来春の関東は1枠増で

5校が甲子園の舞台へ

 

■4強入りで「当確」、増枠で8強にもチャンス到来

 

第75回秋季高校野球関東大会が10月22日(土)に開幕する。

 

東京を除く関東地区の県大会予選を勝ち抜いた計15チームが集結し、22日~30日まで埼玉県内の県営大宮公園球場(上写真)、レジデンシャルスタジアム大宮の2会場で開催される。出場チームは開催県の埼玉から3校、他県は2校ずつ。大会成績は来春のセンバツ出場を決定する際の重要な判断資料となる。

 

開催県の埼玉1位で出場する昌平は1勝で、他のチームは2連勝して4強入りすると、甲子園切符を手に入れる可能性が非常に高くなる。一戦必勝で臨まなければならない厳しい勝ち抜き戦となる。

 

出場回数で多いのは作新学院(栃木1位)が4年ぶり25回目でトップ、横浜(神奈川1位)は4年ぶり24回目、浦和学院(埼玉2位)は2年連続19回目。一方、山村学園(埼玉3位)と明和県央(群馬2位)は初出場。

 

優勝校には明治神宮大会に出場する権利が与えられる。入場料は800円。準々決勝から決勝まではスポーツナビでライブ配信される。

 

来春のセンバツは95回記念大会のため、一般枠は例年より4枠増えて32校になる。東北、関東、東海、四国の4地区で1枠ずつ増え、関東地区は従来の4校から5校に増える。東京は1枠、東京と関東地区の比較で1校が選ばれるので、関東・東京の出場枠は7枠となる。関東地区は1枠増になるため、8強のチームにも甲子園出場のチャンスが出てきた。

 

    出場15校の初戦の組み合わせ

 

横浜(神奈川1位)×浦和学院(埼玉2位)22日県10:30

健大高崎(群馬1位)×青藍泰斗(栃木2位)22日県13:00

土浦日大(茨城1位)×山村学園(埼玉3位) 23日県10:30

山梨学院(山梨1位)×成田(千葉2位)23日県13:00

専大松戸(千葉1位)×明和県央(群馬2位)23日レ10:30

作新学院(栃木1位)×駿台甲府(山梨2位)23日レ13:00

慶応(神奈川2位)×常盤大(茨城2位)22日レ10:30

昌平(埼玉1位)×慶応と常盤大高の勝者25日県13:00

県=県営大宮公園球場 レ=レジデンシャルスタジアム大宮

 

■3校出場する埼玉勢は甲子園切符を何枚確保できる?

 

開幕戦に埼玉と神奈川の強豪同士がぶつかる。浦和学院は県大会決勝で昌平に3-6で敗れ、夏に続いて準優勝に終わり、埼玉2位での出場になったが、埼玉を代表するチームであることには変わりはない。140㌔超の投手を数人揃えて、投手陣は強力だ。

 

一方の横浜はエースの左腕杉山遥希投手を擁し、県大会決勝では慶応を6-3で破って、夏に続いて優勝を果たした。神奈川最強チームと評価する声もあるように最近の成績は際立っている。

 

両校ともにセンバツ優勝経験のある全国レベルの強豪校で今大会屈指の好カードだ。投手力の高いチーム同士の対決なので、緊張感のある好試合になるのは必至。

 

この2チームのAゾーンには、最近3年で2回も関東王者になった群馬1位の強豪・健大高崎もいる。4強入りをかけて、この3チームはし烈な戦いを展開することになるだろう。今春のセンバツで4強入りを果たした浦和学院が、難敵の強豪2校を倒して2年連続センバツ出場を掴み取ることができるか。この厳しいゾーンを勝ち抜けば頂点も見えてくるが・・・。

 

Bゾーンに入った埼玉3位の山村学園は初出場。県大会準決勝で浦和学院に2-3で惜敗したが、3位決定戦では完封勝ちして関東大会に参戦してきた。初戦の対戦相手である茨城1位の土浦日大は打撃力が武器。準決勝では強豪・常総学院を7-1で撃破、決勝では接戦の末に常盤大高を下し、2年連続出場を決めた。

 

山村学園が勝てば2年連続出場の山梨学院と4強入りをかけて戦う可能性が高い。投打がうまくかみ合えば、山村学園にももちろん勝機はある。

 

