照ノ富士、霧島などが1敗で追う

 

■序盤戦で早くも優勝候補が絞られた

 

大相撲初場所は序盤戦(4日目)を終えて、全勝は大関豊昇龍(24=立浪)、関脇琴ノ若(26=佐渡ヶ嶽)、前頭7枚目の朝乃山(29歳=高砂)の3人だけになった。そして1敗で横綱照ノ富士(32=伊勢ケ浜)、大関霧島(27=陸奥)、関脇大栄翔(30=追手風)、大の里(23=二所ノ関)などが追う形になった。

 

今場所は大関、関脇陣5人が初日から揃って2連勝するという珍しい幕開けとなった。3場所ぶりに復活優勝をねらって出場してきた横綱照ノ富士は、2日目に土がつき、そして2場所連続優勝で綱とりをねらう大関霧島も4日目に初黒星を食らった。いずれも優勝をねらうためにはもう負けられない状況にある。いずれにしても序盤戦で全勝、1敗で通過した前述の7人による優勝争いになる可能性が強い。

 

この中では大きく勝ち越して大関昇進の足固めをめざす関脇琴ノ若の相撲内容がいい。また、大関豊昇龍も日増しに動きが良くなってきて、本来のスピードと粘り強さが戻ってきている。大関経験者の朝乃山も自分の形をつくって白星を積み上げて4連勝。

 

富山出身の朝乃山と4場所で初入幕を果たした石川出身の大の里はともに能登半島地震の被災地の人たちに「元気」を届けるつもりで土俵に上がっているはずだ。その気迫に期待したい。

 

前頭筆頭まで番付を上げてきた注目力士の熱海富士(21=伊勢ケ浜)は、初日から3大関と連続で対戦し3連敗。4日目も琴ノ若に敗れて4連敗中、やはり上位との力差はある。もっとも歴代横綱もこの位置に上がってきた時は、大きな壁を壊せずにほとんどは負け越している。この試練を経験して大関・横綱の道を切り開いてきたわけで、力をつける時間を与えられている、と思えば悲観することはない。

 

初場所は幕内、十両では1人も休場力士のいない、きれいな番付表だった。しかし、連勝でスタートした大関貴景勝(27=常盤山)は2日目の熱海富士戦で首の痛みを再発し、4日目から休場、来場所は8度目のカド番になった。すでに小結高安は3日目から休場している。

序盤戦ダイジェスト 

■照ノ富士の復活優勝はあるのか

 

照ノ富士の初日の対戦相手は新三役の宇良(31=木瀬)。両力士はケガのために長期休場を強いられ、いずれも番付は序二段まで急降下したが、奇跡の復活を遂げた。横綱と小結の番付で対戦するのは初めてとあって、懸賞金は47本と千秋楽の結びの一番並みの多さだった。館内には両力士への声援も込めて大きなどよめきが上がった。

 

立ち合い後、照ノ富士は相手の腕をきめて、小手投げの状態で強引に振り回し、そのまま土俵の外に押し出した。宇良の右ひじは大丈夫か、と心配されるほどの怪力ぶりを発揮して白星発進。宇良は柔軟に動いてケガを免れたが、他の力士だったら骨折していたかもしれない。

 

ところが、2日目の若元春(30=荒汐)との対戦で異変が起きた。1分40秒の長い相撲の末に寄り切られて相手に初の金星を配給。稽古不足で不安視されていたスタミナ不足を露呈する結果になってしまった。3日目は阿炎(29=錣山))に引っ掻き回されて粘られたが、最後はとったりを決めて連敗は逃れた。4日目は初顔合わせの豪ノ山(25=武隅)を上手投げで下し3勝1敗に。いずれにせよ初場所のキーマンになるのは横綱照ノ富士で、最後までこのまま相撲が順調に取れるのかどうかで、優勝ラインは決まりそうだ。

 

 

■大関霧島、連続優勝で綱とりへ

 

先場所に2度目の優勝を果たし、初の綱とりに挑む大関霧島は稽古量も豊富、綱とりを目標に体調を調整して初場所に臨んだ。

 

