脚本「宇宙戦艦ヤマト」テレビ版
正式書名は
「宇宙戦艦ヤマト全記録集 TVシナリオ版」
1979年発行 当時の売価1300円。
発行所・株式会社オフィス・アカデミー。
古書店で3000円くらいで買ったと思う。
全26話のシナリオがまとめられている本。
少年時代熱中したアニメなので、
どんな内容だったか思い出そうと思い読んだ。
面白い。原作が無いTVオリジナル作品で
これほど大河ドラマとして完成度が高いアニメって
他にあるのかな。
主要な回のシナリオを書いた藤川氏は
円谷作品ではあまり私好みの作品が無いが、
こういう連続モノのほうが本領発揮するのかな。
「ミイラの叫び」は、「かわいそうな怪獣」の
先駆的作品だからすごいなと思うが。
両軍の戦略・駆け引きの面白さ。
相手を倒すため、どんな戦略を立てるか?
敵方はどうやってそれを察知し、
どんな逆襲策を考えるか? そして逆転劇。
戦艦大和がたった一隻で絶体絶命のピンチから
大逆転劇を演じるという、
かつての日本海軍の夢を仮想現実化するかのような
ストーリーかと思えば、
軍部独裁国家として醜く描かれたり
「デスラー総統万歳!」と叫んで軍人が玉砕するのは
敵方だったりする。
ゆえに この作品は、何かを仮託したり、
何かの比喩になっているということはなく、
純粋に「面白い映画」を目指して作られたものと
見るのがよさそう。
松本零士描くメカとか美女とか、
この作品で初めて見た人も多かったと思う。
そういう、「見たこと無いビジュアル」って
子供番組ではとても重要。
初期ウルトラ、仮面ライダー、マジンガー、
エヴァンゲリオン、宇宙刑事、
みんなそれを備えている。
最近、そういう「見たこと無いビジュアル」
を備えた子供番組を見かけない。
毎回がバトルではなく、おとなしい回も
混ぜてある。シリーズ構成の妙。
イスカンダルで、ヤマト乗組員から裏切者が
出るあたり、作者は人間をよく知っている。
戦闘において軍人と民間人をちゃんと区別する
戦争法にのっとった戦争を描いた子供番組も
これが初めてだろう。