1位指名 高校生3人に分散
根尾中日 小園広島 藤原ロッテ
吉田、外れ1位で日本ハムへ
高校球児37人、1軍デビューめざして一斉スタート
10月25日に都内ホテルで開かれたプロ野球ドラフト会議で、大阪桐蔭の根尾昂(あきら)内野手、藤原恭大外野手、報徳学園の小園海斗内野手が本指名で1位、金足農の吉田輝星投手も外れ1位で指名され、高校生ビッグ4はプロの舞台で新たなスタートを切る。ドラフトで指名された高校球児は37人(育成除く)、同じスタートラインに立ち、1軍デビューをめざす。
今年のドラフト会議は高校生が主役の舞台となった。「1位指名は根尾に6、7球団が競合する」という予想もあったけれど、結果的には根尾に4球団、小園にも4球団、藤原に3球団という具合に分散した。それだけ今年の高校生には逸材が揃っていた、という証しでもある。
◇根尾は中日 来春キャンプは1軍同行か
今回のドラフト会議の目玉となった根尾選手にはヤクルト、巨人、日本ハム、中日の4球団が1位指名、抽選で中日が当たりくじを引き交渉権を獲得した。岐阜出身の根尾にとっては馴染みのある球団で、抽選直後にはホッとした表情を見せた。相思相愛が実ったドラフトだった。
他球団より先に1位指名を公表していた中日に対しては「ご縁がある。ドラゴンズの一員として勝利に貢献していきたい」と入団100%宣言まで飛び出した。球団も「絶対根尾」の意気込みでドラフトに臨んで交渉権を引き当てただけに喜びもひとしおだ。
根尾は「プロではショートでやりたい」という意思を表明しており、もしそうであれば1年目からポジション争いに挑むことになるだろう。
中日の遊撃手は2017年にダントツの票を集めて新人賞を獲得した若手のホープの京田陽太24歳。守備面では今年のゴールデングラブ賞候補のひとりにあがっている手ごわい相手だ。ショートのポジションを奪うには打撃面でアピールできる成績をあげられるかどうか、それが大きなカギになるだろう。
ドラフト翌日に中日の与田新監督は大阪桐蔭に指名のあいさつに行き、投手としての能力も高く評価し、二刀流について「本人の意思を尊重する」と述べた。それに対し、根尾は投手をやる可能性について「ゼロではない」と発言、どこでも一流のプロをめざす姿勢を示した。
与田新監督は来春の1軍キャンプ同行を明言しており、即戦力としての期待は非常に高いと言える。
◇小園は広島 次世代のチームの中軸担う遊撃手に
小園にも広島、ソフトバンク、DeNA、オリックスの4球団が1位指名、広島が交渉権を手に入れた。小園にはソフトバンクが早々と1位指名を宣言していたが、セ・リーグ3連覇の広島なども参戦してドラフト前日には小園人気が急上昇していた。
小園を射止めた広島では次の世代の中心選手として考えており、高卒新人では異例の来春の1軍キャンプに帯同させる姿勢も見せている。つまり即戦力として評価しているのである。
遅くとも小園は2、3年後には中軸を打てる遊撃手になっているだろう。というのは二遊間を守る菊池、田中が30代となり、しかもFA権を取得する時期も来る。その権利を行使する可能性もある。
そうなると走攻守抜群の20歳の小園の出番もあるはず。前年のドラフト1位で入団した中村奨成捕手などを含めた次世代がV軍団・広島をつくっていくことになるだろう。
◇藤原はロッテ 3球団が競合、守備はすでに即戦力
藤原にもロッテ、阪神、楽天の3球団が競合したが、一本釣りをねらって1位指名を表明していたロッテが交渉権を得た。藤原は「ドラフト前に表明してもらって光栄」と語っていたので、もちろん交渉はスムースに展開するだろう。
