東は関東第一を中心に

西は三つ巴の戦いか

 

7月9日開幕、参加数は東127チーム、西125チーム

 

第104回全国高校野球選手権の東西東京大会は7月9日(土)に開幕する。東東京大会には127チーム、西東京大会には125チームが参加、9日に東西合同の開会式が神宮球場で行われ、試合は10日(日)からスタートする。東西大会の会場は、神宮球場をはじめスリーボンドスタジアム八王子など計11球場で行われる。

 

決勝戦は東東京大会が30日(土)、西東京大会は31日(日)に、いずれも神宮球場で午前10時からの予定。

 

展望と予想 

東西代表2校はどこだ!

 

【東東京大会】

 

春の東京王者で関東大会でも準優勝した東東京の第1シード・関東第一は3年ぶりの夏の甲子園出場をめざす。第2シードの二松学舎大付は2連覇をねらう。

 

昨夏も関東第一が第1シード、二松学舎大付が第2シードで、ともに勝ち上がって決勝を戦った。結果は二松学舎大付が勝って甲子園切符を手に入れた。今回も同じパターンになるのか、それとも関東第一が雪辱を果たして代表の座につくのかー。

 

2019年以降に開催された最近5回の東東京大会では、関東第一と二松学舎大付の2校がVを分け合う形になっている。今年も直近の実績からみても両校による決勝対決となる可能性は高いが、春4強の帝京が準決勝で二松学舎大付を破って関東第一と決勝で対決するシーンも想定される。

 

今春の東京大会では、東東京勢は優勝した関東第一、準Vの二松学舎大付、4強の帝京を含めて10校がシード権を獲得、6校にとどまった西東京勢を圧倒した。それだけに東東京ではシード校同士の好ゲームが続出しそうだ。

 

本命は関東第一だ。走攻守のバランスは抜群で、そのレベルはいずれも他チームを上回っている。投手陣は制球力のあるエースの左腕桝川颯太投手と140㌔超の直球を武器とする右腕成井颯投手の「二枚看板」を中心に投手陣の層は厚い。今秋のドラフト候補で長打力もある4割超打者の井坪陽生外野手をはじめとする強力打線も健在だ。

 

順当に勝ち進めば、まず第4シードの城東と準々決勝で対戦し、勝てば第3シードの日体大荏原、東京成徳大高、都立の強豪・小山台のいずれかと準決勝で対決する見込み。

 

春準Vで第2シードになった二松学舎大付は、昨夏に続いて今春のセンバツにも出場、この夏は3季連続の甲子園出場をめざすことになる。春の投手陣は左腕辻大雅投手を中心に粘り強く戦って、6試合中4試合が逆転勝ちという内容だった。

 

1年生・五十嵐将斗内野手、瀬谷大夢外野手などの中軸打線を中心に、切れ目のない打線が強み。1年生メンバー4人が好守の戦力として成長、チームの原動力になっている。今夏は投手陣のやりくりにやや苦戦しそうだが、打撃力でどこまで援護できるか。

 

帝京は春の東京大会準々決勝でセンバツ4強の国学院久我山と対戦し、6-0で完封勝ちした。準決勝では関東第一に5-8で惜敗して決勝進出はならなかったものの、「強豪・帝京」を強くアピールした。

 

今春のドラフト候補の小島慎也内野手と渡辺礼内野手の2人のスラッガーを擁する強力打線は迫力十分。さらに最速145㌔の2年生エースの右腕高橋蒼人投手の成長も著しく、Vチャンスも。近年は4強入りの常連校ではあるが、あと一歩で甲子園に届かないというケースが続いている。昨秋に新しく就任した37歳の金田優哉監督は初めての夏で11年ぶりの甲子園をめざす。

 

【西東京大会】

 

西東京の第1シード・日大三は2018年以来、4年ぶりの夏の甲子園をねらう。また、第2シード・東海大菅生は2連覇をリアルな目標とする。そして今春のセンバツに出場した第2シードの国学院久我山も3年ぶりの甲子園をめざしており、西東京は実績上位の強豪3校の三つ巴の戦いになりそうだ。

 

春の東京大会では西東京勢の決勝進出はならず、4強に終わった日大三が第1シードをつかみ取った。第2シードは8強の国学院久我山と東海大菅生の2校、そして第3シードは16強の早稲田実など3校。最近の実績、現在の実力から見ても、昨夏の優勝校である東海大菅生と今春のセンバツに出場した国学院久我山のどちらかが勝ち上がって、日大三との決勝対決になる可能性が強い。

 

日大三はこの10年間で3回も夏の甲子園に出場している名門校。しかし、最近8年の東京大会をみると、連続Vを果たしたチームはいなくて、優勝校は毎年違っている。混戦状態が続いている中で、そろそろ日大三の大舞台への出番があってもよさそう。

 

春はエースの右腕矢後和也投手が右肘不調で投げられなかったが、左腕松藤孝介投手などの控え投手陣が経験を積んで一段と成長し、先発、継投にも対応できる戦力となった。エースが体調万全で戻ってくればさらに厚みが出る。打線は浅倉大聖外野手、富塚隼介内野手を中心に切れ目のないチーム。東京の名門校が久しぶりに甲子園切符をつかむか。

 

東海大菅生は夏連覇をねらっている。過去10年に6回の決勝進出を決めて2回優勝しており、安定感は1番だ。春は8強止まりだったが、西東京大会では第2シードで出場する。

 

初戦の3回戦では昨夏8強の実力校・明大中野八王子との対戦が見込まれる。また、同校のブロックには第3シードの早稲田実もいて、油断はできないけれど、順当に勝ち進めば準決勝では国学院久我山との対決が予想される。

 

東海大菅生は1年生からチームの中軸にいる主将の福原聖矢捕手をはじめ小池祐吏内野手、小山凌暉内野手など甲子園を経験している好打者がズラリと揃っている。

 

投手陣では春の東京大会ではマウンドに上がらなかったエースの右腕鈴木泰成投手も右肘のケガから復帰し、最速148㌔をマークするほど威力を増している。6月の大阪桐蔭との練習試合では5回無失点と好投、完全復活をアピールした。さらに長身の2年生右腕日當直喜投手が大きく成長し、最速145㌔、変化球も多彩に投げる。投好守においてレベルが高く、連覇する可能性は十分ある。

 

センバツ4強の国学院久我山は、初の春夏連続甲子園出場をねらっている。春の東京大会では準々決勝で帝京に敗れて8強にとどまったが、夏の西東京大会では第2シードになった。順当に勝ち上がれば準決勝で東海大菅生と決勝進出をかけて戦うことになる。

 

国学院久我山はタイプの違う好投手3人を擁しており、投手陣の層は厚い。内野も守るエースの右腕成田陸投手、左腕松本慎之介投手、左腕渡辺建伸投手は先発完投もできる力を持っているが、3人を組み合わせた継投プレーは絶妙で勝利のパターンを構築している。お互いにライバル意識を持ち、刺激しあって発奮するという関係性が成長につながっているようだ。打線は長打力のある下川辺隼人内野手を中心に、小技を使いながら得点を稼ぐ試合巧者のチームでもある。

 

夏の大会は3回戦からスタートする。甲子園に出場するには6連勝しなければならないが、多彩な投手陣を擁し、継投策を武器にする国学院久我山にとって「長丁場」の大会は有利になるかもしれない。32歳、尾崎直輝監督の采配も注目される。

 

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