投・打・守で堅実な菅生が試合をつくる

 

夏の高校野球・西東京大会の決勝戦が神宮球場で行われ、東海大菅生が6-2で早稲田実を下し、優勝した。早実の清宮は1安打のみで本塁打は出ず、高校通算最多本塁打の記録更新はならなかった。また、甲子園出場もならず、清宮の夏"は終わった。しかし、これからの本格的な野球人生をスタートするための、終わりにすぎない。悔し涙にもスター性があった。

 

西東京大会の下馬評では、早実と日大三の2強による決勝戦と予想されていたが、東海大菅生の投手力の総合力も侮れない存在として注目されていて、実質的には三つ巴の戦いでもあった。

 

若林監督、「甲子園では堂々と戦う」

 

東海大菅生の若林弘泰監督は、優勝インタービューで「2強と言われていた早実と日大三を倒したので、甲子園では堂々と戦いたい」と自信と意欲を語った。

 

早実には、2年前に5-0とリードしていたのに、8回に8点の大量点を奪われ、逆転負けして甲子園の道を絶たれたという苦い経験をしている。今回はそのときの雪辱を見事に果たしたことになる。

 

また、主将の小玉佳吾内野手もインタビューに答えて、「昨年秋から全国制覇を目指してやってきました。甲子園でも一戦一勝でやっていきたい」と力強く抱負を述べた。

 

  ▼ 抱き合って喜びあう優勝した東海大菅生の選手たち

 

▼応援席に挨拶をしてくやしさを秘める早実ナイン

▼外野席も満員の神宮球場、入場者数は3万人

▼到着したらすでに入場券は売り切れ

 

■観戦記余談■

奇跡が起きて、球場に入れました

 

朝、起きたら外は雨だった。東京は曇りらしい。神宮の決勝戦は「開催の予定」という。

午後1時からの試合開始なので、2時間前に家を出た。バス、特急電車、山手線、銀座線を乗り換えて徒歩10分足らずで球場に。

 

ところが、球場に向かって歩いていると、かなりの数の人たちが、地下鉄の駅の方に向かってくる。そして、「入場券はないよ。売り切れだって」と言うではないか。まさか、と思ったが、今日は決勝戦、しかも日曜日だ。「ああ、やっちまったな」と反省しながらもなぜか球場に足が向かっている。

 

入場券が売り切れていたからこそ、みなさんは仕方なく帰路についているのに、駅から出てきた人はだれもUターンする気配はない。すぐ近くまで来ているのだから、あきらめるわけにはいかないのだ。

 

球場の入り口に立ったら、「入場券完売」のプレートが目に飛び込んできた。「やっぱりかあ」と思いながら立ち尽くすこと5分。係員に「テレビ放映を視れる場所はないですか」と聞くと、「ないですね」ときっぱり。

 

それでも球場内の歓声や応援などを聞きながら、球場の外側をほぼ一周したところで、奇跡が起きた。

 

「完売」を知らせるプレートをデジカメで撮っていたら、40歳前後の奥様から、「入場券はありますか?」と尋ねられた。「いや、もう売り切れたみたいですよ」と教えてあげた。すると「これ、使ってください」とおっしゃるではないか。

 

どうもご主人は球場のなかにいて、奥様は子供さん(成人娘さん?)を待っていたのだが、来れなくなったので自分も帰るということらしい。お金を払おうとしたら「いいんです」。丁重にお礼を言って入場口に進んだのである。あと1枚の入場券も男性に分けていた。もちろんその男性も大喜びだった。

 

こんな幸運に遭遇したのは初めてのことだ。というわけで、本当ならば球場に入れず、ガッカリして帰っていたはずなのに、いやあこんなこともあるんですね。運が良すぎて申し訳ありません。

 

東海大菅生優勝おめでとう。早実、・清宮選手楽しませてもらってありがとう。そして、奥様入場券分けてもらってありがとう。