ドラフト会議では、最初の楽天から阪神、ロッテと3連続で1位指名を受けて驚きながらも会見では「うれしかった」と正直に述べていた。
ロッテの中心外野手は30代に突入しており、世代交代の時期。走攻守揃う藤原の獲得は球団にとっては大きな戦力となる。春のキャンプから1軍メンバーを脅かす存在になってほしい、と期待する発言は本音だろう。
藤原自身の目標は以前から「トリプルスリー」(打率3割、30本塁打、30盗塁)である。50m走5秒7の俊足は大きな武器になる。今回のドラフト指名選手の中で6秒を切るのは藤原と小園など数人で、ほとんどは6秒台。球団もその走力も高く評価している
ロッテには昨年ドラフト1位の履正社出身の安田尚憲内野手がいる。2年生で出場した昨年のU18の先輩メンバーで、入団したら「しっかり学んでいきたい」と意欲的だ。木製バットなど打撃面でのアドバイスは非常に参考になるはず。外野手は打撃面での活躍も必要条件になるので。
◇吉田は日本ハム 外れ1位でも「将来は大エースに」
夏の甲子園で一躍スーパースターとなった吉田を射止めたのは日本ハムだった。外れ単独1位で交渉権を獲得した。
最初の本指名では1位指名する球団はなかった。前日まで1位指名を表明する球団はなかったので想定内の結果だったものの、やはり実力、将来性は高校生ビック4に入れるべき逸材である。
交渉権を獲得した栗山監督は「この世界で大エースになる」と読んでの指名だったとドラフト後に語っていた。また、来年優勝するために即戦力の可能性もある、ことを示唆していた。
吉田は「日本ハムに決まってうれしい」と素直に喜んだ。また、プロでさらに直球を磨きたい、155㌔ぐらい出したい、新人王を取りたい、などの目標も表明、負けん気の強い気持ちでプロの舞台に立つ構えだ。
日本ハムは、高校新人のダルビッシュ有や大谷翔平を世界の舞台に送り出し、超一流投手にした球団。1年先輩になる怪物・清宮幸太郎も「いい球団に入った」と歓迎ムード。
ドラフト会議の翌日に栗山監督は金足農にあいさつに行った。そのときの対面で吉田はいいチームであることを改めて確認したらしく、「早く入りたい」と述べたとか。監督は長くファンに愛される投手になることを望んでいる、ということを伝えたと言われる。また、東京五輪での侍ジャパンのメンバー入りをめざす目標も新たにできて、日本ハム・吉田輝星は「将来のエース」の道を歩み始める。
近い将来、超一流選手の仲間入りも
日本ハムの2軍施設「鎌ヶ谷スタジアム」の正面には
ダルビッシュ有(左)や大谷翔平(右)などをはじめ主力
メンバーの雄姿が大きく掲示されている。近い将来に
「清宮幸太郎」や「吉田輝星」のパネルも・・・
吉田に続いて日本ハムは昨夏の甲子園優勝校の花咲徳栄の4番・野村佑希内野手を3位指名で、また横浜の強打者・万波中正外野手、そしてU18で一緒に戦った大阪桐蔭のエース・柿木蓮投手の交渉権を獲得、活躍が期待できる注目選手を集めた。
根尾VS小園の時代が来る
身体能力は抜群、走攻守で競う
根尾と小園は同じセ・リーグで、しかも同じ遊撃手。両選手ともに走攻守に群を抜く逸材だけに、近い将来にはオールスターゲームファン投票の遊撃手部門で1、2位を競うことになるかもしれない。また、守備のベストナインを選ぶゴールデングラブ賞の争奪戦も見ものだ。
もちろん新人賞争いも想定される。この場合、打撃成績がポイントになる。金属バットから木製バットに代わるので、その対応力が重視される。
根尾も小園も抜群の身体能力の持ち主なのでクリアできる。