県大会決勝で浦和学院を破って優勝した昌平。地元開催の1位となったことで、「スーパーシード校」の権利を得て2回戦から出場する。初戦を勝って4強入りすれば、春夏通じて初の甲子園出場を果たすことになる。

 

初戦の相手は慶応(神奈川2位)と常盤大高(茨城2位)の勝者。慶応は県大会決勝で横浜に敗れているものの、レベルの高い神奈川で準優勝しているだけに強敵だ。話題を集めている清原和博氏の次男・清原勝児内野手(1年生)などを擁する強力打線を昌平の投手陣が安定感のある継投策で抑え込めるか。開催県の第1位の力を見せつけたい。

 

開幕日の第1試合に行われる埼玉2位の浦和学院が神奈川1位の横浜を倒せば、昌平の実力レベルは神奈川勢に通用することになる。勝てば初の甲子園へ大きく前進するけれど、敗れると遠のいていく、という白黒はっきりする重要な一戦となる。

 

データ探検隊

開催県3校出場は有利?

 

■開催県のセンバツ出場は「1~2校」が8割、ゼロは2割

 

来春のセンバツの関東地区の出場枠は記念大会のため1枠増えて5枠となった。さらに東京と関東の比較で関東勢から選ばれると関東地区からは最大6校が甲子園に出場することになる。

 

つまり、4強だけでなく8強からも1、2校が選ばれる可能性だってある。だから参加15校はまず初戦に勝利するために一戦必勝の態勢で臨み、8強入りを最低目標にするだろう。

 

開催県の埼玉からは昌平、浦和学院、山村学園の3チームが出場する。はたして何校が甲子園の舞台に立てるのか。

 

それを探るために、開催県から3校出場するようになった1977年(第30回大会)から2021年(74回大会)までの計45回の大会における甲子園出場実績について調べてみた。

 

開催県の甲子園出場実績

 

3校すべてが出場=1回

2校が出場=8回

1校だけ出場=25回

出場なし=11回

 

さすがに出場3校すべてが甲子園切符を手にした例は1度しかなかった。2000年の53回大会の茨城開催では、茨城県同士による決勝戦が行われ、常総学院が優勝して水戸商が準Vになり、この2校は順当に選ばれた。そして初戦で延長引き分け、再試合で好ゲームを展開して4強入りした藤代も県勢3枚目の甲子園切符を獲得した。選考では地域性も考慮されるため、同県から3校選出は非常にむ稀なことだが、それだけ試合内容が高く評価されたからだろう。その後、開催県から一般枠でセンバツ3校出場という「快挙」は一度も生まれていない。

 

最も多かったのは「1校だけ出場」で25回もあった。次いで「2校出場」の8回だった。つまり、開催県になった場合、8割は1、2校を甲子園の舞台に送り出していることになる。もっとも「2校出場」8回のうち5回は神奈川開催の時であって、神奈川のレベルの高さが証明されるデータになっている。

 

3校とも甲子園出場に届かなかった例も2割ほどあった。神奈川を別格にすれば、開催県が圧倒的に有利ということにはならないようだ。

 

直近10年に絞って開催県のセンバツ出場実績をみても、

 

3校出場=0回

1校出場=6回

2校出場=2回

出場なし=2回

 

となっており、傾向はほとんど変わらない。

 

■浦和学院は2年連続、昌平と山村学園は初の甲子園をねらう

 

では、これまで6回開催されている埼玉開催の場合の実績はどうかー。1校出場の例は5回あるものの、2校出場の実績はゼロで、3校すべて出場できなかったことも1回あった。

 

ちなみに他県開催の場合の埼玉勢実績は、最近10大会(埼玉開催除く)でみると、「1校出場」が5回、「出場なし」4回、「2校出場」の実績は1回のみだった。「1校出場」のうち4回は浦和学院だった。

 

さて、埼玉県内で22日開幕の秋季関東大会では・・・・浦和学院は2年連続12度目のセンバツ出場、昌平と山村学園は初のセンバツをねらう。最低でも1校、できれば2校以上を甲子園に送りたい。埼玉勢3校の躍動に期待する。

 

 

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