・千駄木団子坂花屋敷


参 麹町・赤坂方面 7点

・山下町日比谷外さくら田

・霞かせき

・外桜田弁慶堀糀町

・糀町一丁目山王祭ねり込

・紀の国坂赤坂溜池遠景

・赤坂桐畑雨中夕けい

・赤坂桐畑


四 芝・麻布方面 9点

・虎の門外あふひ坂

・愛宕下藪小路

・芝愛宕山

・増上寺塔赤羽根

・芝神明増上寺

・芝うらの風景

・金杉橋芝浦

・高輪うしまち

・廣尾ふる川


五 品川・目黒方面 13点

・月の岬

・品川御殿やま

・品川すさき

・南品川鮫洲海岸

・八景坂鎧掛松

・千束の池袈裟懸松

・鎌田の梅園

・はねたのわたし辨天の社

・目黒元不二

・目黒新富士

・目黒爺々が茶屋

・目黒千代か池

・目黒太鼓橋夕日の岡


六 高田・市ヶ谷方面 4件

・せき口上水端はせを庵椿やま

・高田姿見のはし俤の橋砂利場

・高田の馬場

・市ヶ谷八幡


七 四谷・新宿方面 4点

・四ッ谷内藤新宿

・玉川堤の花

・角筈熊野十二社 俗称十二そう

・井の頭乃池弁天の社


八 下谷・千住・王子方面 15点

・下谷廣小路

・上野山した

・上野清水堂不忍ノ池

・上野山内月のまつ

・日暮里諏訪の臺

・日暮里寺院の林泉

・箕輪金杉三河しま

・千住乃大はし

・飛鳥山北の眺望

・王子不動之瀧

・王子瀧の川

・王子音無川堰顥 世俗大滝ト唱

・王子稲荷乃社

・王子装束ゑの木大晦日の狐火

・川口のわたし善光寺


九 浅草方面 11点

・浅草金龍山

・駒形堂吾嬬橋

・猿わか町よるの景

・吾妻橋金龍山遠望

・真乳山山谷掘夜景

・御廐河岸

・浅草川首尾の松御廐河岸

・浅草川大川端宮戸川

・よし原日本堤

・廓中東雲

・浅草田甫酉の町詣


拾 亀戸・向島方面 14点

・吾嬬の森連理の梓

・亀戸梅屋舗

・亀戸天神境内

・柳しま

・小梅堤

・請地秋葉の境内

・墨田河橋場の渡かわら竈

・真崎辺より水神の森

・内川関屋の里を見る図

・木母寺内川御前栽畑

・隅田川水神の森真崎

・綾瀬川鐘か淵

・四ッ木通用水引ふね

・堀切の花菖蒲


拾壱 本所・深川方面 9点

・両ごく回向院元柳橋

・深川萬年橋

・深川八まん山ひらき

・深川三十三間堂

・深川木場

・深川洲崎十万坪

・小奈木川五本まつ

・五百羅漢さゞゐ堂

・砂むら元八まん


拾弐 中川・利根川方面 7点

・逆井のわたし

・中川口

・堀江ねこざね

・利根川ばらばらまつ

・真間の紅葉手古那の社継はし

・鴻の臺とね川風景

・にい宿のわたし


歌川広重のプロフィール

歌川広重略年譜

江戸・東京百景全図



昨夜は涼よく眠れた。朝の青空が実に気持ちよかった。


ただ、すぐに暑さに負け、帰宅する頃には雨もぱらついた。世間は三連休のところが多いようだが、自分にとっては休みは明日だけだ。確率的には雨になりそうだが…。