昨夜は扇風機の風が冷たく感じて目か覚めてしまった。朝も涼しく、仕事先に歩いていくのも楽だった。と、思ったのは一瞬で、日が昇るにつれて気温はぐんぐん上昇して、いつもの猛暑日が戻ってきた。


こんな日に限って仕事は午前中で終わり、家に帰るのは試練だった。20分前後の歩きだが、途中に日陰はなかった。


シャワーを浴びて、辛めのカシミールカレーを食べたあとはできるだけ身体を動かさないようにして日が沈むのを待った。もちろん時間は有効に使おうと、西村京太郎氏の『北帰行殺人事件』を読み進めた。



「ミリオンセラー・シリーズ」として2010年1月に光文社文庫の新装版として刊行された。初出は、1981年12月にカッパ・ノベルスから書下ろし作品として上梓された。



警視庁捜査一課の橋本豊刑事が突然警視庁を辞職した。故郷の稚内に帰るという橋本の移動コース上で発生する殺人事件。全裸で縛られ、唇には口紅が塗られて殺害されていた。


捜査過程で判明した橋本の交際相手だった女性の自殺。その原因となった集団暴行。連続殺人は橋本による復讐か。十津川警部と亀井刑事が橋本を追って北海道に飛ぶが…。



本作品の構成は以下のとおり。(目次引用)

第一章 帰郷

第二章 青函連絡船

第三章 或る事件

第四章 札幌の夜

第五章 追跡

第六章 屈辱の夜

第七章 流氷を待つ町

第八章 レンタカー

第九章 北海岸

第十章 火刑の朝

第十一章 アリバイ

第十二章 北端の町・稚内



橋本が警視庁を辞めて私立探偵になるきっかけになった事件のことはよく覚えていたが、当然細かいところまでは記憶にない。あらためて読み直してみると、これがなかなか面白い。


ミリオンセラー・シリーズは前回の『日本一周「旅号」殺人事件』で、本作が2作目になる。他にも6作刊行されているようなので、今度探してこよう。もちろん探す場所は110円棚だ。