たとえば小園は木製バットを使ったU18の大学日本代表との壮行試合で、今年、西武からドラフト1位で指名された松本航投手(日体大)から右本塁打を放つなど、木製バットへの適応力はある。
高校ナンバーワンを競ってきた両選手は、新たな舞台で「プロ野球界ナンバーワン遊撃手」をめざすことになる。
高校生 ドラフト指名選手
選手名 守備 校名(所在地) 球団指名順位
【1位指名】
根尾 昂 内野手 大阪桐蔭(大阪) 中日1位
小園海斗 内野手 報徳学園(兵庫) 広島1位
藤原恭大 外野手 大阪桐蔭(大阪) ロッテ1位
吉田輝星 投手 金足農(秋田) 日本ハム1位
太田 椋 内野手 天理(奈良) オリックス1位
【2位指名】
渡邊勇太郎 投手 浦和学院(埼玉) 西武2位
増田 陸 内野手 明秀日立(茨城) 巨人2位
野村佑希 内野手 花咲徳栄(埼玉) 日本ハム2位
木幡竜平 内野手 延岡学園(宮崎) 阪神2位
【3位指名】
野村大樹 内野手 早稲田実(東京) ソフトバンク3位
引地秀一郎 投手 倉敷商(岡山) 楽天3位
市川悠太 投手 明徳義塾(高知) ヤクルト3位
直江大輔 投手 松商学園(長野) 巨人3位
林 晃汰 内野手 智弁和歌山(和歌山) 広島3位
【4位指名】
勝又温史 投手 日大鶴ヶ丘(東京) DeNA4位
横川 凱 投手 大阪桐蔭(大阪) 巨人4位
中神拓都 投手 市岐阜商(岐阜) 広島4位
山口航輝 投手 明桜(秋田) ロッテ4位
石橋康太 捕手 関東一(東京) 中日4位
万波中正 外野手 横浜(神奈川) 日本ハム4位
濱田太貴 外野手 明豊(大分) ヤクルト4位
【5位指名】
柿木 蓮 投手 大阪桐蔭(大阪) 日本ハム5位
垣越建伸 投手 山梨学院(山梨) 中日5位
佐藤智輝 投手 山形中央(山形) 楽天5位
川原 陸 投手 創成館(長崎) 阪神5位
益子京右 捕手 青藍泰斗(栃木) DeNA5位
田中法彦 投手 菰野(三重) 広島5位
宜保 翔 内野手 未来沖縄(沖縄) オリックス5位
牧野翔矢 捕手 遊学館(石川) 西武5位
水谷 瞬 内野手 折尾愛真(福岡) 巨人5位
【6位指名】
戸郷翔征 投手 聖心ウルスラ宮崎) 巨人6位
古谷拓郎 投手 習志野(千葉) ロッテ6位
鈴木裕太 投手 日本文理(新潟) ヤクルト6位
田宮裕涼 捕手 成田(千葉) 日本ハム6位
【7位指名】
羽月隆太郎 内野手 神村学園(鹿児島) 広島7位
【8位指名】
土居豪人 投手 松山聖稜(愛媛) ロッテ8位
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ドラフト指名結果
高校生 7人増の37人
今年、プロ志望届を提出した高校生は123人。このうち37人がドラフトで指名され、昨年より7人増えた。育成ドラフト9人も含めると46人の高校球児が、プロの世界で新しくスタートすることになった。
即戦力が期待される大学、社会人などの指名は昨年より6人減って46人。育成12人も加えると58人が1軍のプロ選手をめざしてスタートラインについた。
高校生 育成ドラフト指名選手 〇内の数字は指名順位
渡邉陸 捕手 (神村学園) ソフトバンク①
中村宜聖 外野手 (西日本短大付高) ソフトバンク④
宮城滝太 投手 (滋賀学園) DeNA①
清宮虎多朗 投手 (八千代松陰高) 楽天①
大窪士夢 投手 (北海) 西武②
山下航汰 外野手 (健大高崎) 巨人①
平井快青 投手 (岐阜第一) 巨人②
沼田翔平 投手 (旭川大高) 巨人③
黒田響生 内野手 (敦賀気比) 巨人④

