引き続き連続で札所を打つ。
15番 国分寺



平地にある開けたお寺。

このぐらい札所間がちかいとバイク遍路、自転車遍路さん、車遍路さんたちとペースが一緒になるので、納経しているときにどちらかがおいついたりすることもある。
この日は大型バイクで”バリバリ”音を立ててお寺にアプローチしてくるバイク遍路さんが数名いたが、ハーレーやそのクラスの排気量で非常に”音を楽しむ”タイプのバイカーさんたちが白装束や遍路用品をきて参拝にくる様はマッドマックスの悪役(失礼)たちが聖地巡礼をしているようだった。

ミシュラン3つ星レストランで定食屋さんのメニュがでてくるみたいな、お寺というコンテクストに対して彼らの装いと行いと乗り物とがアンバランスなのが不思議な光景を生み出していた。

これが現代遍路なのか。

忠実に白装束に金剛杖に徒歩の遍路、マイカー遍路(しかもエコカー)、バス遍路、バイク遍路、自転車遍路、境内ではいろいろな遍路に逢う。
その装いも乗り物も違い、方法によって順路もちがう。
88ヶ寺を回るという行為は同じでも道程はまるで違う。

小中高、成人式、就職、とたどる年齢は同じでも内容は全く違う。
人生是遍路也。




16番観音寺






線路を越え、畑ばかりの中、農道を1時間弱ほど歩き…


17番井戸寺へ。



今日のファイナルを飾るにふさわしい大きなお寺だった。
今日はこれ以上は札所もなく、テンポよくきたおかげで
時間もまだ少しあるからお稲荷さんも鎮座するような境内をすこしぶらぶらする。

足の中も相当蒸れているのでベンチに座って靴、靴下もぬいで少し乾かせる。
これを15分するだけでも足の疲労、蒸れはだいぶ違う。


さて、ここからがまたロングウォークである。
井戸寺から徳島駅前の今夜の宿である某ホテルまで10数キロ。
短い路線であれば東京のメトロの端から端まで。
もしくはJRでいうなれば数駅分はゆうにあるのだ。

しかもあるくのは国道沿い。排ガスにまみれ車に注意しながらの行進となるのは
キツいのだが、これも修行かとすすんでいるとおそらくパチンコ帰り?のようなおじさんの集団が自転車で向かってくる。
酔っているのかフラフラ運転で危ないので道の端によっていなそうとすると、
2、3台目の自転車がとまり、”あんちゃん、これあげるわ!”と
ビールを一本ずつ頂いた。



難所を越えて長距離あるいたあとにビールのご褒美!


・・・と”飲む”方は最高に嬉しいかもしれないが、私は下戸…。

しょうがないので途中の神社でお供えとさせていただいた。



欧州だと昔に城壁があった経緯からかここからここが城内(城壁内)でそこからそとが城外といったふうに街の中と外というのがはっきりわかるようなエリアというかボーダーがあることがおおいが、このあたりではそうではなく、徐々に看板や標識がふえ、街っぽくなってくる。

途中、パン屋さんに寄り、パンを買い店の外にでるなりほうばった。
カスタードとバターがあと数キロを進むパワーになる。

徐々に”夕”の気配がしてくる中、最後の遍路転がしが待ち受ける。
歩道橋だ。

普段なら何の問題もなくスタスタあがれるこの橋も、足の腿、脹脛、つま先、爪、がガッタガタになっている今は顔を歪めさせられるトラップにみえる。
山道と違って人工物でできた冷えて固いものを足裏に感じながらその段をクリアする。
陸橋を渡りながらみえた景色は山の上からのそれとちがってとても無機質で冷えた感じがした。