季節は今日から二十四節気の清明に入った。清明という言葉の雰囲気とはうらはらに今日も雲に覆われた暗い朝になった。開花を急ぐ桜が映えないのが残念だ。


いつもの時間に家を出たつもりだったが、1本早い電車に間に合い、結果的に、仕事先がある現地最寄駅には1時間も早く着いてしまった。だったらと米打珈琲でモーニングを頼んで時間調整を図った。


もちろん珈琲だけではもたないので、『鬼平犯科帳 決定版』の第16巻を手に取った。




本巻に収録されているのは次の6話。( )内は初出誌「オール讀物」の発行号数。

・影法師(1977年2月号)

・網虫のお吉(1977年3月号)

・白根の万左衛門(1977年4月号)

・火つけ船頭(1977年5月号)

・見張りの糸(1977年6月号)

・霜夜(1977年7月号)


表紙絵には歌川広重の『名所江戸百景』より「神田紺屋町」が使用されている。




婚礼を間近に控えた木村忠吾は、遊びおさめと、品川宿に向かっていた。その忠吾を目にした塩井戸の捨八は恨みの対象の[さむらい松五郎]と思い込んだ。よほど似ているのか。捨八は本物の[さむらい松五郎]が捕えられていることを知らない。そして…。(影法師)


同心・黒沢勝之助は単独行動で手柄をたててきたが、色欲と手柄を同時に得ようとするやり方は盗賊同様のふるまいであり、平蔵としては許せるものではなかった。事件が一段落したあと平蔵が下した決断とは。(網虫のお吉)


これまで一度もお縄にかかったことがない[白根万左衛門]の手下の沼田の鶴吉と娘のおせきに老密偵・馬蕗の利平治が気づいた。二人は実際の夫婦だったが、病床にある万左衛門が隠している莫大な遺金の保管場所を知りたがっていた。一味の各人の思惑が絡み合って…。(白根の万左衛門)


放火で夜空にふきあがる炎と火の粉を見ることで歓喜することを覚えた船頭の常吉は、新たな放火先が盗賊に襲われている現場を目撃した。その1人は女房のおときを寝取った浪人だった。(火つけ船頭)


老密偵の相模の彦十が狢の豊蔵の弟・稲荷の金太郎を目撃した。尾行した先の盗人宿を見張るため向かいの仏具屋の2階を見張り所に選んだ。だが、この仏具屋の主もかつて京で盗みをはたらいていた堂ヶ原の忠兵衛だった。さらにこの忠兵衛を兄の仇と狙う男が現れ…。(見張りの糸)


二十数年前に行方知れずとなった池田又四郎を目撃した剣友の長谷川平蔵だったが、又四郎は盗人の一味に入っていた。又四郎の出奔の理由を知った平蔵は…。(霜夜)



残りは8冊になったが、やはり、映画公開の5/10までに読み終えるのは難しい。ま、無理して読むこともないだろう。少しずつ 少しずつだな。