2023年夏の神奈川県高校野球決勝は

慶応-横浜のゴールデンカードになり、

「これは凄まじい試合になる」と予感がしたので

見に行った。予感は当たった。

俺の野球勘もまだまだ健在だな。ニヤッ。

 

試合は8回を終わって横浜が5-3とリード。

慶応が第1シード、横浜は第2シード。

地力は慶応が勝るが、試合運びの上手さで

横浜が中盤に逆転。

やはり「夏の横浜高校」は魔力を持っている。

その魔力通りの結果になりそうなムードで

9回表、慶応最後の攻撃。

しかし、とんでもないドラマが待っていた。

 

無死一塁で、セカンドゴロ。併殺コース。

二塁手が二塁に入った遊撃手に送球。

遊撃手は一塁に転送するも一塁はセーフ。

一死一塁になったかと思いきや、

二塁もセーフとの判定で無死一、二塁と

なったのだ。

「遊撃手が二塁ベースに触れていない」と

二塁塁審が判定。

(記録は遊撃手の失策となる)

これで横浜の投手はガクッときたのか、

3ランホームランを浴び、慶応が6-5で

逆転勝ちした。

 

ネットは大騒ぎ。

二塁塁審の「誤審」で試合の流れが

一変したという。

ネットに数種類の映像が挙がっているが、

本当に遊撃手がベースに触れてないか否か

厳密なことはわからない。

遊撃手は球を受けた瞬間は

確かにベースをまたいでいるが、

その後 右足でベースの角を蹴るようにして

触塁してから一塁送球しているようにも見える。

しかし厳密にわかるわけではない。

 

プロ野球でリクエスト制度が導入され、

判定が覆るケースが多い。

それだけ、野球の正確な判定は難しい。

厳しい採用試験を突破し、厳しい修行を経て、

高い給料をもらっているプロの審判でも、

あれだけ間違える。

ましてや、普段は他の職業についている

高校野球の審判では、

正確にやれというのがムリ。

だから、今回のケースも、仮に誤審としても

「高校野球は誤審が付き物」と

あきらめるしかないのが現実。

 

それにしても遊撃手はツイてない。

強豪横浜で一年生から遊撃手として活躍、

プロスカウトの目にも留まっているとか。

この試合でも好守を見せていた。

今まで、何千、何万回とあのプレーをやってきた中で、

一番肝心な所で、誤審(とすればだが)に

出くわしてしまったのだ。

ここに私は「人生」を感じる。

人生をつかさどる神の意地悪さ、冷酷さを。

 

ネットに書いてあったが、上手な遊撃手は、

ああいう場合、ベースをまたいで捕球し、

その後ベースの角を蹴るようにして

触塁して転送するのが高度なテクだという。

ここに落とし穴があったと思う。

ベースをまたいでしまって触塁しそこなうミスは、

下手な遊撃手がよくやってしまうミスなのだ。

そしてこの「高等テク」と「下手な遊撃手が

よくやるミス」は見た目が非常によく似ている。

おそらく二塁塁審は、いつも下手な遊撃手を

見ているので、「いつものやつだな」

と思い込んでしまい、

「またいで捕球、あとから触塁」という高等テクを

見逃してしまった可能性がある。

審判が高等テクに付いていけなかったのだ。

五輪の柔道で、篠原が返し技を決めたのに、

外国人審判が返し技の存在を知らず、

相手に得点が入ってしまったケースに

よく似ている。

二塁塁審は、「ビデオを見てもらえば

またいでいたのがわかる」、と自信をもって

いただろうが、問題はその後のケリ足の動きに

あると気づいていたかどうか。

 

「横浜高校で一年から遊撃を守っている選手が

この肝心な局面でベースに触れそこなう可能性」と

「いつも下手な遊撃手しか見ていない審判が

高等テクを正確に見れなかった可能性」。

どちらが高いだろうか。

ハッキリした映像が無い中で

ネットにあふれる「誤審」の声は、

そうした見方も影響していると思われる。

 

いろいろ考えさせられる試合だった。

やはり横浜高校の試合は面白い。

 

