23安打の猛攻で、昌平を20-6で圧倒

 

花咲徳栄が昌平に大勝、13年ぶりに春を制した。

 

春季埼玉県高校野球大会の決勝が5月5日に県営大宮球場で行われ、花咲徳栄が春連覇をねらう昌平を20-6の大差で倒し、13年ぶり4度目の優勝を果たした。準優勝の昌平とともに5月18日から群馬県で開催される春季関東大会に出場する。

 

両校は昨秋の決勝でも対決、花咲徳栄が優勝して昌平は準優勝だった。花咲徳栄は秋、春続けて埼玉の頂点に立ったことになる。2校は「夏の選手権」埼玉県大会ではAシード校として登場する。花咲徳栄は夏のV候補一番手として名乗りをあげたことになる。

決勝戦を終えた花咲徳栄(手前)と昌平メンバー

 

決勝戦 観戦レポート

 

■4回に10得点、5回まで2時間かかった

 

壮絶な決勝戦だった。花咲徳栄は4回表に8安打10得点の超ビッグイニングをつくって、この時点で15-1の大差をつけて完全に試合の主導権を握った。昌平はその裏に3点を返して打線が意地を見せたが、あまりにも点差が開きすぎていたので、「追い上げた」という雰囲気ではなかった。

 

5回終了時点で16-4の大差がついて、ここまで要した時間はなんと2時間。「今日は2試合分を見ることになるね」-そんな観客の声も聞こえてくるほど4回表の花咲徳栄の攻撃時間は長かった。それでも昌平の守備陣は暑さの中で集中していた。ブランスバンドも入っていた花咲徳栄の応援席は休まずに声を出していた。決勝戦でなければ5回コールドゲームになっていたスコアだったが・・・。

花咲徳栄の応援席、長時間のエールになった

 

花咲徳栄は後半も攻撃を緩めることなく5得点を加えて、最後は20得点まで伸ばして遠ざかっていた春の優勝を引き寄せた。後半は普通の試合展開となったので全体の試合時間は3時間で済んだ。

 

花咲徳栄は23安打20得点。対する昌平打線も11安打6得点なので決して沈黙していたわけではなく、本塁打1本を含む長打4本を放っており、前半に投手陣の大崩れがなければ・・と悔やまれる。関東大会に出場する2校はどう戦うのか。強豪ぞろいの関東勢を相手に花咲徳栄はどこまで勝ち上がれるのか、投手陣を立て直してくる昌平の奮起にも期待したい。

 

なかなか終わらなかった「満塁ドラマ」

 

花咲徳栄の4回表の攻撃は圧巻だった。打者一巡を超える15人が打席に立った。その内訳は8安打、3四死球、相手エラーで出塁1、三振1、Wプレー1というもので、長打はひとつもなく、タイムリーで6点、押し出し4点によって計10得点を奪った。

 

まず、2番、3番打者が安打やエラーで無死1、2塁にすると、プロ注目の4番・石塚裕惺内野手が内野安打で無死満塁とした。ここから「満塁ドラマ」による得点ラッシュがスタートすることになる。

 

無死満塁から

5番 タイムリー安打 1点目

6番 タイムリー安打

7番 四球で押し出し

8番 四球で押し出し

9番 死球で押し出し

1番 タイムリー安打

2番 三振

そして一死満塁から

3番 タイムリー安打

4番 四球で押し出し

5番 タイムリー安打

6番 タイムリー安打 10点目

7番 Wプレーで3アウト

 

すべての塁に走者がいる満塁場面は4番から回って1番まで7打席も続き、三振を挟んでさらに4打席続いた。昌平の与えた四死球は全部で12だったが、このうち4回表の四死球4つはすべて押し出し点につながり、花咲徳栄が大量点をたたき出す大きな要因になった。15人目の7番打者がWプレーに打ち取られてようやくスリーアウトになって、長かった「満塁ドラマ」は幕を閉じた。

 

花咲徳栄の先発・左腕額川康一投手は大差をつけたこともあって4回で降板、その後に継投した2人とともにチームを勝利&優勝に導いた。

 

一方の昌平の投手陣は5人の継投で強力打線に挑んだ。先発は背番号21、2番手は20、3番手は22、そして4回途中からは今大会に実績のある背番号10、さらに同17が登板して5人による継投策になった。しかしながら与四死球も多く、23安打を浴びたこともあって最初から最後まで試合のリズムをつくれず大敗とした。しかし今大会の苦い経験は夏に向けて成長するための反省材料にはなっても、けっして無駄にはならないだろう。

 

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