【S D C 比較編】


四国88カ所お遍路とエル カミーノ

本来比較するものでもないかもしれないが、姉妹巡礼協定を結んだ間柄でもあるようだし、これら二つの巡礼路二つを踏破した人もそう多くないはずなので、経験を元に比べてみた。


まず、幾つかの項目に分けます。


【道そのもの】


-距離: 


お遍路 約1200km 

(別格もいくと1400km)


カミーノ: 幾つかの巡礼路があるが、

人気があるのは

カミーノ フランセ 約800km

( 100km以上あるけば巡礼証明書はもらえる。)


-路面


お遍路: 80%がアスファルト。

厳しい遍路道は限られる


カミーノ: 80%以上が舗装されていない道

砂地、荒地、岩場の昔からの巡礼路をいく


-勾配等


お遍路の方が角度がきついところがある。

お遍路の方が坂自体が偽木の階段になっているところがあり上りがきつい。

お遍路のほうが車道をいくことが多いので、車にひかれないように常に注意が必要(端に寄る等)

トンネルの数もお遍路の方が多く、排ガス対策が必要。

お遍路のほうが国道や県道を行く場合が多いので、路肩のお店で食事をしたり物を買い足したりがしやすい。


カミーノのほうが、途中なにもない荒野地帯があり、補給や休憩に注意が必要なところがある。

カミーノのほうが岩場、石場の路面を行く場合が多く、ソールの薄い靴ならかなり痛いと思われる。

カミーノのほうが、舗装路がすくないので、雨の時には粘土質でソールにくっついてくる土地もある。雨等の影響で大きく歩きやすさが変わりやすい。

カミーノのほうが町を通ることが少なく、当然だが、コンビニはないので、物資補給には注意が必要


【食事】


道路脇をいく、お遍路のほうが

道中いろいろなチョイスがある。

定食屋、うどん、そば、健康ランドのフードコート、門前町の食事処、そしてコンビニ。

そして何と言っても遍路宿のご飯。これでもか!というほどの量のところが多い。そしてお接待でおにぎりを持してくれたりするところも。

朝ごはんも旅館の朝食並みにでてくる。お代わりもできるのでたくさん食べられる。

香川はうどん、鳥肉、高地はカツオ、清水鯖、愛媛はミカン等ご当地ものも多くたべられる、グルメな旅感がある。


スペインのド田舎をいくカミーノの方が、どちらかといえばバリエーションは少ない。昼はボカディージョなるスペイン風のサンドイッチか巡礼者メニューのメヌーデルペレグリーノ。どちらも巡礼中はあまり変わらないものばかりのワンパターンなので飽きがち。

夜は宿によっては自炊ができるが、材料もパスタ等かぎられるので、必然的にカルボナーラ、トルティーヤ、ポモドーロ等になってくる。

朝もクロワッサン、ビスケット等なので小麦粉率が非常にたかくなる。

これを避けるためには途中のお店でバナナやリンゴを買っておいてフルーツを食べる等しないと栄養価が偏ること必至。

途中グロサリーやスーパーは稀にあるので、そこでフルーツやビスケットを確保するとよいかも。


ただし、お遍路のほうはコンビニ食をたべると添加物のことは気になる。

カミーノのほうは地場のものばかりなので(グローバルメーカーのビスケット等食べなければ)そういうケミカル系をとることは少ないのかもしれない。


【スタンプ、御朱印】


お遍路は各お寺で御朱印帳に御朱印をもらう。(300円)


カミーノはクレデンシャルにスタンプをもらう。途中の教会、バル、コーヒーワゴン、アルベルゲ等商業施設を含む各所でもらうことができる。なかには自分でおせ、とセルフサービスになっているところがある。スタンプの印面はどこも違うオリジナルデザインである。(無料)


御朱印は07:00-17:00の間しかもらえないが、

カミーノのスタンプは24hである。

(バル等があいていれば)


【internationality】


お遍路はまだ海外での知名度がひくく、そして日本にくるまでに手間とコストがかかるからかあまり外国人をみないが、カミーノは全世界からペレグリーノがくるため、国際性に富む。

それゆえ、スペインにいながらにして英語やらスペイン語やらでいろいろな言葉で会話する、もしくはジェスチャーでコミュニケーシヨンをする。

ドミトリーで寝泊まりする日がつづくため、仲良くなったり、少し話しながらあるいたりで、2人以上で歩く人が多い。世界遺産にもなっているので、巡礼者も多く、年齢、国籍、クリスチャンか否か問わず、多種多様。

