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宇宙刑事ダイナミックガイドブック
徳間書店
1800円
2015年1月9日発売
杉作J太郎・編


買いました。
とても読みごたえがある本です。
各インタビューが、面白くて、長い。
中身が濃い。
宇宙刑事について、こんな中身が濃い本が出る時代が
来たんですね。という感じ。
山田氏、関根氏など、埋もれていた鉱脈を掘り起こし、
興味深い話を引き出している。
杉作氏のインタビュアーとしての能力が高い。
話し手をノセていっている。

まあちょっと、1980年代に流行したような、人を小馬鹿にしたような
ギャグが散見されるのは残念だが。宇宙刑事のテイストに合わない。

なぜ吉川進が登場していないのか。
取材を断られたのか。それとも、健康上の理由か。
あるいは、吉川氏の本が別のところで進められているのか。
それなら嬉しいのだが。

澤井監督も、宇宙刑事を認めていてくれて嬉しい。
澤井氏は、映画界のメインストリームの人だから、
そういう人が宇宙刑事の魅力の理解者であることは意味が大きい。

映画の魅力は、脚本に魅力があることが最低条件となる。
つまらない脚本から、優れた映画が生まれることはあり得ない。
だから、上原先生の脚本に魅力があるということが、
原点のひとつである。

さらに、優れたキャラクターデザイン。
実績ある作曲家による優れた音楽。
現場の俳優、監督たちの、若く、馬鹿みたいな熱気。
これらが、熱気を失いかけ始めていた1980年代のテレビ界の中で
奇跡的にタイミングが合い、融合し、スパークしたのが宇宙刑事シリーズといえる。
ポーカーでいえば、ロイヤルストレートフラッシュだ。
人材と、運が揃わなければ生まれない奇跡だ。
テレビ界では、円谷英二の円谷プロが、これを達成しているが、
東映で、これを達成した、吉川進の功績は大きい。
長い年月をかけて、各セクションの優秀な人材を着々と揃えていった、
吉川さんの眼力と粘りを称えたい。

俺が生きている間に、もう一度、こういう奇跡を目にすることが
できるだろうか。ぜひ見たいが。無理かな。