今月はJR南武線を利用する仕事先が大半を占めている。京王相模原線を稲田堤駅で乗り換えるが、京王は北口から出た方が近いが、JRの入口は踏切を渡らなくてはいけない。北口はまだ工事が続いている。そのため京王も歩く距離は少々のびるが南口を利用してきた。


朝はともかく帰りは踏切が開いていたら渡ればいいじゃないか、と久しぶりに北口を利用することにした。そのとき目についたのが中古本屋の看板だ。ここは規模が小さく、取り扱い量も少なかったのでお気に入りには登録していなかった。


ふと思って立ち寄ってみると、未入手だった「鬼平犯科帳 決定版」の5、11、12巻が並んでいた。しかも値札は110円だった。これは買いだ。


ということで、ようやく第5巻を読むことができた。



本巻に収録されているのは以下の7話。( )内は初出誌の「オール讀物」号数。

・深川・千鳥橋(1970年7月号)

・乞食坊主(1970年8月号)

・女賊(1670年9月号)

・おしゃべり源八(1970年10月号)

・凶賊(1970年11月号)

・山吹屋お勝(1969年12月号)

・鈍牛(1970年12月号)


表紙絵には歌川広重『名所江戸百景』より「深川洲崎十万坪」が使われている。



投獄されていた大滝の五郎蔵が平蔵の密偵として放たれた最初の仕事は鈴鹿の弥平次の凶行を止め、間取り図を盗賊に売っていた大工の万三を助けることだった。(深川・千鳥橋)


悪事の謀を神社の床下にいた、乞食坊主に聞かれたと思った寝牛の鍋蔵は、意外と手強かった乞食坊主に刺客を向けた。その刺客は、今は乞食坊主として暮らしている高杉道場の井関録之助と剣友の菅野伊介だった。(乞食坊主)


瀬音の古兵衛のひとり息子・幸太郎が働く乾物問屋大坂屋が猿塚のお千代と呼ばれる女賊に狙われた。お千代は幸太郎を手なずけるが、古兵衛を知る平蔵の密偵おまさたちの働きによって賊は一網打尽となり、幸太郎は古兵衛に送り届けられた。(女賊)


盗賊・天神谷の喜佐松の手がかりをつかむため、密偵・小房の粂八と相州・藤沢に向かった同心・久保田源八が行方不明になった。後日百姓姿の源八が発見されたが、源八は記憶を失っていた。(おしゃべり源八)


[ひとりばたらき]の鷺原の九平は神田柳原土手に面した一角で評判の居酒屋[芋酒・加賀や]を営んでいた。ある日九平は旅先で長谷川平蔵を狙う男たちの会話を耳にした。その加賀やで夜鷹の話し相手をしていた平蔵が、帰り道に何者かに襲われた。(凶賊)


妻を亡くし、隠居の身であった長谷川平蔵の従兄の三沢仙右衛門が茶屋女のお勝を嫁にしたいと言い出した。仙右衛門の長男・初造は父を説得するよう平蔵に相談した。平蔵が密偵・関宿の利八にお勝の身元を調べさせると…。(山吹屋お勝)


菓子屋の柏屋で下男として働く亀吉が放火犯人として捕えられた。捕えたのは同心としての成績が芳しくない田中貞四郎だった。発達障害のある亀吉の評判が気になった平蔵は処分の言い渡しを先延ばしにしてもらい、逮捕時の状況を捜査し直すと…。(鈍牛)



(山吹屋お勝)は、後年、著者自身が鬼平ベスト5に選んだ作品だそうだ。抜けていた5巻を読んだことで話がつながってきた。残りは11、12巻だ。13巻で、平蔵が湯治に出かけた背景がわかるのはもうすぐだ。



水曜日から今日までかなり身体を使った。ようやく明日は休みだ。恒例になった日帰り温泉でリフレッシュしてこよう。