九州場所で13勝V、年間最多勝も受賞

 

■相撲内容に安定感、綱とりには「いつも通りに稽古をするだけ」

 

大相撲九州場所は、大関霧島の4場所ぶり2度目の優勝で幕を閉じた。来年1月の初場所では初の綱とりに挑戦する。東京・両国国技館で1月14日に初日を迎える初場所の最大の関心事は、はたして第74代横綱は誕生するのか、しないのかーである。

 

今年は優勝2回で62勝をマーク、年間最多勝も受賞した。7月の名古屋場所は新大関での場所だったが、背中付近のケガの痛みのために初日から休場、3日目から土俵に上がったものの、結果は6勝7敗2休に終わって、いきなりカド番に追い込まれた。翌場所は体調を立て直して9勝6敗と勝ち越し、そして大関3場所目できっちりと賜杯を抱いた。

賜杯を抱く霧島(NHKテレビから)

 

ケガを克服した霧島は体も腕もひと回り大きくなっていたように思えた。相撲内容も安定しており、力強さも戻っていた。6日までに平幕に2敗する予想外の展開、しかし、7日目からは白星を重ねて9連勝。14日目には2場所連続で優勝争いに加わった新鋭の熱海富士を相手に、もろ差しの態勢をつくって圧勝。千秋楽では大関貴景勝の動きをよく見て、あっさりと叩いて優勝を決めた。

 

優勝インタビューでは開口一番、「「うれしいです」。そして、優勝できた理由については、「場所前に十分な稽古ができたおかげ」と答えた。大関昇進を機にしこ名を霧馬山から「霧島」に改名した。師匠の陸奥親方(元大関霧島)が現役の時に名乗っていたしこ名をもらってから初めての優勝でもある。師匠も「よく稽古をした。その結果でしょう」とコメントした。

 

入門した時から横綱をめざしてきた大関霧島。「初場所は綱とりに向けて、いつも通りに稽古するだけ」と謙虚に語っていたが、綱とりの成功確率はかなり高いと予想する。その理由は2度の優勝で自信をつけた上に、さらに稽古を積み上げて体力、気力を充実させて挑んでくるはずだから。もっともケガの再発がなければという条件は付くけれど・・・。

 

平成以降に2場所連続優勝して横綱昇進できなかった例はない。初場所に13勝以上の優勝、あるいは同点優勝ならば第74代横綱の誕生は確実だ。

 

もちろん、相撲内容も重視されるが、安定感のある霧島の場合は、懸念材料にはならないだろう。協会の八角理事長の霧島に対する評価は、「落ち着いていた。気持ちのいい力士だ」と好意的。2024年の相撲界、またファンの間にも間違いなく横綱待望論は高まってくるだろう。

 

今年、2人の大関が誕生した。先行した大関霧島は3場所目で優勝を果たしたが、その次に昇進した大関豊昇龍の2場所成績は8勝、10勝にとどまり、まだ優勝争いには参戦できていない。昇進前の関脇時代に比べると、勢いはやや弱くなっている。

 

九州場所の豊昇龍は序盤から快調に白星を重ねた。ところが5日目の豪ノ山戦の立ち合いで手をつかず、1分20秒も動かなかった態度に横審メンバーから苦言が出た。これが心理面に影響を与えたのだろうか、この以降の相撲では土俵際の攻めが甘くなったり、持ち味の粘り強さが見られず敗れるケースもあった。大関昇進3場所目になる初場所では、霧島の綱とりを阻止するぐらいの気迫で土俵に上がってくることを期待したい。

 

■大栄翔と琴ノ若は、初場所に大勝すれば大関昇進も

 

関脇の琴ノ若は11勝4敗の好成績で大関に向けての起点をつくった。2場所前は関脇で9勝しており、初場所で13勝すれば、「直近3場所、三役で33勝」をクリアするため、大関昇進の可能性もある。今年の成績は三役の座にいてすべて勝ち越し、力をつけているのは明らかで大関になるのは時間の問題だ。

 

関脇大栄翔は9勝で2ケタ勝ち越しを逃した。しかし、安定感は抜群で年間勝利60勝は霧島に次ぐ第2位の成績だった。初場所で14勝以上すれば大関昇進の声も出てくる。幕内優勝の経験があるだけに、勢いに乗れば不可能ではない。

 

2場所連続で11勝4敗の2ケタ勝ち越しを達成した熱海富士の快進撃に注目が集まっている。ただ、大関、関脇陣との取り組みでは、この2場所で1勝4敗とまだ力差はある。初場所の番付では前頭筆頭に躍進してくるだろうが、序盤から大関をはじめ番付上位との対戦が組まれる位置なので、厳しい土俵になりそう。それでも8勝以上の成績を残して三役入りを決めれば、年内に大関をねらえる力士に成長するかもしれない。いずれにしても初場所は熱海富士にとっては正念場の土俵になる。

 

■人気力士の宇良、初の三役入り濃厚に

 

西前頭筆頭で8勝7敗と勝ち越した宇良の初の三役昇進が濃厚になった。初日から番付上位陣との対戦が続いたこともあって5連敗。小兵、業師と評されて人気のある宇良だが、後半からは見違えるような強さを発揮した。終盤は押し出し、寄り切り、押し倒しなど攻める相撲を連発して8勝に届いた。見事な逆転勝ち越しだった。

 

2017年11月の九州場所では、宇良は前頭4枚目にいた。ところが三役を目前にして大ケガ、長期休場に追い込まれて番付は急降下、序二段まで落ちた。そこから治療やリハビリ、筋力アップなどを懸命にやりながら土俵に復帰、6年の歳月を経て前頭上位に戻ってきた。九州場所では自己最高位の西前頭筆頭に座り、ここで勝ち越したことで悲願の小結昇進を果たすことになる。

 

この1年、幕内上位陣との対戦が多かったにもかかわらず年間成績は47勝43敗、大きく負け越した場所はなく、7勝~9勝の成績を残した。三役で相撲を取ることによって自信もついて、さらに人気も存在感も増してくるはずだ。

 

西前頭8枚目の熱海富士も11勝4敗の好成績を残したので、小結昇進の可能性はゼロではない。しかし、千秋楽に敗れて11勝にとどまったことで、2人小結の番付編成になれば、東小結は高安、西小結には宇良が座ることになるだろう。

 

大関貴景勝は9勝6敗に終わり、2場所連続優勝はならず、綱とりは振出しに戻ってしまった。関脇若元春は元気なく6勝9敗、前頭に陥落する可能性大で、初場所は出直しの場所になる。

 

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