連覇ねらう仙台育英を8-2で撃破

 

慶応の強さは本物だった。夏連覇をねらう仙台育英に1度のリードも許さず、8-2で撃破して、107年ぶり2度目の優勝を飾った。仙台育英の史上7校目の連覇はならなかった。

 

初回から慶応が動いた。1番・丸田がいきなり右翼スタンドにソロ本塁打を放ち、先制点を奪った。さらにラッキーな内野安打で1点を加えて2-0と先行。2回表にも丸田に右前タイムリーが出て、3点のリード。

 

一方、仙台育英は3回まで2点を返し、1点差に追い上げた。接戦の試合になるかと予想されたが、5回表、慶応の打線が二死から長短打を集めて一挙5点を奪って、試合の流れをつくった。慶応は13安打8得点、仙台育英は7安打2得点。慶応が打ち勝って決着をつけた決勝戦でもあった。

 

準決勝で9回を1人で投げ抜いて完封した2年生の右腕小宅が5回から継投、5回無失点の好投で夏の頂点に導いた。

 

 

この日の入場者は4万2100人。売り切れて当日券はなし、東日本同士の決勝戦なのに球場は超満員。準決勝の慶応応援団は1万人だったが、この日もアルプス席に入り切れず、内野席、外野席にも多数が陣取って大声援を響かせた。仙台育英の投手陣は相手の大応援団に屈することなく、6回以降は継投で無失点に抑えて、決勝戦にふさわしい好ゲームを展開させた。

 

慶応の大応援団はアルプスのほか内野・外野にも

 

大正時代の第2回大会で優勝した古豪が、昭和、平成時代を経て、令和5年の夏に劇的な復活優勝を遂げた。慶応野球部の関係者はもちろん、高校OB、慶応大学OB、高校所在地の地域の人々、そして高校野球ファンなどで「慶応応援団」を結集、深紅の優勝旗を手元に引き寄せた。

 

森林貴彦監督は、優勝後のインタビューで「「球場内の観衆、テレビ、ネットの向こうで応援してくれた多くの人たちのおかげで今日の結果(優勝)がある。優勝することで高校野球の可能性や多様性など新しい姿が見えてくると思っていた。うちは部員100人を超える大所帯、ベンチに入れるのは20人だが、他の部員もそれぞれの役割を果たしてくれた」と敬意を表した。

 

「管理野球」から選手が自ら考える「自主性重視」の野球へー慶応の優勝は、新しい高校野球への道しるべを示したのかもしれない。

 

主将の大村内野手は、「つらい思いをしてきたがやっと報われた。漫画に描いたようなシナリオで優勝できて、うれしい」と喜びを語った。また、初回に先制本塁打を放った丸田外野手は「最高の夏。本塁打はこれまで打てなかったが、この決勝まで取っていたのでしょう」。決勝で先頭打者が本塁打を放ったのは史上初の快挙とか、消えない記録も残した夏だった。

 

浦和学院、聖光学院、履正社、花巻東などの強豪校を倒して、2年連続で決勝進出を果たした仙台育英。惜しくも敗れたが、須江航監督は、「慶応は強かった」と率直に認めた。そして「優勝した慶応に、拍手を送っていたうちの選手たちを誇りに思う」とも語った。

 

春のセンバツでは慶応は初戦で仙台育英と対戦、延長10回タイブレークの末に1-2で敗れた。この敗戦をきっかけに選手たちが奮起、この夏に決勝でリベンジを果たした。ある意味では「恩返し」になったのか。また、両校が揃って甲子園に戻って、再び対戦する日も近いような気がする。

 

■表彰式

 

大優勝旗を受け取って列に並ぶ大村主将

 

優勝盾を笑顔で受け取りに行く4番・延末

選手とメンバーたち

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U18W杯 

仙台育英から右腕高橋など4人、慶応から丸田が出場

 

31日に台湾で開幕するU18W杯に出場する日本代表のメンバー20人が22日に発表された。この中には仙台育英から右腕・高橋煌稀投手、尾形樹人捕手、山田脩也内野手、橋本航河外野手の4人、慶応からは丸田湊斗外野手が選出されている。

 

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