暖かい日が続き、突然春の光景が出現した。そんな印象だが、不安定な天候がよろしくない。暖かさを望んでいたのに、寒くてもいいので天気が安定してほしいなどと我儘がちょこっと顔を出す。今日も傘をもって出なければいけなかった。


折り畳み傘は非常時にしか使わないので、普段は大きめの傘だ。ただこれが、電車内で座って本を読むのに邪魔になる。と思いながらも、なんとかペリー・ローダンシリーズの最新刊『永遠への飛行』を読み終えた。




《永遠の船》に乗船したローダン一行はまずパウラ星系に到着した。かつてそこの第四惑星には宇宙ハンザが拠点をつくっていた。だが、そこにあったのはパウラの周りをめぐる小惑星のリングだった。650年ほど前に何者かによって破壊された惑星の残骸だとわかった。


パウラⅡ で一時下船したローダンは、立ち並ぶアンテナ船の中にイホ・トロトの船《ハルタ》を見つけた。そこにはイホ・トロトが《永遠の船》に乗り込んだメッセージが残されていた。


だが、ローダンたちを自分たちに宇宙航行の技術を教えた慈善者を信じているベカッスの中で、ザルガだけは疑いをもち、港湾長に告発した。また《永遠の船》内部を調査したローダンたちは禁止区域にも入り込み、船がそれを察し、乗船を拒否され、パウラⅡ に軟禁された。


グッキーの力で《ハルタ》に乗り込んだローダンたちは《ハルタ》を《永遠の船》にドッキングさせることに成功した。《永遠の船》が向かった先は、パウラ星系近くに存在するブラックホールだった。


そしてブラックホールに突入した。その内部の特異点を周回するように宇宙ステーションが存在していた。そして《永遠の船》は宇宙ステーションの背景に消えていった。


ブラックホールの内部には事象の地平線によって通常宇宙から隔てられた微小宇宙が存在すると想定されていた。その微小宇宙の内部に何者かが強固な時空の泡でさらにミニチュア宇宙が形成されていた。


ステーションにはハイパーエネルギーの柱で構成されるチューブがあり、そこは《ハルタ》のシントロン、タラヴァトスの探知機がアクセスできない障壁だった。これが過去の柱か?


ここでベカッスは遺伝子実験の材料にされていた。そこでは人間の遺伝子に致命的な影響を及ぼすたんぱく質トリプトヴァリン・ブラヴォがつくられていた。実験施設を破壊したローダンはステーション司令官のロングンアタアンに捕えられた。サトラングの隠者から聞いたロングンアタアンはカンタロだった。


間一髪のところでグッキーに助けられたローダンだったが、ロングンアタアンは自爆した。ロングンアタアンがいなくなったことで、管理下におかれていたナックのラカルドーンがローダンにコンタクトしてきた。


ナックの協力で柱の奥に進出した《ハルタ》の前に現れたのは直径1.5kmほどの岩だけだった。そこで瓦礫の山になった"アムリンガルの時の石板"を見つけた。その下から眠りから目覚めたイホ・トロトが姿を現した。


"アムリンガルの時の石板"は超越知性体"それ"の年代記作者が記録していたプシオン・エネルギーに満ちた石板だったが、局部銀河群を襲った巨大なカタストロフィで破壊されていた。その当時アムリンガルにエルンスト・エラートがいたことをイホ・トロトから知らされた。


だが、ナックが裏切り、チューブに閉じ込められたローダンは《ハルタ》のインパルス・ビーム砲でチューブを破壊した。その結果時空構造が不安定になり、ステーションも破壊され、《ハルタ》はブラックホールの中心部の特異点に突入した。そこはブラック・スターロードと呼ばれる無の世界だった。



本巻に収録されているのは次の2話。

第1417話 永遠への飛行(Flug in Richtung Ewigkeit)

第1418話 巨人の洞窟(Die Hoehle des Giganten)


著者はクラーク・ダールトンとクルト・マール、翻訳は長谷川圭さんが担当されている。長谷川さんは、本シリーズでは初めてだが、「ローダンNEO」シリーズでは第2巻で登場されていた。



今週末には第710巻が刊行される。それまでには本巻を読んでおこうと考えていたが、なんとか間に合った。カンタロが少しずつ姿を見せ始めた。全体がわかるのは第711巻あたりだろうか。この巻の収録話は次のようになっている。いよいよ局部銀河群に何が起きたかが見えてくる。

第1421話 時の目撃者

第1422話 カンタロの所業



今後の刊行予定:

4/05 第710巻 あるサイノスの死

4/23 第711巻 時の目撃者

5/09 第712巻 惑星フェニックスの反乱

5/23 第713巻 その男、ダアルショル