出場枠改革で甲子園に新しい風

 

東北、東海は1増、21世紀枠は1減、中国・四国比較は廃止

 

来春の第96回選抜高校野球大会(=センバツ)は、2024年3月18日に阪神甲子園球場で開幕、30日までの13日間の日程で開催される。

 

出場校は例年通りの32校。内訳については20年ぶりに改革されて、21世紀枠が1枠減って2枠になり、また中国と四国地区の比較枠が廃止され、一方で東北地区と東海地区の枠がそれぞれ1枠増えて3枠となった。

 

東北地区は6県ありながら2枠では少ない、ということで1枠増となった。東海地区は加盟校、部員数が多いことを考慮して、以前の3校に戻すことになったもの。出場校の割り当てを均等にするための改革に取り組んだ結果で、春の甲子園にどんな新しい風が吹いてくるのか、注目される。

 

再編によって、出場32校の内訳は一般枠29校、特別枠3校(21世紀枠2校、神宮大会枠1校)となった。

 

地区別の一般枠は、北海道1、東北3、関東・東京6、北信越2+神宮枠1、東海3、近畿6、中国2、四国2、九州4となった。関東・東京については例年通りに関東4、東京1を選んで残りの1枠を両地区の比較で決める。神宮枠は従来通りの1枠で、来春は星稜の優勝によって北信越地区に与えられ計3校が出場することになった。

 

出場校は来年1月26日に開かれる選考委員会で決定。組み合わせ抽選会は3月8日に行われ、3月18日に開幕する。

 

2024年センバツの

出場校を予想する

 

【北海道】1枠

優勝した北海で文句なし。決勝では延長10回タイブレークで東海大札幌を下した。

 

【東北】3枠

1枠増えて3枠になった。決勝は青森山田が八戸学院光星(青森)との青森対決を3-0で制した。この青森勢2校は当確。

 

3枠目は4強の一関学院(岩手)と学法石川(福島)の一騎打ちになる。準決勝で一関学院は優勝した青森山田に0-4で敗れ、一方の学法石川も夏8強だった準優勝の八戸学院光星に0-1で惜敗した。いずれも打線が振るわず、完封負けを喫している。両校とも強調できる評価ポイントがないだけに悩ましい選考になりそうだ。

 

地区大会の学法石川は4試合で13得点8失点、一関学院は3試合で7得点5失点。学法石川は福島3位での出場ながら、宮城1位の聖和学園、秋田1位の金足農業を連破しての4強入り。岩手1位で出場した一関学院は福島2位の光南、秋田2位の秋田修英を下しての4強入りだった。比較すれば3枠目は学法石川がやや有利か。

 

【関東・東京】 6枠 (関東4、東京1、比較1)

<関東>

関東4枠は優勝した作新学院(栃木)と準優勝の山梨学院は当確。4強の常総学院(茨城)、健大高崎(群馬)も順当に決まる。

<東京>

東京1枠は優勝した関東第一で文句なし。

<比較>

関東と東京の比較で決まる1枠は、来春は関東から選出される可能性が強い。関東8強の中では準優勝した山梨学院と準々決勝で対戦し、延長11回タイブレークの末に2点差で敗れた桐光学園(神奈川)と、初戦に強豪・横浜を打撃戦で撃破し、準々決勝で常総学院に5-10で敗れた花咲徳栄(埼玉)が候補になる。

 

この2校と東京地区で準優勝した創価の比較になるが、最近は2年連続で東京地区から選ばれているだけに、さすがに3年連続はないか。今回はレベルの高い関東からの選出になりそう。試合内容から比較すると桐光学園が有利だ。

 

【北信越】2枠+1枠(神宮枠)

北信越地区代表の星稜(石川)が、明治神宮大会を制したので「神宮枠」1枠が増え、3校が出場できる。優勝した星稜と準優勝の敦賀気比は当確。

 

3校目は4強の日本航空石川(石川)と北陸(福井)の争いとなる。準決勝では日本航空石川は準優勝の敦賀気比に延長10回タイブレークの末に1点差で敗れ、北陸は優勝した星稜に5点差負けを喫している。

