次のシナリオは衆院選立候補?

 

風雲急を告げる政界再編の動きが始まった。

 

9月27日(水)午前中に小池百合子・都知事が、国政政党「希望の党」を立ち上げることを記者会見で発表し、自ら党代表に就任することも明らかにした。

 

小池氏はまず「今日から『希望の党』をスタートします」とあいさつ。

 

「日本をリセットするために希望の党を立ち上げる。しがらみのない政治、大胆な改革を行っていく」と表明。また、「寛容な改革保守政党を目指す」という党の綱領も発表した。衆議院選挙では「あくまでも都知事として挑んでいく」という姿勢である。

 

政権奪取の立役者に、総理候補へ

 

これまで、小池都知事は国政については若狭勝・衆議院議員に代表を任せて、都知事に専念する立場を見せていたが、「希望の党」をスタートすると同時に代表も務めることになった。

今後については、まだ明らかにしていないものの、衆議院選挙に立候補し、国政に再登場し、政権奪取、そして総理候補へというシナリオもありそうだ。

 

すでに2月に「希望の党」の商標登録もを済ませていたというから、安倍首相の解散タイミングの時期も想定していたのだろう。日本新党などの新党づくりに参加した経験もある小池氏は「新党をつくるのはお手のもの」と言っているほどだから、想定通りに進んでいるのかもしれない。

 

批判材料のひとつでもである、「都知事と国政代表の2足のわらじ」についても、いずれ結論を説明することになるだろう。

 

 

新党の代表となった小池都知事。「政治家として度胸のあるギャンブラー」とも言われている。不退転の覚悟を持った決断だったのではないか。

 

度胸満点の決断に 首相ショックも

 

この結党会見で1番ショックだったのは、おそらく安倍首相とその仲間たちだったのではないだろうか。大誤算と言ってもいいだろう。今回の解散が加計学園、森友学園問題をめぐる「疑惑隠し解散」であることは一目瞭然なのに「人づくり改革解散」、「国難突破解散」など、誰からも「何、それ?」と突っ込まれそうな思いつきのスローガンには苦笑してしまう。

 

安倍首相としては、民進党のふがいなさ、小池新党の準備不足などを背景に、「いまなら勝てる」と分析したのだろう。たしかに、小池新党は若狭代表や民進党からの転身組・細野氏では、新党の"トップの顔"として注目度、期待度は全国的には広がりにくい面はあった。

 

結党会見の後に、「希望の党」に民進党が合流する、という動きも見えてきた。こうなると厳しい戦いを強いられる「当選したい現役議員」はこぞって新党入りをめざす。「当選することがまず1番」と公言する議員もいるからだ。

 

安倍首相、勝敗ラインは低いハードルに

 

安倍首相は「希望の党」の結党会見の数日前に自分の会見で、衆院選における勝敗ラインを「自公で過半数」と述べ、それを実現できなければ辞任すると宣言した。つまり、233議席を割り込んだら首相を辞めるということだ。

 

しかし、この勝敗ラインは非常に低いハードルだ。現在、自公の議席数は322でもちろん過半数を大幅に上回っている。ということは現議席より約90議席減っても「辞めない」ということになる。こんなに大敗しても「政策は理解された」「疑惑は晴れた」と言うことになるのかな?

 

自民党議員の中には40~50議席を減らせば責任論が出てくるだろうとみている。これだけの議員をがいなくなれば当然のことだろう。

 

衆議院は比例も含めて465議席。昨年3月に改正公選法が成立し、議員定数は10減している。

 

ちなみに、安倍首相は28日(木)の衆院解散を受けての記者会見は行わない方針と言われている。逃げていると思われないためにも、受けて立ちぜひ解散会見を。

 

政権奪取の舞台に役者たちが

 

この小池新党をめぐっては、民進党はもちろん、日本維新の会、自由党の小沢氏、そして原発反対の小泉純一郎・元首相など、久しぶりの「政権奪取」の舞台には続々と役者たちが揃い始めている。

 

「希望の党」の結党会見を見ていても、まだ抽象的な言葉の部分が多くて、はっきりした方向性は見えなかったけれど、小池都知事、いや小池代表の覚悟は見えましたねー。