3時間超の激闘、好投手3人の継投で初戦突破

 

■仙台育英19安打19得点、浦和学院18安打9得点

 

8月6日、夏の甲子園が開幕した。注目されていた第3試合目の強豪対決は仙台育英(宮城)が壮絶な乱打戦の末に19-9で浦和学院(埼玉)を倒し、夏の連続制覇に向けて豪快なスタートを切った。

 

両校合わせて37安打28得点という打ち合いの激闘は3時間以上のナイター試合となった。安打数は仙台育英が本塁打2本を含む19安打、浦和学院も18安打を放って強力打線の本領を発揮したが、10点の差をつけられて初戦敗退、15回目の夏の甲子園は終った。

 

観戦記

 

■予想できなかった試合展開、「投手戦」ではなく、「乱打戦」に

 

まさかの試合展開になった。

 

「投手戦になるのでは」と予想されていたが、その予想は見事にはずれ、打撃戦を超える壮絶な乱打戦で決着した。

 

仙台育英の投手陣は県大会5試合でわずか2失点、浦和学院の投手陣も県大会7試合で5失点しか許さなかった。だから「投手戦」と予想するのも当然だろう。乱打戦を制した仙台育英の須江航監督も勝利後に「こんな試合展開になるとは、0.0001%も予想していなかった」と語っていたようだが、「そうだろうな」とファンも共感できる。

 

仙台育英の先発は最速153㌔の本格派投手の右腕湯田統真投手、浦和学院はエースの左腕鈴木夕稀投手。

 

1回裏、仙台育英はいきなり5安打の猛攻で一挙4点を奪って主導権を握った。3塁側アルプス席の応援はいきなりのチャンス到来に一気に盛り上がった。さらに3回裏には2番手の右腕渡邊聡之介投手から7番・尾形樹人捕手が2ラン、続いて8番・湯田投手もソロ本塁打を放ち、計5点のビックイニングをつくって、9-0と大きくリードするという予想外の展開に。

 

浦和学院は3回まで散発2安打に押さえ込まれて無得点。このまま仙台育英が加点して圧勝で終わるのか、多くの観戦者がそう思ったかもしれない。しかしそうはいかなかった。4回表に強力打線が好投していた湯田投手を捕らえて反撃に転じる。中軸打線の3連打で2点、さらに長打で2点を加えて4点をもぎ取った。9-4と点差を縮めると、今度は1塁側アルプス席の応援が爆発した。

 

それでも仙台育英の打線は止まらない。5回裏に1点を加えて10点目を奪うと、6回裏には3番手以降の継投陣に対してタイムリー、スクイズ、相手エラーなどで打者一巡の5点を奪って15-4と再びリードを広げる。

 

浦和学院も巻き返しをねらう。7回表、2番手として継投したエースの右腕高橋煌稀投手を相手に打者一巡の猛攻で5点を返して15-9と追い上げた。この回に1年生の4番・西田瞬内野手はタイムリーを放ちこの試合で2安打2打点と逸材ぶりを見せつけた。

 

点を取られたら取り返すのが仙台育英の真骨頂だ。8回裏に2度目の打者一巡の攻勢をかけた。3安打と4四球で4点を加えて19-9にすると、最後は左腕仁田陽翔投手がマウンドに上がり1回を無失点に抑えてゲームセット。昨夏の優勝経験者である150㌔台の直球を投げる湯田、高橋、仁田の3投手を相手に18安打を放った浦和学院の打撃力が本物であることは証明できたのではないか。仙台育英の投手陣を相手に、それ以上の安打数をこの夏にマークできるチームはないかも。

 

安打数はほぼ同じ、三振数もほぼ同じ。でも得点数では仙台育英が2倍も多い。与えた四死球は仙台育英が3、浦和学院は9、そして失策は仙台育英が1だったのに対し、堅守を誇る浦和学院は6もあった。四死球と失策を最小限にとどめていれば、10点差の試合にはならなかったのではないか。しかし、それも暑い中で戦う夏の甲子園の初戦の怖さ、むずかしさでもあるのだろう。

 

仙台育英は2回戦では出場18回目の福島の強豪・聖光学院と第7日に対戦する。勝てば3回戦ではV候補の1校である履正社(大阪)とぶつかる可能性が強い。

 

 

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