 

初戦で福井2位を下し、準々決勝ではコールド勝ち、準決勝では決勝進出のチャンスもあった日本航空石川が優勢だ。

 

【東海】3枠

1枠増えて3枠になった。決勝は8-7の大激戦で豊川(愛知)が愛工大名電(愛知)を破った。この愛知勢2校は当確。残り1枠は4強の藤枝明誠(静岡)と宇治山田商(三重)の争いだが、準決勝で優勝校に1点差で惜敗した宇治山田商が優勢だ。

 

【近畿】6枠

優勝の大阪桐蔭、準優勝の京都外大西は当確、さらに4強の京都国際、耐久(和歌山)も確実、そして8強から2校が選出される。

 

まず、優勝した大阪桐蔭に準々決勝で3-4の1点差で惜敗した報徳学園(兵庫)の5枠目は濃厚。6校目を近江(滋賀)、履正社(大阪)、須磨翔風(兵庫)の3校で争う。近江は2試合で2得点1失点と投手力の高さが目立ち、履正社は2試合で15得点、7失点で打撃力に強みがある。須磨翔風は2試合で6得点5失点とアピール度はやや弱い。

 

6校目は近江と履正社の一騎打ちになりそうだが、履正社を選出すれば大阪勢2校になるため、投手力と守備力に優れた滋賀の近江が地域性も考慮されて6校目に滑り込むと予想する。

 

【中国】2枠

優勝した広陵(広島)と準優勝の創志学園(岡山)の2校で決まる。

 

【四国】2枠

優勝の高知、準優勝の阿南光(徳島)の2校で決まる。

 

【九州】4枠

優勝の熊本国府(熊本)、準優勝の明豊(大分)は当確、4強の神村学園(鹿児島)、東海大福岡も濃厚。地域的バランスもいいので4校で順当に決まる。

 

【21世紀枠】2枠

東西関係なく2校選出

 

21世紀枠は前回まで3校を選出していたが、来春から1枠減って2校になる。すでに都府県推薦校46校が出そろっており、今後は東北から九州までの各地区で1校に絞られ、12月8日に北海道を合わせた9校が地区候補校として発表される。その後、来年1月26日の選考委員会で東西関係なく2校を選出する。

 

21世紀枠は「秋季都道府県大会のベスト16以上(加盟校129校以上の場合はベスト32以上)」が対象。その条件を前提に▽練習環境などの困難を克服した▽文武両道など他校の模範になっている▽地域に貢献する活動をしている▽近年の成績はいいのに甲子園出場の機会に恵まれていないーなどの基準を満たしているか、総合的に判断して選出される。

 

地区大会出場組は有望、選出校はほとんど公立

 

発表されている都府県推薦校46校のうち都府県大会で、優勝しているのは大手前高松(香川)だけだが、光南(福島)、富山北部(富山)、田辺(和歌山)、岡山城東(岡山)の4校も準優勝の成績を残して、いずれも地区大会出場を果たしている。

 

直近3年間の21世紀選出校をみると、県大会などで優勝、準優勝した地区大会出場組が5割を占めていることから、前述の5校のうち数校は地区候補に推薦され、1校は甲子園出場を果たしそうだ。もう1校は都道府県大会で8強以上の成績を収めた特色のある学校が選ばれると予想する。

 

私立校出場は過去1回のみ、選出なら奇跡的

 

都府県段階では私立校も大手前高松をはじめ、日大二(東京)、鎌倉学園(神奈川)など7校が推薦されている。しかし、21世紀枠での出場は圧倒的に公立校が多く、私立校の出場は過去1校しかなくて、とてつもなくハードルは高い。「候補に参加するだけ」になっているのが実態で、地区候補に推薦されても0~2校までだろう。

 

3枠から2枠に減ったことで、私立校の甲子園出場はさらに厳しくなるのか、それとも改革をきっかけに「奇跡的な選出」もあるのだろうか。いずれにしても地区候補9校が12月8日に発表されるまでは、出場校を予想するのはかなり難しい。

 

 

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