初日は関脇から前頭筆頭に降格した若元春と対戦。相手の動きをみながら冷静に引き落として白星発進。霧島の幕内での初日における勝敗をみると、12勝11敗(不戦敗含む)と勝率は5割ほどで鬼門になっていたが、幸先のいいスタートを切った。2日目は対戦成績で負け越している高安(33=田子ノ浦)を攻め続けて2連勝。3日目は成長著しい熱海富士の攻勢をこらえて、もろ差しになって寄り切った。

 

ところが4日目にまさかの初黒星。動き回る翠富士(27=伊勢ケ浜)を掴まえられず、相手の得意技である肩すかしを決められて不覚の1敗を喫した。これから白星をひとつずつ積み上げていくしかないだろう。

 

■大関豊昇龍、柔軟な動きと粘り強さ

 

大関豊昇龍の目標も優勝だ。初日に熱海富士、2日目に翠富士、3日目に宇良を格の違いを見せつけて3連勝。4日目は若元春を珍しい送り投げで下して4連勝。柔軟性、粘り強さ、軽快な動きを武器にする豊昇龍の相撲だった。綱とりに挑戦するためには、優勝の実績をつくる必要がある。それがこの初場所になるのだろうか。

 

関脇琴ノ若、優勝&大勝で大関とり

 

大きく勝ち越せば大関昇進の可能性もある関脇琴ノ若。初日は前頭2枚目の阿炎の激しい突きを落ちついて受け止め、強い相撲で押し出した。2日目は豪ノ山(25=武隅)を豪快な上手投げで仕留めて2連勝。3日目は翠富士を肩すかしで下し3連勝。4日目も熱海富士を肩すかしで倒して4連勝とした。

 

この初場所で優勝争いに加わって13勝以上すれば、直近が9勝、11勝だから大関昇進の可能性も出てくる。三役で6場所連続勝ち越している安定感は抜群だが、12勝以上の経験はなく、果たして大勝できるかどうか。初場所はまず2ケタ勝ち越しで大関とりの足固めにする。大関昇進は時間の問題で、今年早い時期には実現できるだろう。

 

関脇大栄翔は序盤戦を3勝1敗で終えた。どこまで白星を伸ばせるか。直近2場所の成績は10勝、9勝だから初場所に13勝しても数字的には足りないかもしれないが、大関候補の1人ではあることには変わりない。

 

■熱海富士、上位と総当たりで苦戦

 

2場所連続V争いに参戦し、初の三役入りをねらう熱海富士。初日は大関豊昇龍に寄り切られ、2日目は大関貴景勝と突き押しの攻防戦を展開したけれど惜しくも敗れた。3日目は大関霧島に圧倒されて3連敗。4日目に大関候補の関脇琴ノ若に肩すかしを食らって4連敗。幕内上位陣と総当たりする前頭筆頭の位置では厳しい土俵になりそう。それでも年内には三役入りする逸材だ。

 

朝乃山と大の里、北陸に「元気」を

 

富山出身の朝乃山が元大関の底力を発揮して快調だ。初日は前に出る相撲で一山本(30=放駒)を押し出して白星。2日目も強さと巧さで金峰山(26=木瀬)を破って2連勝。3日目は大型力士の湘南乃海(25=高田川)を寄り切って3連勝。4日目も2㍍の北青鵬(22=宮城野)を一気に寄り切って4連勝。

 

昨年はふくらはぎを痛めて途中休場もあって番付は足踏み状態に。実力を発揮できる体調に戻ってくれば2ケタ勝ち越しはもちろん優勝争いにも参入してきてもおかしくない。

 

所要4場所での新入幕を果たした石川県出身の大の里は、武将山(28歳=藤島)の鋭い立ち合いにも動ぜずに、はたき込んで初日白星を飾った。2日目は前場所に十両の優勝決定戦で敗れた琴勝峰(24=佐渡ヶ嶽)を問題にせず、力強く押し倒して2連勝。

 

3日目は三役経験のある阿武咲(27=阿武松)に押し出されて初黒星を喫した。4日目は初日から3連勝の島津海(27=放駒)を一気に押し出す圧倒的な相撲で3勝目。192㌢、体重182㌔の大器は、まず「勝ち越しをめざす」というが、2ケタ勝ち越しもありそうな強さを見せつけている。

 

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