実績は共栄、勢いは浦和実
打線がカギ、打ち崩せるか
春季埼玉大会の準決勝2試合が5月3日(金)、県営大宮公園野球場で行われ、第1試合の春日部共栄と山村学園の対戦は、5-1で春日部共栄が快勝、15年ぶりの決勝進出を決めた。
第2試合の浦和実と東農大三の対戦では、先行した浦和実に東農大が追いついたが、9回に再び浦和実が突き放して4-2で下し、初の決勝進出を果たした。
決勝は同球場で4日(土)の午後12時30分から行なわれる。春日部共栄が勝てば5度目の春季優勝となる。浦和実が倒せばもちろん初優勝。
優勝戦の前に3位、4位決定戦もある
なお、関東大会の組み合わせに振り当てる順位を決める必要があるので、優勝戦の前に午前10時から山村学園と東農大三による3位、4位決定戦が行われる。
決勝戦は春日部共栄のエースの村田賢一投手と浦和実の豆田、三田の継投プレーによる投手戦になるのか、それぞれの打線が相手の投手陣をどこまで打ち崩せるのか、春日部共栄が勝てば埼玉の秋季、春季連覇の実績を持って関東王者をねらうことになる。浦和実は初優勝を飾って夏に向けて弾みをつけたい。
■準決勝 観戦記
第1試合 春日部共栄 5-1 山村学園
先頭弾とダメ押し 2発で快勝
春日部共栄の底力が見えた試合だった。1回表に先頭打者の1番・黒川渓外野手がいきなり左翼スタンドにソロ本塁打を打ち込んで先制点をもぎ取った。
春日部共栄 100 301 000 5
山村学園 100 000 000 1
その裏に山村学園も二死2塁として4番・橋本大樹捕手の中前2塁打で1点を返して同点にした。
4回表、春日部共栄は手堅く得点を積み重ねた。6番・片平進内野手が左越えの2塁打を放つと、次打者が投手前に送りバント、それを3塁に悪送球したので、その間にホームを踏んで1点。さらに二死2、3塁にしてセンターへの犠牲フライで1点、続けて中前タイムリーで加点し、この回3点を奪い4-1とリードした。
右翼にソロ本塁打を打ち、ベンチに帰り歓迎される石崎捕手
6回表には7番・石崎聖太郎捕手が相手にダメージを与える右本塁打。これがダメ押し点となり5-1で山村学園に快勝した。
先発した武藤投手は6安打1失点で完投
先発した背番号10の武藤瑛徳投手は、先発投手としては二番手の立場だが、この試合では9回を6安打1失点。エースの村田賢一投手の出番をなくすほどの好投を見せた。村田投手はこの試合では4番・一塁手として攻守で試合を引き締めた。決勝では15年ぶり春5度目のVをねらってエースがマウンドに上がる、と予想する。
■準決勝
第2試合 浦和実 4-2 東農大三
追いつかれ、突き離す
先発した浦和実の背番号20の2年生・豆田泰志投手は、6回までは東農大三の打戦を完全に封じ込めて、ひとつの四球だけで、無安打無得点の完璧なピッチングを続けた。この春季埼玉大会では春日部共栄の村田賢一投手がノーヒットノーランの記録を達成しており、2人目の快挙を観客席では期待し始めていた。
浦和実 000 000 202 4
東農大三 000 000 200 2
6回まで両チームともに得点が入らずスコアボードはゼロ行進のまま。
7回表、浦和実が動いた。3番・長谷川俊大外野手が右前安打で出塁すると、相手チームのエラーなどで二死1、2塁のチャンスに6番・後藤大成内野手が左2塁打で2点を先取した。
浦和実は後藤内野手のタイムリーで2点を先取
先発・豆田投手の無安打ピッチングが続いていたので、この2点で浦和実が試合の主導権を握ったかと思われた。
ところが、その裏に東農大三にチャンスがきた。右2塁打、四球で一死1、2塁の場面から背番号1の5番・飯島一徹外野手が右前タイムリーで1点を返した。そのあと1死1、3塁から守備の乱れを突いて3塁走者がホームを踏んで2点目。2-2の同点に追いついた。
浦和実が豆田、三田の継投で逃げ切る
▲上は先発の豆田投手 ▼下は継投した三田投手
攻撃に出てきた東農大三に対して、浦和実はこの7回裏の途中から三田隼輔投手をマウンドに送り、いつものように継投策を打った。成功させて2人で9回を4安打2失点。
東農大三打線を抑え込んだあとの9回表、浦和実は先頭打者の2番・松村裕太内野手が左中間を抜く3塁打を放ち無死3塁の絶好の得点チャンスをつくった。3番・長谷川外野手が犠牲フライで1点を追加すると、一死1、3塁から後藤内野手が今度はスクイズを成功させてこの回2点目、4-2とリードした。
9回裏、三田投手は安打を許したものの得点は与えず、そのまま逃げ切って初の決勝進出を決めた。