強力打線が好機に沈黙

3度のダブルプレー

 

■A・Bシード4校は初戦を圧勝

 

夏の埼玉大会もいよいよ3回戦に突入する。センバツ4強、春の関東王者の浦和学院を中心にAからCまでの上位シード組8校は揃って初戦を突破した。

 

Aシードの浦和学院と山村学園、それにBシードの上尾、市立川越の4校は春の強さをそのまま夏につないで、圧勝&快勝でスタートを切った。

 

浦和学院は浦和東を相手に11-1で5回コールド勝ち、山村学園は深谷商と対戦し、8-1で快勝、上尾は吉川美南に16-0で5回コールド勝ち、市立川越も22-0の5回コールド勝ちで、いずれも圧倒的な強さを見せつけて勝った。

 

上位シード校の初戦結果

 

Aシード 浦和学院 11-1 浦和東 5C

Aシード 山村学園 8-1 深谷商

Bシード 上  尾  16-0 吉川美南 5C

Bシード 市立川越 22-0 大宮武蔵野 5C

Cシード 花咲徳栄 6-4 武蔵越生

Cシード 浦和実   6-0 西武文理

Cシード 西武台   15-2 秩父   5C

Cシード 狭山清陵 2-1 埼玉平成

 

花咲徳栄の初戦チェック

 

■先発投手は14奪三振で力投、強力打線は14安打放ったが・・・

 

順調な滑り出しを見せた春の実績上位4校に対して、春8強に終わってCシードに回った甲子園常連校の強豪・花咲徳栄は、ノーシードの武蔵越生を相手に苦戦を強いられた。なんとか6-4で逃げ切ったものの、課題を残した試合内容ではあった。

 

結果的にはエースの右腕・金子翔柾投手が9回147球を投げて9安打4失点14奪三振で完投勝利。強力打線も14安打を放って競り勝った。しかし、14安打で6得点というのは花咲徳栄らしくない、あまりにも低すぎる「得点力」だ。

 

花咲徳栄 001 120 200=6

武蔵越生 100 102 000=4

 

■2度の一死満塁もホーム踏めず、得点力に?

 

試合内容を改めてチョックしてみる。

 

1回表、花咲徳栄は安打2本と四球で一死満塁の場面を迎えた。序盤にビッグイニングをつくり、試合の主導権を握って確実に勝利につなげるというのが同校の得意技だ。ところが、この絶好のチャンスに内野ゴロを打たされ、ダブルプレーを食らってまさかのゼロ発進。

 

そして1回裏、ピンチを脱した武蔵越生に意外な先制点が転がり込んできた。2番・飯野元汰内野手の打球を捕球するため中堅手が果敢に突っ込んだものの、取り逃がしてボールが後方に転がる間にホームを突いてランニング本塁打となった。

 

3回表、花咲徳栄は安打とエラーで一死2、3塁にすると、相手のワイルドピッチで1点を奪って同点に追いついた。さらに四死球で再び一死満塁のチャンスをつくったが、1塁ライナーでまたもやダブルプレーで得点ならず。塁をすべて埋めてもなかなかホームが踏めない状態に、観戦者も「?」の気持ちになったのではないか。

 

中盤に入ってからも競り合いは続いた。

 

1-1の同点で迎えた4回の攻防戦。まず、花咲徳栄が一死2塁から初のタイムリー安打で1点を加えて2-1とリードしたが、この回もダブルプレーで終わり、打線がつながらない。この裏、武蔵越生にもタイムリーが出て、再び2-2の同点に。

 

5回表に花咲徳栄の6番・増田空内野手が二死2、3塁から左中間に2点タイムリーを放ち、ようやく本来の強力打線が戻ってきた。それでも武蔵越生も粘りを発揮して、6回裏に2点タイムリーで同点に追いつく。

 

7回表、花咲徳栄は長打を含む3安打を集めて2点を追加、6-4とリードしてそのまま逃げ切った。エースの金子投手は7回からは2安打無失点で相手打線を封じ、9回は3個の三振を奪って最後を締めくくった。

 

14安打をマークした強力打線は健在だったが、好機に打ち崩せず残塁が多かったことは修正点になる。エースが鋭いスライダーで14奪三振の力投を見せたことは大きな収穫だった。3回戦から投手陣はエースを中心に戦うことになるが、控え投手にやや手薄感があり、「夏に強い徳栄」といえども、決勝進出までの道のりは決して楽ではない。

 

■準決勝で本命の浦和学院と対決できるか

 

3回戦では独協埼玉と対戦する。順当に勝ち進めば、5回戦では2回戦で20奪三振をマークした好投手を擁する浦和麗明か、2回戦で完封勝利した川口市立と当たりそうだ。準々決勝で市立川越を破り、最近は敵なしの浦和学院と準決勝で対決できるかどうか。

 

「夏は負けたら終わり」。埼玉を代表する超強豪校としては、少なくとも宿敵・浦和学院と対戦するまでは終わるわけにはいかないだろう。

 

 

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