独走を止められるか大関陣

 

■入幕後3場所とも中日まで7勝1敗で通過

 

7月14日に初日を迎える名古屋場所。夏場所に史上最速のスピードで幕内初優勝を飾った新関脇の大の里(24=二所ノ関)への期待と関心が高まっている。連続優勝となれば、新大関誕生はほぼ確実だ。

 

大関昇進の目安は「直近3場所、三役で33勝以上」となっている。それが条件ならば夏場所の新小結での12勝が大関昇進の起点になるはずだが、あまりにも新入幕後3場所の成績が飛び抜けているため、名古屋場所で連続優勝すればもちろん、13勝以上で優勝に準ずる好成績を残せば大関昇進の声も出てくるだろう。

 

大の里は新入幕の初場所に前頭15枚目で11勝、春場所は前頭5枚目で11勝、そして新小結で12勝3敗の成績で初優勝。この3場所で優勝1回、そして殊勲賞1回、敢闘賞2回、技能賞2回と三賞を総ざらいして、年間最多勝の最有力候補にも挙がるほどの躍動ぶりである。

 

夏場所の初優勝で自信をつけたことは間違いない。名古屋場所については「今場所が大事」と大関とりに向けて強い決意を示している。入門2年目、24歳の大器が一気に花開くか。名古屋場所の主役は大の里で決まりだ。

 

安定した相撲内容、馬力のある押し相撲で連敗も少ない。直近3場所は中日(8日目)まですべて7勝1敗で通過しており、名古屋場所でも好スタートを切って優勝争いに参戦するというパターンをつくるだろう。名古屋場所で連続優勝して大関とりを成功させて、そして秋場所と九州場所を連続制覇して年内に横綱昇進、という流れも可能性としてはある。そうなれば角界の勢力図は急速に変わっていくのではないか。

 

■大の里は「投げに弱い」? 豊昇龍は3戦全勝、琴桜、阿武咲は2勝

 

大関・横綱への道を突っ走ってる新関脇・大の里ではあるけれど、幕内3場所で2度以上敗れている力士が3人いる。大関の琴桜、豊昇龍と前頭5枚目の阿武咲だ。

 

朝青龍は大の里に対しては3戦全勝、いずれも豪快な下手投げで仕留めている。琴桜も小手投げと寄り切りで破って2勝1敗と勝ち越し、前頭5枚目の阿武咲も押し出しとすくい投げで2勝、1度も負けてはいない。この取組結果からみると、大の里は投げられて敗けるケースが多いことが分かる。現時点では最も横綱に近い番付にいる琴桜と豊昇龍の2大関には「独走を許さない」という大関としての意地があるようにも見える。

 

しかし、大関昇進後の琴桜は10勝、11勝と大関の務めは果たしているものの、念願の初優勝にはあと一歩届かない成績に終わっている。東大関に座ったことで大の里を破って賜杯を抱いて、そして来場所は綱とりに挑むーというシナリオを想定しているのかもしれない。

 

一方の大関在位5場所の豊昇龍も4場所連続で2ケタ勝ち越しを残しているものの、前半の取りこぼしが目立ち、終盤に入る時点で優勝争いから離脱している場合が多い。昨年の名古屋場所では関脇で初優勝を飾っており、ゲンのいい名古屋場所で1年ぶり2度目の賜杯をつかみたい気持ちだろう。

 

■幕内上位陣による打倒・大の里の包囲網

 

新小結の平戸海も夏場所では大の里を押し出しで倒した。最近では珍しい中学卒業後に入門した力士で、初土俵から50場所を経て三役入りした、まさにたたき上げの24才である。幕下付け出しからスピード出世した学生出身力士の大の里とは同学年で、平戸海は「強いライバル意識を持っている」と公言している。直近2場所は前頭上位にあって鋭い速攻を武器に2場所連続で9勝するほど地力をつけており、大の里にとっては侮れない存在になる。

 

関脇・阿炎と三役復帰した小結・大栄翔の2人は大の里にはまだ勝てず、いずれも2連敗中。大関候補と言われてきた実力力士だけに、簡単に追い越されて大関に先着させるわけにはいかないだろう。

 

さらに、前頭筆頭の21才の熱海富士、前頭上位の豪ノ山、宇良、湘南乃海なども打倒・大の里をねらってくるはず。「大の里包囲網」は二重、三重にもなるだろうが、学習能力も高そうな大器はその包囲網も力強く突破してくるのではーと思う。

 

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