とにかく毎日多くの人と会う。

その際にブエンカミーノと声をかけ、そこから仲良くなることも。

外国人の友人ができやすいのは圧倒的にカミーノだ。


そして、毎日たくさんの人が歩いているので、人が恋しくなることはカミーノではほぼない。

お遍路だと遍路宿から遍路宿まで、一日だれにもあわないこともある。

孤独で独り言以外喋ることもないような日もあるのがお遍路。


カミーノは看板というか、矢印があり、それが導いてくれる。

お遍路は基本的にほとんどすべてが日本語でかかれているので、これも外国人にはハードルが高いかもしれない。


【コスト】


日本からカミーノに行く場合、飛行機代が最大の追加コストだろう。あとはどこからスタートするかによっても差がでるが、スタート地点までの交通費と宿泊費。

(ヨーロッパの田舎からスタートするので、本数が少なかったりすることも多い)。

現地にはいり、スタートすると宿は寄付のところもあるのし、キッチンがついていると自炊も可能(7ー10時間歩いたあとに自炊したいかどうかは別にして)、なのでかなり節約することは可能。

対してお遍路はお遍路宿(5500ー7000¥)か野宿か、で中間のドミトリーという選択肢がないので、全て遍路宿だと意外と高くつく。

中には無料かタダ同然の善根宿もあるが、何時にはいり、何時には出ると細かい規則があるところもおおいので、あまり実用的でないこともありこのでは割愛。


巡礼証明は


カミーノが1-2€(+クレデンシャルの発行に2€)

お遍路は2000円


かなり差がある。

そして御朱印も300¥/回

カミーノはスタンプは無料。

数をかさねていくと、お遍路も30000弱になるので、御朱印コストがかかる。


トータルでお遍路もカミーノも

30ー40万円(交通費含む)くらいに収まるのでは?


【難易度】10段階評価


カミーノ :100km地点からなら

(巡礼証明がもらえるという点で)

★★☆☆☆☆☆☆☆☆


カミーノフランセ(800kmくらい)なら

★★★★★★☆☆☆☆


備考:山越えを経験しないサリアからの100kmは基本的に平地のみなので楽ではあるが雨が多いエリアなので二つ星とした。

カミーノフランセはピレネー、イラゴ峠、オセブレイロを超えること、そして荒野メセタを超えること、都市も幾つか跨ぐので難易度がup。

しかし、人の多さ、お店の多さ、整備具合がよいのと、人について行くだけでゴールまでいけてしまう道の単純さ、等から迷うことはないので、その分楽ではある。

そしてゴール地点、サンティアゴは都市。

空港も高速バスも色々なオプションがあるので、達成してからが楽。

ただし日本人には外国でもあるので、言葉、お金の管理(atm)、等から難易度がプラス。


お遍路:

★★★★★★★★★☆


備考:まず、人が少なく、道も整備されていない(そこがよいところでもあるが)

舗装路をいくときにも横を車が通るので、かなりの注意が必要。トンネルも多い。山の傾斜と厳しさはこちらのほうが二つほどレベルが上。そして宿が少ないので山越えの際等、山の麓の宿が満室だったりすると、途端に行程が厳しくなる。

道案内の矢印もない区間もあり、不案内なところも多々ある。地図がないと厳しいのが実情。

海、川、山、街中、全てを楽しめるが、全ての厳しさも体験できる。そしてコストも時間もかかるので、その点からしても難易度は高い。


【注意点】


カミーノの場合、ドミトリーで寝ることが殆ど。神経質な人、寝付きの悪い人は大変かもしれない。

ノミ、ダニには注意すること。

仕切りがないシャワーもある、鍵のついてないトイレもある。

日本モードがデフォルトだと、驚くこともあるが、虫が思ったよりも少ないのがまだましか。


お遍路は季節にもよるが、蛇、虫が意外と多い。特に蜘蛛の巣にはかなり手を焼いた。台風がくることもあるので、天候には注意すること。天気予報は毎日チェック。

88番大窪寺からの帰宅方法を調べておくこと、サンティアゴと違い、山の中である。

お接待とみせかけて何かの勧誘や広告?を渡されることもある。

お遍路狩り?に注意すること。