限りなくゼロに近い!

本塁打、打点は確実

 

■史上最年少・22歳の三冠王が誕生する

 

ヤクルトの不動の4番・村上宗隆が3冠王を着実に引き寄せている。本塁打王と打点王はすでに「確実」、打率もトップを堅持しており、首位打者も濃厚だ。そうなれば史上最年少の22歳・三冠王が誕生することになる。

 

打点と本塁打の部門では2位に大差をつけて独走中。打率も8月に4割4分と打ちまくり、3位から一気にトップに躍り出て、リードを広げている。9月も変わらず好調で、このままの勢いで残り試合に挑めばスンナリと3冠王を奪いそうだ。3冠王を取り逃がす確率は・・・限りなくゼロに近い。

 

打撃3部門の成績

9月6日の阪神戦試合終了時点

 

打率

0.341 1位

 

■8月から安打量産に拍車、勢いは9月も継続中

 

現時点では、村上は打率3割4分を超えてトップ。競争相手になるのは打率.324をマークしている2位の大島(中日)だが、優勢な立場にいるのは変わらない。打率は好不調によって数字がアップダウンする場合があるため、まだ「当確」は打てないけれど、あと21試合を残してスランプに陥る要因は見当たらず、最後まで打率部門1位をキープして逃げ切れる。

 

3月、4月の打率は2割9分、5月は2割4分と低調に推移していたが、6月には4割1分、7月は3割台、そして8月は4割4分と夏場に急上昇。8月下旬にはプロ入り初の1試合5安打をマーク、また9打数連続安打するなど安打量産にも拍車がかかった。すでに43度の複数安打、13度の猛打賞を獲得しており、安打数は9月6日時点で143本に達し、同率1位だった近本(阪神)を振り切って、6日時点で単独1位に立った。

 

打席に立っても悠然として22歳とは思えない風格がある。気負わずに、安定した回転のいいスイングで打ち返すバッティングフォーム。けっしてぶれない、その打撃スタイルを貫いて打った結果が本塁打になったり、安打になったりするのである。

 

選球眼の良いことも、高打率をキープしているひとつの理由だ。申告敬遠を含めた四球の数は100を超え、断トツに多い。じっくり見極めて狙い球を打つので、相手投手にとってはアウトを取りづらいやっかいな打者になった。本塁打、安打を量産し、四球でも塁に出る村上に対して「もう手の打ちようがない」という声も出るほど。出塁率も他の追随を許さず、もちろん第1位。三冠王に加えて最多安打、最高出塁率を含めた打撃タイトルの五冠も獲得するかもしれない。

 

万が一にもケガなどで出場できなくなっても、すでに規定打席数(443)に達して、500打席を軽く超えているので問題はない。

 

打点  

127 1位

 

■打点王も確実、150打点に届くか

 

現時点で127打点。2位は大山(阪神)の80打点なので、その差は広がっても詰まることはないだろう。打点と本塁打数は減ることはないので、打点王は確実だ。平均すると、1試合に1点をたたき出していることになるので最終的には140打点はクリアする。相手チームの投手が勝負してくれると150打点に届きそう。

 

ちなみに得点部門も101点でトップを独走中。

 

本塁打  

52 1位

 

■大差リードで圧倒、プロ最多記録60本に届くか

 

本塁打は6日時点で52本。2位の岡本(巨人)に27本差をつける断トツの1位である。他選手の逆転は不可能で、本塁打王も確実だ。9月に入ってからシーズン50本塁打を史上最年少記録(22歳7か月)で達成し、史上初の驚異の5打席連続本塁打(阪神戦3本、中日戦2本 )を記録するなど、歴史を塗り替える偉業を成し遂げ、「村神様」という称号も生まれた。

 

そして、58年前に王(巨人)が樹立した日本人最多本塁打55本も視野に入ってきた。この記録を更新するのは確実で、9年前にバレンティン(ヤクルト)がマークした日本プロ野球新記録60本への期待も膨らむ。あと21試合で8本は可能な数字だ。9月6日現時点で計算すると2・33試合に1本の割合で打ってきており、残り21試合を2・63試合に1本のペースでスタンドに運べば計算上では届くのだが、はたして相手投手が勝負してくれるかどうかー。

 

昨年はライト方向への本塁打が目立ったが、今年はレフト、センター方向(29本)に放つ本塁打が増えて、むしろライト方向(23本)への本数より多くなった。引っ張らずに球を見極めて早いスイングで打つというバッティングフォームによって、本塁打を広角に量産しているのが特徴だ。

 

昨年は全試合に4番で出場、打率.278と3割には届かなかったが、39本塁打、112打点をたたき出して初のリーグМVPに輝いて、チームを日本一に導く活躍を見せた。今年は不動の4番としてチームのリーグ優勝に貢献し、普通に2年連続のリーグМVPを獲得するだろう。

 

■歴代三冠王のなかでも本塁打と打点は史上最多記録を残す

 

3冠王はこれまで11例(7人)がある。落合博満(ロッテ)が3回、王貞治(巨人)とランディ・バース(阪神)が2回ずつ達成した。

 

11例のうち、最高打率はランディ・バースが1986年に記録した.389、最多本塁打も同年の同選手の47本。最多打点は85年に落合博満がマークした146点だ。村上が3冠王に輝くと、歴代三冠王のなかでは本塁打はもちろん打点でも史上最多の記録をつくる可能性もある。

 

歴代三冠王のなかには、最多安打、最高出塁率も含めた打撃タイトル5冠を同時に獲得したケースも5例(4人)ある。村上も3冠王を含めた5冠王を達成する可能性は十分あるけれど、、最多安打の部門では僅差で競い合っており、最後までもつれ込みそうだ。申告敬遠も含めた四球が多ければ、必然的に打数は少なくなるわけで、そういう厳しい条件のなかで最多安打のタイトルを取るというのは容易なことではない。それでも五冠への期待も日々高まっている。