終わってみれば、予想通りに横綱・白鵬の優勝だった。

 

大相撲名古屋場所千秋楽は、白鵬と日馬富士の横綱同士の1分を超える力相撲の末、寄り倒しで白鵬が日馬富士を下し、14勝1敗で自分の持つ史上最多記録を更新する39度目の優勝を飾った。また、通算勝利数の最多記録を1050に伸ばした。

 

大波乱の幕開けも、優勝はやっぱり白鵬

 

初日に2横綱、3大関が敗れる大波乱の幕開けとなった7月名古屋場所。さらに、前半に横綱鶴竜、横綱稀勢の里、大関照ノ富士が休場するという非常事態となった。このため、初日から10連勝でトップを走る白鵬の優勝の可能性はグンと高まり、結果的にもそうなった。

 

期待された新大関の高安は、初日に敗れたものの2日目から7連勝。白鵬を脅かす存在になると思われたが、中日(なかび)から攻めのリズムがもうひとつで、黒星が多くなり、優勝争いに加われずに10勝5敗。体調に問題がなければ、もっと勝ち星を上積みできるはずだが・・。

 

新世代も着実に実力をつけている

 

平成生まれの新世代にも注目が集まっていた。そのなかでも、新関脇の御嶽海は前に出る相撲で9勝6敗とまずまずの成績。11日目に横綱白鵬に土をつけ殊勲賞を受賞。千秋楽では成長株の阿武咲を一方的に押し出す、いい相撲を見せた。阿武咲は新入幕で2場所連続2ケタの勝利を挙げている21歳の有望力士で、来場所は横綱・大関と対戦する番付まで上がってくるだろう。

 

注目力士のひとり北勝富士も8勝7敗と健闘した。横綱・大関と対戦する前頭2枚目での勝ち越しは地力のある証拠で来場所は三役を狙える力がある。

 

宇良の7勝8敗は大健闘

 

さらに人気急上昇の宇良。結果は7勝8敗と負け越したけれど、2つの不運がなければ10勝もあったのでは、と思う。ひとつ目の不運は横綱、大関陣に3人の休場者が出たこと。普通、前頭4枚目の番付の場合、よほど勝ち星が先行しなければ横綱などと対戦することはないからだ。休場者が多かったために、横綱2人、大関2人との対戦を組まれたというわけ。それでも横綱・日馬富士には勝って初金星を挙げている。勝利インタビューであまりのうれしさに涙を流した表情は子どものようなかわいさで、さらに女性ファンを増やしたのではないだろうか。

 

もうひとつの不運は、10日目の高安戦で右足膝を痛めたことだ。その後、5連敗。しかし千秋楽では、痛みをこらえながらも千代の国に勝ち7勝8敗と踏ん張った。負け越したけれど宇良も上位でも戦えることを証明した。

 

20歳の貴景勝とわが故郷の出身力士である正代は、ともに5勝10敗と負け越したとはいえ、勝ち越すのが簡単ではない前頭上位での5勝は当たり前。ほとんどの力士が一度は足踏みする番付なので悲観する必要はない。

 

どんな実力のある力士でもケガは致命傷になる、と改めて実感した名古屋場所でしたー。