前頭上位は混戦、三役入り争奪戦に

 

■横綱照ノ富士の連覇か、新大関琴ノ若の初優勝か

 

大相撲春場所は3月10日にエンディオンアリーナ大阪で初日を迎える。久しぶりに1横綱4大関の番付となった。4大関になるのは2021年名古屋場所以来、約2年半ぶりで春場所は順当に横綱、大関陣を中心にした優勝争いが展開されそうだ。

 

初場所で優勝した東横綱の照ノ富士は連覇と10度目の優勝をねらう。大関陣の中で照ノ富士を破って賜杯を掴みとり、綱とりに名乗り上げる力士はいるのかー。

 

新大関の琴ノ若は西の2番手に座った。初場所で綱とりを逃がした霧島が東の1番手、終盤に休場した豊昇龍は西の1番手、8度目のカド番となる貴景勝は東の2番手となった。4大関は白紙の状態で綱とりレースのスタートラインに立つことになる。

 

若元春は2場所ぶりの関脇復帰。初場所は平幕で10勝5敗、春場所に2ケタの勝ち越しを決めて大関昇進に向けての起点をつくる可能性は十分にある。大関候補だった元関脇の若隆景もケガを克服し、十両に復帰した。年内には兄弟力士が再び幕内上位で大関とりを競う時が来るかもしれない。東関脇の大栄翔は関脇で5場所連続勝ち越し、爆発力を発揮すれば大関も視野に入ってくる。

 

阿炎は2場所ぶり、錦木も3場所ぶりに小結に返り咲いた。横綱から小結までの新番付は相撲ファンならば簡単に予想できるものではあった。

 

■新番付、負け越しはダウン幅少なく、勝ち越しは大幅アップ

 

悩ましかったのは前頭上位の番付編成。初場所は幕内上位には負け越した力士や休場力士が多くいたことで、「前頭上位はどんな番付表になるのだろうか」と注目を集めていた。通常ならばひとつ勝ち越せば1枚アップ、ふたつ勝ち越せば2枚アップという具合に勝ち越し分だけ番付が上がるというのがひとつの目安になる。負け越した場合は逆に下がる。しかし、初場所の力士の成績を見比べてみると、このアップダウン方式にこだわって編成するとうまく収まらないのは明らかだった。

 

 

スポーツ紙、全国紙の予想でも前頭1枚目から3枚目まではほぼ一致していたものの、3枚目から5枚目までは微妙に異なっていた。たとえば、前頭15枚目で11勝4敗の好成績だった大の里の場合、通常ならば8、9枚ほどのアップで、前頭7枚目前後までになるのだが、10枚アップして西前頭5枚目に滑り込んだ。新聞によっては5枚目以下に予想したところもあったので評価は分かれたことになる。番付編成は杓子定規にいかないのは当たり前で、星取表を総合的に検討し、弾力的につくるものである。春場所の番付は結果的には負け越し力士のダウン幅は少なくして、中位、下位で勝ち越した力士を大幅アップすることで決着をつけたことになる。

 

たとえば、西小結で6勝9敗と負け越した宇良の場合、通常であれば前頭2、3枚目まで落ちてもおかしくないけれど東前頭1枚目に留まった。また、西前頭1枚目の熱海富士も6勝9敗と負け越したにもかかわらず、東前頭2枚目に1枚下がっただけ。翠富士も東前頭2枚目で5勝10敗と大きく負け越したが、3枚ダウンの東前頭5枚目に収まった。

 

一方、勝ち越して大幅に上がった力士も多かった。西前頭7枚目で9勝3敗3休と勝ち越した朝乃山は三役目前の西前頭1枚目まで6枚も上がった。また、西前頭9枚目で9勝6敗だった明生は西前頭2枚目まで7枚もアップ、平戸海も西前頭8枚目で8勝7敗とひとつ勝ち越しただけで西前頭4枚目まで一気に4枚も上昇した。

 

幕内下位からの大幅アップも目立った。王鵬は西前頭11枚目で10勝の2ケタ勝利を果たして東前頭3枚目に8枚も上がり、東前頭12枚目だった隆の勝も10勝して9枚アップし西前頭3枚目に。

 

 

そして、初場所に初入幕した期待の逸材・大の里は西前頭15枚目で11勝4敗の好成績を残し、10枚アップして西前頭5枚目まで急上昇、春場所では横綱・大関陣とも対決する位置まで上がってきた。

 

■前頭上位陣は激戦、三役入りねらう10人

 

前頭筆頭から同5枚目までの10人の顔ぶれをみると、三役経験者、期待の逸材などが揃った。再び三役入りをねらうのは宇良、朝乃山、明生、隆の勝、翔猿の5人、新三役を目標にするのは熱海富士、王鵬、平戸海、翠富士、大の里の5人だ。

 

初場所に新小結で土俵に上がった宇良は、前半に横綱大関陣との対戦もあって黒星を重ねたが、後半は本領を発揮、千秋楽では伝え反りという珍しい決まり手で竜電を破って館内を沸かせた。相撲の醍醐味を見せて人気は抜群、前頭最上位で勝ち越せば再度の三役入りは確実だ。

 

大関経験者の前頭筆頭の朝乃山は2場所連続で途中休場しているが、体調が万全なら2ケタ勝ち越しで一気に関脇まで駆け上がる可能性もある。

 

熱海富士の初場所は厳しい前頭1枚目の位置で6勝と善戦した。今後、幕内上位陣との対戦を経験して力をつけていけば、21歳・成長株力士の三役入りは時間の問題だ。さらに伸びしろ十分の24歳の王鵬、23歳の平戸海にも注目したい。

 

大の里は初場所の後半に関脇琴ノ若、大関豊昇龍、横綱照ノ富士に3連敗して力の差を見せつけられたものの、終盤は3連勝して立て直した。将来を期待できる大器であることは間違いない。

 

大関4人衆による綱とりレースとともに、前頭上位陣による三役争奪戦も2024春場所の見どころになるだろう。

 

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