古本を片付けていて、ふと内田康夫氏の『遺骨』が目についた。もう何度目になるのかわからないが、また読んでみたくなった。ストーリーはもちろん、犯人さえも覚えていない。そして読み始めるとわずかに残っていた記憶が混乱してきた。骨壺をキーワードに同氏の『不知火海』とごっちゃになっていた。


ウォーキングと仕事の移動時間を利用して2日半かけてようやく読み終えた。たまに読み直す内田作品はいいものだ。まだ1箱分残っている。しばらく楽しめそうだ。


本書は、平成11年(1999)9月にカドカワエンターテインメントから刊行された作品を平成13年(2001)5月に角川文庫化したものだ。




浅見光彦が龍満智仁(たつみともひと)と遇ったのは明石から淡路島に渡るフェリーを待っているときだった。互いに名乗ることもなく、コンビニで同じ蕎麦を買った、それだけの関係だったが…。


浅見の目的は「淡路廃帝」と称せられた早良親王が祀られている常隆寺を訪ねることだった。そこで先ほどの男性が父の骨が入っているという骨壺を預けていったことを聞かされた。そして、板橋区で龍満が刺殺されたのを知ったのは東京に戻った4日目だった。龍満はグリーン製薬のプロパーだった。


気になった浅見は龍満の妻を訪ねるが、納骨のことは知らなかった。さらに父親が死んだのは1年前だという。骨壺の中身は何なのか。


龍満に関する調査を続ける浅見のもとに常隆寺の住職から骨壺を引き取りにきた女性に骨壺を渡したことの連絡が入った。女性は従妹の石森里織と名乗ったという。さらにグリーン製薬営業の田口課長代理も骨壺を引き取りに現れたという。


石森里織は存在しなかった。浅見は田口に話を聞こうとコンタクトするが、田口は足尾で亡くなっていた。骨壺をめぐり、衝撃的な展開が待ったいた。



本書の構成は以下のとおり。(目次引用)

プロローグ

第一章 淡路島

第二章 足尾銅山

第三章 長門仙崎港

第四章 大阪の女

第五章 死生観

第六章 繁栄の系譜

第七章 哭く骨

エピローグ



今週は4日間仕事を入れた。明日は今月2回目の遅番だが、雨がピークの頃に帰ることになりそうだ。雨雲の通過が早まることを期待しよう。