報徳学園に1点差勝ち、接戦を制す

 

緊迫感のある決勝戦を制したのは高崎健康福祉大学(群馬)=健大高崎だった。センバツは2年連続7度目の出場、これまで4強が最高成績だったが、この春は初の決勝進出も決めて、その勢いで近畿の強豪・報徳学園を接戦の末に下し、春夏通じて初優勝を飾った。さらに群馬県勢初の春Vという快挙も成し遂げた。

 

22年ぶり3度目の優勝をめざした報徳学園は、あと一歩のところで頂点に届かず、昨春に続いて悔しい2年連続の準優勝となった。この日の入場者は3万4000人を超え、1点をめぐる熱い攻防戦に大きな声援が送られた。

 

先制したのは地元の報徳学園。1回表に安打と四球で塁を埋めると、5番・安井康起外野手が右に2点タイムリーを放ち、アルプス席はもちろん内、外野からも大きな歓声が沸いた。

 

その裏、健大高崎も四球と安打で二死1、2塁のチャンスをつくると、5番・森山竜之輔内野手が左越え2塁打で2点を返して同点に追いつく。さらに3回裏には1番・斎藤銀乃助外野手の右3塁打で一死3塁にして、ここで3番・高山裕次郎内野手が勝ち越しのタイムリーを放って3-2に。この1点が結果的に決勝点となった。

 

 

報徳学園には逆転チャンスもあった。6回表に2連打などで無死2、3塁の絶好の場面をつくり、次打者の内野ゴロで3塁走者がホームを突いたがタッチアウト、同点に追いつくチャンスを逃がした。

 

4回以降は両校の先発投手が無失点に抑えてスコアはゼロ行進。先発した健大高崎の右腕石垣元気投手は主将でもある箱山遥人捕手の好リードで8回まで丁寧に投げて1点差を守った。そして9回からは準優勝戦で指のまめをつぶした左腕佐藤龍月投手が登板、最後の打者を三振に打ち取って、決勝でも2年生投手の2人による継投策で春夏通じて甲子園初優勝をつかみ取った。

 

青栁博文監督は群馬県出身の51歳、同校創部から22年間指揮を執り春夏10回の出場経験を持つ。悲願の優勝を果たし、「これまで支援してくださったたくさんの関係者の皆さんに感謝します」と勝利後に述べていた。

 

報徳学園は先発した右腕今朝丸裕喜投手が149㌔のストレートなどで8回85球を1人で投げ切ったが報われずに惜敗。それでも好投手としての評価をさらに高めた春だった。また二遊間、三塁手の堅守も目立った。

 

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低反発バット影響も

本塁打3本は大会最少、接戦目立ち1点差で明暗

 

今大会から低反発の金属バットが導入されて、その影響は少なからずあった。本塁打はランニングホームランを含めてわずか3本、過去最少記録になった。優勝した健大高崎も準優勝の報徳学園も5試合戦って本塁打0に終わった。

 

打球は確かに飛ばなくなった。金属バットが採用されてから50年、本塁打が10本以上出た大会は何回もあり、これまでの最少は5本だった。今大会ではさらに2本減って「記録更新」したことになる。ただ、安打数は直近の大会に比べてやや少なくなった程度で、極端には変わらなかったようだ。

 

今大会は接戦で勝敗が決まった試合が目立った。1回戦から決勝までの31試合のうち、1点差の接戦で決着したのは11試合もあった。2点以内では16試合に達し5割を超えた。本塁打が出にくい低反発バットでは、投手戦の展開になりやすく一挙に得点を稼ぐというビッグイニングはつくりづらい。打撃戦よりも投手戦が多くなるのも当然なこと。

 

これからは終盤に5点以上の差をひっくり返して奇跡の逆転劇を起こすという試合はなかなか見られなくなりそうだ。決勝戦は1点差の決着で明暗を分けたが、今大会を象徴するような好勝負の試合になった。

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