7月21日(金)、神宮球場で早稲田実と法政、日大三と総合工科の2試合があり、優勝候補の早実と日大三がともに勝ち、ベスト8に駒を進めた。しかし、その勝ち方は早実が5-0の完勝

、一方の日大三は3-2の逆転辛勝だった。強力なライバルが出そろう順々決勝からの波乱もあるのだろうか。

 

注目されている早実の清宮は、この夏の大会で3試合連続の本塁打を放ち、高校通算最多本塁打記録にあと1本と迫った。

 

<1試合目> 5-0 早実の新エース、雪山が9回5安打完封

 

うだるような猛暑のなかで、西東京大会のサバイバルゲームの火ぶたが切られた。

 

この夏の大会初めての神宮の舞台に登場したのは、早実と法政だ。早実の新エース・雪山は安定した投球で、法政に得点を与えず、9回を5安打に抑え完封勝利。この大会では3試合に投げて失点は2点だけ。捕手から投手に転向した2年生で期待のエース。試合を重ねるごとに成長を見せている。

 

同じ2年生の4番打者・野村捕手との相性もいいのか、強力なバッテリーとの評価も高まっている。「早実は投手力が弱点」という巷の評判を払拭しつつある。

 

清宮、3戦連続の本塁打、高校通算最多に王手!

 

打線は3回表に右中間スタンドに運ぶ先制ソロの高校通算106号を放ち、最多記録に王手をかけた。9回表の5打席目では、あと1本をねらっているかのようなスイングの空振りもあった。「清宮は狙ってるぞ!」と観客席からの声援も。結果は右翼線に落ちる3塁打で、ダメ押しとも言える2打点を稼いだ。7月25日(神宮)の順々決勝での達成に大きな関心が集まるだろう。

 

<2試合目> 3-2 日大三の櫻井、投打で勝利を呼び込む

 

2試合目の日大三と総合工科は、意外な展開から始まった。まず総合工科が長身の素質抜群との評価のある金成(かなり)投手から3安打で2点を先取した。スピードはあるものの、コントロールがもうひとつで、ストライクゾーンの球をうまく当てられた形だ。この2点はセンター櫻井が飛球をグラブに当てたものの、落球したために失点したもの。記録は3塁打となったが、ミス(エラー)との見方もある。

 

4回までは総合工科が優位にゲームを運び、日大三の巨力打線も爆発せずに、「まさか?」という展開に。このままゲームが流れて、総合工科に追加点が入れば、「まさか」の事態が起きそうな雰囲気だった。

 

ミスを取り戻す!気合十分でマウンドに

 

5回1死から温存していたエース櫻井投手がマウンドにあがった。それまで3番で外野を守っていたのだが、これ以上の点差を広げられてはまずい、という判断だったのだろう。櫻井本人も1回の落球ミスを取り戻そうと、気合十分で、3、4番打者を連続三振に打ち取った。

 

そして5回裏、日大三の攻撃。まず、ノーアウトから9番打者がヒットで塁に出ると、1番打者がバントで2塁に送った。2番打者はライトフライに倒れたが、1死2塁で3番・櫻井投手がバッターボックスにはいり、3塁打を放って1点を返す。

 

最後に無安打で逆転の離れ業

 

3番・櫻井投手の好投、長打をきっかけにゲームの流れは日大三へ。7回にも1点を奪取して、ついに同点にする。、8回には櫻井が外野エラーで出塁、1死3塁で5番・日置選手がスクイズを決めて、櫻井が生還した。この回は、なんと無安打で1点、しかも逆転という離れ業を見せた。

 日大三にとっては、かつてない苦しい試合になった。トップレベルの高校でもこんな勝ち方もあるのか。決勝戦もまたドラマを見たい。