以下 資料としてネット記事を保存。

◇26日 全国高校野球選手権神奈川大会決勝 慶応6―5横浜(横浜)  最終回の1つのプレーが明暗を分ける結果となり、横浜は3年連続21回目の夏の甲子園出場を逃した。 横浜は2点リードの9回、先発の杉山が先頭打者を左前打で出したが、続く丸田を強い打球の二ゴロに打ち取り二塁封殺で1死一塁になったと思われた。しかし二塁塁審は送球を受けた遊撃手の緒方がベースを踏んでいなかったと判断して無死一、二塁のピンチ。横浜ベンチはジャッジの説明を聞くために選手を2度も塁審のもとに送ったが、当然判定は覆らず、犠打で送られた1死二、三塁から3番の渡辺千に逆転の3ランを浴びて敗れた。  試合後の村田監督は「ちょっと信じられない。完全にこっちから見ても余裕のアウト。本当は僕が審判さんのところに行ってプロ野球のように言えればいいんですけど。高校野球なので選手を行かせましたけど、『離れた』の一点張りだったので。納得いかない部分もあったし、本当はずっと抗議したい気持ちもあった」と無念の表情。「審判さんはすごくリスペクトしている。この暑い中でもやっていただいているので。でも監督というのは選手を守らなければいけない。あれをセーフと言われたら、一生懸命やっている高校生はどうなのかなと思いますし…。負けたというよりも、何か後味が悪いというか」と諦めきれない様子だった。

中日スポーツ

 

「横浜vs慶應」の“誤審”を審判団が認めていた? 「2時間ほど話して誤審を認めたと聞いている」 8/11(金) 10:56>配信 

第105回全国高校野球選手権記念大会が開幕した。地方大会ではあまたの有力校が涙をのんだのだが、特に物議を醸したのは、先月26日に開催された神奈川大会の決勝である。疑惑の判定が勝敗を分けたと、SNSを中心に喧(かまびす)しいのだ。慶應義塾高校を2点リードして迎えた9回表、ノーアウト一塁の場面。慶應の1番打者が打った打球は、二塁正面へのゴロとなった。横浜のセカンドは、併殺を狙いショートに送球。ショートがセカンドベースを踏んでファーストに転送し、ツーアウトになるはずだった。だが、 「二塁塁審は、ショートが捕球する際にベースを踏んでいないと判断。二塁に駆け込んだ走者をセーフと判定しました。さらに、1番打者も俊足を生かし、一塁もセーフに。そして3番打者が逆転スリーランを放ち、6対5で慶應が勝利したのです。際どい判定が勝敗を分けたため、SNSでも“あれはアウトだ”“いや、セーフだ”と紛糾しています」(全国紙記者) 謝罪の言葉があった?  上地雄輔も、X(旧・Twitter)で、 〈本当に1プレイで急に進路や未来や野球の道が途絶える事があります〉  などと判定に疑義を呈している。そんななか、さる高野連関係者が声を潜めて以下のように明かす。 「実は、試合後に横浜側と審判団が話し合いを持ったのです。そのなかで、審判団から横浜側に“映像を確認した結果、誤審だったと言わざるをえない。申し訳ない”という謝罪の言葉があったと聞いています」  試合後にいくら審判団が謝罪しても、試合結果は覆らないが、良心の呵責(かしゃく)に耐えかねて謝罪を行ったのか。  この点、神奈川県野球連盟の審判部長に質すと、 「謝罪した事実はない」  としながら、 「試合終了後に球場の控室にいたところ、横浜高校の監督が来て、“先ほどは、どういうジャッジだったのか”と尋ねられてはいます。監督には“二塁塁審は(横浜のショートが)塁を踏んでいないと判断したから、ああいう判定になりました”とは、お答えしました」  誤審は認めずとも、話し合い自体は行ったという。そこで、当の横浜高校の村田浩明監督(37)に尋ねると、 「新しいチームが始まって、前を向いて頑張っているところですし、選手の立場もあるので……」  言いたいことを飲み込む様子で、否定も肯定もしないのである。 2時間の話し合いの末 だがしかし、ある横浜高校の関係者は、次のように証言する。 「あまりにひどい判定だったので、試合後、村田監督が審判に訴えに行ったんです。当初は誤審であることをなかなか認めようとしなかったようですが、2時間ほど話し合い、最終的には(誤審だったと)認めたと聞いています」  密室のやり取りは詳(つまび)らかではないが、少なくとも横浜側にとって“誤審を認めてもらった”と受け取れるような発言を、審判団がしたとみるべきだろう。  最後に、高校野球に詳しいライターの菊地高弘氏の話に耳を傾けてみよう。 「過去には誤審で大紛糾し、立腹した観客がグラウンドに雪崩れ込んで審判に詰め寄ろうとする試合もありました。誤審対策、さらには審判員を保護する観点からも、監督の要望でビデオでの判定が可能となる“リクエスト判定”を導入すべきでしょう」  過ちを繰り返さない仕組みが必要だというのである。 「週刊新潮」2023年8月10日号 掲載