横綱陣には休場も カド番大関も奮起か
大相撲秋場所(9月場所)は、9月10日(日)に東京・両国国技館で初日を迎える。横綱陣3人にケガなどによる休場も伝ってきている。また、大関陣2人はカド番の場所となり、優勝の行方がさらに混とんとしてきた。通常通りに横綱、大関から優勝者が出るのか、それとも平成生まれの若い世代の台頭があるのか、注目の場所となる。
高安、豪栄道、照ノ富士にも優勝チャンス
9月1日に開かれた横綱審議委員会の稽古総見には、4人の横綱も顔を見せた。審議委員の前で相撲を取ったのは、日馬富士だけで他の横綱は四股やすり足などの基本運動を見せただけで、相撲を取れる状態ではなかったようだ。
初日までの10日間で、体調を見ながら出場するか、休場するかの決断を迫られるわけだが、「出場しても優勝争いはムリ」という見方が強くなっている。
日馬富士、優勝候補の1番手
7月の名古屋場所で足首を痛め、途中休場した鶴竜は踏み込みもできず、短期間での復調はむずかしい模様で、休場の可能性大という。稀勢の里も依然と左上腕に不安を抱えたまま。先日、スピード出世した十両の矢後を相手に、13番で10勝して出場の可能性も残しているものの、体調については「まあまあ」とコメントしているだけで、出場については明言を避けている様子。
白鵬については、稽古総見で顔を見せただけで終わったところをみると、休場の意向とみられる。最悪だと横綱で出場するのは日馬富士だけになることも。
大関の照ノ富士と豪栄道は今場所はカド番。負け越すと大関の座からスベリ落ちることになり、目いっぱいの勝負がけか。豪栄道は、カド番脱出へ稽古も意欲的で、大関・高安と「互角以上」の稽古をしており体調もよさそう。高安も優勝を狙っているはずだ。
大関2人は「2度目の優勝」ねらう
豪栄道は昨年秋場所では、カド番での全勝優勝を飾るという史上初の快挙をなしとげており、「2度目の優勝」を狙うのでは。
照ノ富士もケガで先場所は不本意な成績に終わったが、平成27年に関脇で初優勝している。今年3月場所では、横綱・稀勢の里と13勝2敗同士の優勝決定戦で敗れて、2度目の優勝を逃している。
体調がほぼ万全であれば、カド番の豪栄道、照ノ富士にも「2度目の優勝」チャンスもある。
もちろん、日馬富士が相撲が十分に取れる体調であれば、優勝候補の筆頭だろう。
相撲の場合、ケガすればどんな強い横綱でも負けが込む。そして休場もあり得る。混戦の時の大相撲は本当に予想がむずかしい。
過去10年の優勝者の勝敗内訳
全勝優勝 16回
14勝1敗 27回
13勝2敗 11回
12勝3敗 4回
11勝以下の優勝なし
注 平成19年9月場所~平成29年7月場所まで
平成23年の3月、5月場所は中止のため除く
上の表でもわかるように、全勝優勝あるいは14勝1敗での優勝パターンが大半である。ただ、白鵬1強の時代によるもので、混戦となれば13勝あるいは12勝での優勝も多くなるはず。今場所はそのパターンになるのだろうか。
いずれにしても、優勝するためには白星を連続して重ねなければならない。少なくとも7連勝以上を15日間の中で達成しなければ優勝争いには加われない。伸びしろのある平成生まれの20代前半の力士にもわずかにチャンスは残されている。
最近1年で7連勝以上達成した幕内上位力士
▽15連勝 横綱・白鵬 優勝 29年5月場所
15連勝 大関・豪栄道 優勝 28年9月
▽12連勝 横綱・稀勢の里 優勝 29年3月
▽11連勝 大関・照ノ富士 29年5月
▽10連勝 横綱・白鵬 優勝 29年7月
横綱・日馬富士 29年5月
横綱・鶴竜 優勝 28年11月
横綱・日馬富士 28年11月
関脇・高安 29年3月
▽8連勝 大関・稀勢の里 優勝 29年1月
大関・照ノ富士 29年3月
▽7連勝 横綱・白鵬 29年1月
横綱・日馬富士 28年9月
大関・稀勢の里 28年9月
大関・高安 29年7月
大関・照ノ富士 28年11月
注 年号は平成。対象は 前頭3枚目以上。不戦勝含む