リードされても逆転、1点差で勝ち切る底力

 

■中盤に5点差を逆転、最後はエース前田投手が締めた

 

大阪桐蔭が大会史上初の連覇を達成―第53回明治神宮野球大会の高校の部決勝が11月24日(木)、明治神宮球場で行われ大阪桐蔭(近畿代表・大阪)が、広陵(中国代表・広島)に6-5で逆転勝ち、2年連続で秋の頂点に立った。

 

大阪桐蔭の優勝で「神宮枠」は近畿地区が獲得、来春の第95回記念選抜大会では近畿の出場校は6から7に増えた。

 

昨秋の決勝も同じ両校が対戦し、大阪桐蔭が打撃戦の末に広陵を撃破して初優勝を飾った。今大会は因縁の対決となったが、広陵のリベンジはならず初優勝を再び逃がした。

 

大阪桐蔭 史上初の連覇達成

◇決勝

大阪桐蔭(近畿・大阪)

000 051 000=6

030 200 000=5

広陵(中国・広島)

 

広陵が2回裏に3点、4回裏にも2点を加えて5ー0とリードしたが、5回表に大阪桐蔭の打線が爆発、一気に5点を奪って同点に追いつくと、6回表に2番・山田太成外野手の内野安打で勝ち越しの1点を加えて逆転した。投手陣は4人の継投で逃げ切った。6回からはプロ注目の左腕前田悠伍投手がマウンドに上がり、4イニングを3安打無失点ときっちりと締めて、同投手は昨年に続いて優勝の瞬間をマウンド上で迎えた。

 

明治神宮大会で史上初の連覇を達成した大阪桐蔭は、準決勝、決勝ともに1点差勝ちで頂点にのぼりつめる離れ業をやってのけた。いずれも序盤にリードを許し、中盤で逆転してそのまま逃げ切るというパターンを繰り返した。勝ち上がってきた強豪を相手に「劣勢」→「逆転」→「1点差勝ち」を2試合連続で成し遂げられるのは、やはりチームの投手力と打撃力が突出しているからだろう。底力が違うということだ。

 

準決勝の相手は夏の選手権を制した仙台育英。準々決勝で9回裏に4点差をひっくり返して沖縄尚学に5-4で逆転勝ちした東北の強豪だ。決勝戦並みの好カードに、大阪桐蔭は最速148㌔のエース・前田投手を先発させて必勝態勢で臨んだ。しかし、注目のエースは制球難で四死球を重ね、序盤にタイムリーなどで2点を与え、4回までに1-2とリードを許した。

 

6回裏に大阪桐蔭は2点タイムリーなどで3点を奪って逆転に成功、8回にも1点を加えて5-2とリードした。仙台育英は9回表に2点を返して1点差に詰め寄ったが、最後は三振に打ち取られて決勝進出を阻まれた。

 

前田投手は制球難に苦しんだものの、9回161球を投げて6安打4失点で完投。四死球10を与えても最終的には勝利をつかみ取った。レベルの高さを証明する試合でもあった。

 

仙台育英が惜敗で大阪桐蔭を倒す「攻略法」のヒントを見つけたのであれば、この敗戦は春のセンバツにつながる収穫のある試合になったのではないか。

 

さらに、決勝の広陵戦でも大阪桐蔭は「勝ち切る力」を披露した。5点差がありながら打線が底力を発揮、中盤に長短打をまとめて一気に同点にすると、6回には決勝点となる1点を奪った。勝ち越したタイミングでエース前田投手を6回からマウンドに送り、その後の4回を無失点に抑え込んで、またしても1点差の6-5で勝利。シナリオ通りのストーリーになったのではないか。

 

昨秋の決勝では大阪桐蔭が11-7で広陵を下して初優勝。この試合では両チーム合わせて33安打という打撃戦が展開され、大阪桐蔭は5投手の継投で勝ち切った。5番手に登板した1年生の前田投手は2回3安打1失点で締めくくって優勝投手になっている。

 

■来春センバツの優勝候補は大阪桐蔭を中心に仙台育英、広陵など

 

今大会の前田投手は絶好調とは言えなかったようだ。本調子を取り戻し、さらに成長してくれば春のセンバツも当然V候補の筆頭になる。連勝することが当たり前になって、敗れたらニュースになるほどの存在になった大阪桐蔭を倒すのはどのチームなのか。

 

大阪桐蔭に1点差で敗れた仙台育英と広陵は春のセンバツでは打倒・大阪桐蔭をめざす。仙台育英は140㌔台をマークする好投手5人を揃えて投手力が高い。広陵は決勝で高校通算49号目を放った強打者の真鍋慧内野手を中心に打線も強力だ。そして、冬場を越えてパワーアップしてくるいくつかのチームもV争いに参戦してくるだろう。常勝チーム・大阪桐蔭もうかうかしていられない、そんなことになれば面白いのだが・・。

 

◆明治神宮大会 全試合結果

<決勝> 24日

大阪桐蔭6-5広陵

 

<準決勝> 21日

大阪桐蔭5-4仙台育英

広陵5-0北陸

 

<準々決勝> 20日

大阪桐蔭12-2クラーク国際 6回コールド

北陸 4-3 英明 

<準々決勝> 19日

仙台育英5-4沖縄尚学

広陵6-2東海大菅生

 

<1回戦> 18日

大阪桐蔭9-1東邦 

英明10-7山梨学院

 

近畿地区に神宮枠 

7校目は社と高田商の争い

 

近畿地区の一般枠は通常6校だが、大阪桐蔭(大阪)が神宮大会で優勝したことで「神宮枠」が加わり、7校に増えた。優勝の大阪桐蔭、準Vの報徳学園(兵庫)は◎確実。それに4強の龍谷大平安(京都)、智弁和歌山(和歌山)も◎当確。

 

残り3校を8強入りした4強で競うことになる。彦根総合(滋賀)は準々決勝で優勝した大阪桐蔭を相手に4-9で敗れたが、序盤ではエースの前田投手を攻めてリードするなど好内容な試合を展開した。履正社(大阪)も準々決勝で準Vの報徳学園と打撃戦を展開した末に惜しくも6-9で敗れた。この2校は5、6番目の出場校になる可能性が強い。

 

秋季近畿大会の結果と出場予想

【近畿】 6校+神宮枠1校

◎優勝  大阪桐蔭(大阪)

◎準V   報徳学園(兵庫)

◎4強  龍谷大平安(京都)

◎4強  智弁和歌山(和歌山)

〇8強  彦根総合(滋賀)

〇8強  履正社(大阪)

△8強  社(兵庫)

△8強  高田商(奈良)

 

むずかしいのは7校目だ。社(兵庫)か、それとも高田商(奈良)か。兵庫3位の社は1回戦で奈良1位の天理を撃破して8強入り、しかし準々決勝では7回コールド負け。一方の高田商は奈良大会で天理に敗れて準Vで地区大会に出場、準々決勝では4強になった龍谷大平安に完封負けしており、両校ともアピール度が弱い。実力的には強豪・天理に勝った社に軍配が上がるものの、地域のバランスを考えて奈良の高田商の選出も可能性としてはある。

 

■95回記念選抜大会は2023年3月18日(土)に開幕、1月27日(金)に出場36校が決定、3月10日(金)に組み合わせ抽選会。

 

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