上野ひろしです。


本日、「共生社会・地域活性化に関する調査会」が開催され、末松義規・復興副大臣に対して質問を行うとともに、「活力ある共生・共助の地域社会・まちづくり」という本年のテーマについて、意見表明を行わせていただきました。



上野ひろし(参議院議員)オフィシャルブログ

△本日は、末松復興副大臣はじめ政府関係者に対する質疑



以前 にもご説明させていただきましたが、この「調査会」は参議院独自の制度で、予算委員会、国土交通委員会などの他の委員会と同様に毎回質疑を行いますが、その主な対象は(他委員会のように政治家ではなく)各分野の専門家の方々で、参議院選挙の間隔(半数ごとの改選期)である3年間にわたって同一の課題について審議を進め、対応方針を取りまとめるものです。


2年目となる今通常国会における審議は、基本的には本日で終了となりますが、引き続き、関係者も含めて議論と検討を進め、今後の調査に備えたいと思います。


なお、正式な議事録は、後日参議院のホームページで公開されますが、私の意見表明の要旨について下記のとおり御紹介させていただきます。



上野ひろし(参議院議員)オフィシャルブログ

△他の委員会と異なり、調査会での質問は着席で行う



○共生社会・地域活性化調査会における意見表明


 これまでの本調査会における参考人の先生方からの御説明、また質疑等を踏まえ、「活力ある共生・共助の地域社会・まちづくり」について、意見を申し述べさせていただきたいと思います。


 まず第一に、地域におけるコミュニティ、人と人とのネットワークの維持・強化についてであります。

 今回のテーマは「共生・共助の地域社会・まちづくり」でありますが、本来、日本の地域社会には、多様性を受け入れたり、弱者をコミュニティ全体で支えていったりするというような性格が備わっていたのではないかと思います。

 そもそもは地縁、血縁といったもの、また、様々な歴史的な経緯などがあり、こういった地域社会が形成されてきたものと考えますが、これは2月8日の大阪大学大学院教授・山内参考人からのソーシャルキャピタルに関する意見陳述にもあったように、それぞれの地域の強みであり、また我が国の強みでもありました。

 それが近年、社会構造の変化で失われつつあり、また、昨年の東日本大震災の結果、特に被災地においては人口の減少や住居の移転などによる地域社会の変質や崩壊が生じてきております。一方で、震災の発生に伴い、我々は改めて地域の助け合い、支えあいの重要性を強く認識したところでもあります。

 もとより、こういった地域社会の形成やその維持・強化は、それぞれの地域による自発的な取り組みによるべきものではありますが、国としても、地方自治体、自治会・町内会などの地縁組織、その他の地域の団体による活動などを支援すること、また活動しやすい環境を整備することが必要であると考えます。

 さらに、被災地においては、仮設住宅の新設や運営、新たなまちづくりなどに当たり、円滑な地域社会の形成に配慮を行うことが必要であると思います。


 第二に、国、地方自治体、NPO・民間等の適切な役割分担であります。

 東日本大震災からの復旧・復興を含め、今後の我が国の地域の活性化のためには、今申し上げたような主体がそれぞれの特性を踏まえて役割分担を適切に行っていく必要があると考えます。

 その具体的な分担については、対象分野や個々の地域の事情により、一律に定められるものではありませんが、国が過度に関与することなく、地域の事情を十分に把握しているその地域の主体による取組が尊重されるべきであり、さらには、民間でできる分野については、民間の方々の能力が十分に活用されるよう措置すべきものと考えます。

 また、2月15日のNPOカタリバ・今村参考人や、2月22日の多摩ニュータウン・まちづくり専門家会議・戸辺参考人の意見陳述にあったように、国・地方公共団体とNPO・民間とが連携し、公的部門以外の地域の専門家を活用することで、より現場のニーズに対応した行政サービスが提供できるようになることも考えられます。


 第三に、地域経済の活性化であります。

 経済が衰退することにより、地域の人口が減少し、また高齢化が進むことで、地域コミュニティの脆弱化・崩壊が進むことを食い止めるためにも、地域に多くの方々が定住し、積極的に地域活動を行うことができるだけの経済基盤を確保することが重要であります。

 まず商店街の再生、活性化についてであります。

 各地域では中心市街地の空洞化が進んでおり、また、被災地においては、ようやく仮設店舗が開設された状況のところもあります。商店街の営みは、単に商品の売買、ビジネスにとどまらず、いわゆる「買い物難民」を含む地域住民の方々の生活の基盤であり、また、地域コミュニティを支える重要な役割も有しております。

 被災地のこれからのまちづくりにおいても、また全国の商店街の活性化のためにも、必要な規制緩和や予算面での措置を含め適切な支援を行っていくべきであると思います。

 また、地域の特性を生かし、その地域の資源を活用した経済活性化も重要であります。

 2月15日の飯田市長・牧野参考人の意見陳述にあったように、地域の産業づくり、また、地方において大変重要な産業である観光産業においても、その地域の伝統や文化に根差した、地域に特徴的な資源を活用していくことが効果的であると思います。

 さらには、東京電力福島第一原発の事故等を受け、エネルギーの需給逼迫が懸念される現状において、新エネルギー、省エネルギーに関連する産業の育成が重要となってきております。これも、牧野参考人の発言にあったように、地域の特性を生かした小水力、太陽光発電等を活用した新エネルギーの利用拡大を図っていくこと、また、国としてもそれを適切に支援していくことが地域経済のためにも重要であると考えます。


 これまでの本調査会における議論も踏まえ、全国それぞれの地域における共生・共助の地域社会・まちづくりのためにも、また、一日も早く被災地の方々が東日本大震災発生前の生活や経済活動を取り戻し、さらには震災前よりも強く活力ある地域をつくり出す観点からも、国としてしっかりとした取り組みを行うべきことを申し上げ、私の発言を終わります。