熱海富士、大関とりなるか
大相撲秋場所は10日目を終了、いよいよ終盤戦に突入する。横綱大の里が9勝1敗で単独トップ、大関とりに挑んでいる関脇熱海富士、新関脇の藤ノ川、平幕の金峰山の3人が2敗で追う形だ。成績上位陣との直接対決が残されている3敗の大関安青錦にも優勝争いに加わるチャンスは残されている。
「強い横綱・大の里」が1年ぶりに復活して賜杯を抱くのか、熱海富士が初優勝と大関とりを成功させるのか、快進撃を続ける藤ノ川はどこまで白星を伸ばすのかー終盤戦はますます盛り上がりそうだ。11日目の「霧島×熱海富士」と「大の里×藤ノ川」の好取組に注目したい。
10日目終了時点
【1敗】
大の里、
【2敗】
熱海富士、藤ノ川、金峰山
【3敗】
安青錦、美ノ海、朝乃山、宇良、時疾風
■横綱大の里
横綱大の里は10日目に新小結の伯乃富士を力強く寄り切って9勝1敗として、単独トップをキープ、久しぶりに優勝争いの先頭に立っている。昨年秋場所以来、1年ぶり6回目の優勝をめざして終盤戦に向かう。
初日の大栄翔戦では、いつもの引くクセが出たが、土俵際ではたき込んでなんとか白星スタート。4日目には高安に敗れたが、5日目からは大の里らしい下半身を安定させた力強い相撲で6連勝。
昨年11月の九州場所で左肩を痛めてから苦しい土俵が続いた。昨年は6場所で3回の優勝を飾って「大の里1強時代」の様相を呈していたが、今年は不調で2場所の休場を強いられ、優勝争いには一度も加わることはなく、存在感の薄い横綱になっていた。この秋場所で賜杯を抱いて「強い横綱・大の里」の完全復活をアピールすることになるのだろうか。期待したい。
■大関霧島
大関霧島の綱とりは早々と失敗に終わった。「高成績と相撲内容」を求められていたこの秋場所で10日目までに5敗を喫し、横綱昇進は絶望的となった。来場所は最初から出直すことになる。
2場所連続の12勝3敗、いずれも優勝決定戦まで進出する安定した成績を残して綱とりに挑んだ。しかし、中日(8日目)までに平幕に3敗を喫し、綱とり場所にしては精彩を欠いた土俵となった。挑戦者としての気迫が足りなかったように感じた。
まだ、関脇以上の上位陣との取り組みが残っており、もし敗け越すということになれば、一転カド番になる可能性もある。なんとか勝ち越して来場所の再スタートにつなげたい。
■大関安青錦
10日目は2敗の美ノ海を相手に寄り切って7勝目を上げた。7日目には大関とりの関脇熱海富士を休まず攻めて快勝。粘り強い相撲で白星を増やしている。
返り大関の安青錦は初日から3連勝したが、4日目から3連敗して心配された。それでも7日目から4連勝、勝ち越しはもちろん2ケタ勝ち越しも見えてきた。強い精神力、みなぎる気迫が伝わってくる相撲を見せている。
夏場所に左足ケガで関脇に転落。名古屋場所で優勝を果たして大関に復帰したが、左足に痛みがあって稽古を始めたのは初日の5日前。体調はまだ万全ではないが、持ち前の低い姿勢の相撲で土俵を務めている。3敗をキープしていけば、横綱大の里との直接対決も残されているので、逆転Vの可能性はまだ残されている。
■大関琴桜
大関琴桜は初日から2年ぶりの4連勝。7日目まで6勝1敗と好調だったが、8日目から成長株の藤ノ川、熱海富士などに3連敗、優勝争いから脱落した。
2024年九州場所で優勝して以来、その後の大関在位10場所の成績は振るわない。2ケタ勝ち越しは1回だけで、8勝7敗での勝ち越しが6回もある。カド番も2回あり、大関での低迷が長く続いていた。
今場所はなんとか2ケタ勝ち越しを決めて、低迷から脱するチャンスをつかみ取り、来場所に弾みをつけたいところだ。
■関脇熱海富士
大関とりに挑んでいる関脇熱海富士は体重198㌔の体の厚みを大きな武器にして確実に力をつけている。10日目は大関琴桜と体を合わせて、そのまま押し出して勝ち越しを決めた。「自分のやりたいことをこれからもやっていく」と落ち着いている。大関とりに向けて一歩ずつ前進している。
大関昇進の目安とされる「三役で直近3場所33勝」。直近2場所の成績は関脇で夏場所9勝、名古屋場所12勝で、今場所に12勝すれば昇進は確実となる。まだ、1横綱、2大関、そして元気な関脇藤ノ川との対戦も残っているので簡単ではないが、大関候補の一番手であることは間違いない。
■関脇藤ノ川
21歳の新関脇・藤ノ川の健闘ぶりが目立つ。6日目には安青錦と激しい攻防戦を展開、寄り切って勝った。9日目は大関琴桜を上手投げで仕留めた。10日目も隆の勝を突き落としで破り、7連勝で勝ち越しも決めた。この勢いが続けば新三役で大関昇進の起点をつくるという快挙があるかも。人気も急上昇中だ。
177㌢、123㌔の小兵、前に出る相撲で上位力士を倒す、その豪快な相撲にファンは拍手喝采。父は甲山親方(元前頭大碇) 、3兄弟の長男で次男は幕下碇潟、三男は埼玉栄相撲部。相撲一家でもある。
