リュウチェル 
 止められなかった自殺

 リュウチェルが、私より先に自殺した。
 同志だと思っていた存在に先立たれた。
 
 いつ死んでもおかしくないと思っていた。それは私も同じだ。
 自分らしく生きることを選択したとき、それを潰そうとする圧倒的な多数の前で、
自分を貫くことは、あまりにしんどすぎる。
 そして、嘘をつくことができない限り、心に負荷を背負いすぎる。
 
 それでも、相談さえくしてくれれば、共に生きようと、支え合うことができた、と私は信じている。その関係性を築けなかったことが、君を自殺に追い込んだ。
 
 たかだか、1kmほどのところにいたのに。

 結婚すると言ったとき、やめておきな、と伝えたかった。今の社会制度の中で、自分らしくは生きられない。制度を変えない限りは、私たちは、幸せになど、生きられない。制度を変えること、制度が変わっていく様を楽しむことが、幸せだと、考え方を変えない限り、私たちは生きていけない。
 
 君がやりたいと思っていたことは、理解している。
 残されたものが、その想いを引き継いで、少しでもその実現のために、変革を志すよりない。これが、残されたものの、役目と信じて。