休みの今日は、ウォーキングか草むしり、あるいはその両方、などといろいろ考えていた。目覚めたときの気分で決めようとしていたが、明け方のにわか雨に出鼻をくじかれた。その後、ブログの下書きに書き込んでいた大量のデータを操作ミスで消失させてしまい、復元させること集中して午前中を費やしてしまった。


貴重な時間を無駄にしてしまい、何かするにも中途半端な時間しかなかったので、先日手に入れていた梓林太郎氏の『釧路川殺人事件』を読むことにした。平成20年(2008)5月にノン・ノベルから書下ろし作品として刊行されたものだ。旅行作家・茶屋次郎の名川シリーズ第14弾になる。




そこそこ古い作品だが、読んでなかったのか、読んだのに忘れていたのかはわからないが、感覚的には前者だ。



茶屋次郎事務所を釧路市では有名な事業家・大口甚六が訪ねてきた。茶屋は3年前の納沙布岬の取材の帰りに立ち寄った厚岸町で知り合った相手だ。大口は、行方不明になっている女性を探してほしいとの依頼だった。


女性は35歳で、本城令子といい、写真を見せられた。大口は令子に料理屋とスナックを任せていた。客と従業員の評判がよかった令子が突然消息を絶った。警察には相談したくないという。


ためらう茶屋に秘書の江原小夜子は依頼を受けろという。『女性サンデー』の次の探訪地を早く決めろと編集長の牧村からも催促されていて、今回の依頼は渡りに船という。読者要望が一番の釧路川があり、取材も同時にできる、というのが理由だった。


茶屋は釧路に飛び、令子の足取りを丹念にたどっていった。その過程で、弟子屈出身というのは嘘ではないか、疑問が湧いてきた。それどころか健康保険証も持っていない疑いも出てきた。


茶屋は弁護士に依頼して疑わしい地区で本城令子の住民票を調べてもらって、ようやく生まれた場所が判明したが、そこには…。



大口の会社の関係者や茶屋が訪ねた先の男性が殺害され、茶屋は否応なしに警察に目をつけられるのは本シリーズの約束事だ。そして令子が失踪した背景が明らかになっていく。最後まで読んで、記憶を刺激する言葉がひとつもなかったことから、やはり未読作品であったことを確信した。



本書の構成は以下のとおり。(目次引用)

一章 五月兇日

二章 釧路湿原

三章 怪流原野

四章 秘められし蛇行

五章 姿なき奔流

六章 はてしなく東へ

七章 不安な源流

八章 望郷原野



不本意ながら、今日もぐだぐだと過ごしてしまった。定期の胃ガン検診を予約しておけばよかったと、気づいたのはたった今だ。明日は仕事なので、金曜日には忘れないように予約してこよう。