こんにちは、上田ゼミ二回生の安藤です。
現在アメリカのThe University of Montanaに1年留学中で、こちらから近況報告をしたいと思います。
他にも、イギリス、フィリピンへ留学中のゼミ生がいます。

ゼミの印象としては、ゼミ生皆海外志向が強く、強い芯を持っているなと日々刺激を受けていました。皆は今、タイ研修旅行でしょうか。
きっと、次期ゼミ生の皆さんも素敵な仲間達に出逢えるはずです。

体験記が何らかの形で皆さんのお役に立てればと思い、留学している私達はこのように時々、お写真も交えて近況をお届けしようと思っています。

ここアメリカモンタナ州は、”Big Sky Country”という愛称の通り、空気がとても澄んでいてキャンパス内ではリスをよく見かけますし、運が良ければシカも見られます。
お昼は青空が広がり、夜は星が鮮明に見える自然豊かで美しい所です。
近くにDowntownもあり、モールでお買い物、レストランでお食事もできます。
写真は二枚とも、キャンパス内で撮ったものです。
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後ろに見える山は大学が持っているもので、Mと呼ばれています。
アメリカでは大学のイニシャルを山に書くのが主流のようです。
よく学生がハイキングをしに登っているのを目にします。
まだうっすらと雪のかかる日があるので、暖かくなったら私も登りに行きます!

自然と平和を愛し、落ち着いた場所で勉強したいという方には適した場所です。
今後は大学でのacademic classやactivityなどについてもご報告できたらなと思います。

ご一読頂きありがとうございました。
Have a nice day!

上田です。久々のブログ更新です。


昨日は、就職活動中の3回生のゼミ生3人と、偶然会いました。皆さん、リクルートスーツ姿で頑張っている様子。精神的につらいこともあるかと思いますが、何とか乗り切ってほしいと願っています。


3月1日に『日刊タイビジネス』に掲載されたエッセイを、許可を得て転載します。


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タイが日本企業を必要とする理由

日中関係が悪化する中で、投資先として、改めてタイに注目する日本企業が増加していると聞く。この状況を受けて、タイ経済を観察してきた一研究者として、日本企業にとってのタイの可能性について考えるようになった。


私見をまとめるならば、「タイは日本企業を依然として必要としている。従って、タイは今後もしばらくは、日本企業にとって有望な投資相手国であり続けるだろう」ということになる。以下、タイが日本企業を必要としている理由を述べたい。



 まず、これまでのタイの経済成長モデル、つまり「低賃金の労働力に依存し、輸出で外貨を稼ぎ工業化を進める」という戦略が限界に達しているという点を指摘したい。


 タイが低賃金の労働力が豊富な国から卒業しつつあるということは、現地の日系企業の中にも、タイ政府からの許可を得て外国人労働力の導入を始めた企業がみられることからもわかる。


 タイがこれから目指しているのは、第一に「産業の高度化」であり、第二に所得格差や法の下での不平等を是正するために必要な「中間層の形成」であろう。そして、この二つの目標達成のために、現在のタイは、依然として日本企業の力を必要としているというのが、私の考えである。



 タイは、日本企業による直接投資に依存しながら経済成長を実現するという戦略を1960年代から現在に至るまでの約50年間、採用し続けてきた国といってよい。そして現在のタイ国民が望んでいるのは、経済的に豊かになることである。赤シャツ・黄色シャツと政治的立場は異にしても、経済的な豊かさを追求しているという点で、彼らは一致している。

  

これまで、日本資本に依存しつつ経済成長してきた国が、短期間で、そこからの脱却を図るのは容易なことではない。そうであるならば、これまで50年間かけて、信頼関係を築いてきた日本企業をさらに誘致し、利用することが、タイにとって、「経済的な豊かさ」を達成する一番の近道であるに違いないのである。さらに産業構造の高度化を求める現在のタイが、高い技術力を有する日本企業の力を一層必要としていると考えるのは自然なことであろう。



 したがって、日本企業の存在はタイにおいて、尊重され続けるであろう。今後、タイが政治的な混乱に陥る可能性を否定することはできないが、そのような事態が生じたとしても、日本企業は攻撃の対象となることはないと思われる。

 

この点は、2010年、赤シャツ派が抗議運動を激化させていった際も、日本企業に被害はなかったという事実からも確認できる。つまり、赤シャツ派も含めた幅広い階層のタイ人が、「日本企業・日本人のおかげで、タイが豊かになった」ということを認識しているが故に、日本企業は守られたのである。この50年間で、日本人は、タイ人の信頼を得ることに成功したと言ってよいだろう。



さらに、タイは中国のような大国ではない。つまり、ベトナム、インドネシア、そしてミャンマーなどと競合しながら、当面は外資の誘致を進める他に豊かさを追求する手段はなく、日本企業を大切にする姿勢を崩すことはないであろう。



これまでのところ、タイの投資環境は、インフラ整備や日本企業の集積という点で、これらの国々と比べると抜きんでて良好である。低賃金の労働力という点では競争力を失いつつあるが、それを補うだけの強みを今のところ、タイは保持している。


特に、4000社とも7000社ともいわれる日系企業の存在により、日系企業同士での取引が可能となり、海外での経験に乏しい日本の中小企業にとっても、ビジネスのやりやすい環境となっている。



 ところが、良く整備されたインフラという現在のタイの強みは、やがて、消滅するかもしれない。安倍総理が、就任後、初の外国訪問としてベトナム・タイ・インドネシアを公式訪問した。訪問国選定に当たり、外交面のみならず、日本企業の進出先としての重要性が考慮されたに違いない。また、ミャンマーに対するODA(政府開発援助)も再開された。従って、今後は日本政府が、ODAを通じて、ベトナム・インドネシア・ミャンマーのインフラ整備に力を入れていくことが予想される。



そこで、タイが急がなければならないのは、人材育成である。冒頭で述べた産業の高度化を進展させ、中間層を形成するには、人的資本の形成が不可欠である。この点を考慮するならば、日本の製造業のみならず、サービス業にとっても、タイはまだまだビジネスの可能性が広がる国なのではなかろうか。



ASEANの中でも日本企業にとって特別な存在となったタイ。この国との信頼関係を大切にすべきであることを、一研究者として、今後も発信し続けていきたいと思っている。

上田です。

久々の投稿になりました。


2012年11月30日の『日刊タイビジネス』に掲載されたエッセイを、許可を得て転載します。


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世界銀行の統計を眺めていて、ある発見をした。それは、タイの一人当たり所得(GNI:国民総所得、米ドル換算)が、中国に追い抜かれたということである。



2010年のデータによると、タイは4,150ドル、片や中国は4,270ドル。わずかではあるが中国の一人当たり所得がタイよりも高くなった。2009年までは、タイの所得が中国を上回っていたので、米ドル換算の一人当たりGNIを指標にとれば、2010年をもって、中国はタイを追い越したことになる。


ただし、購買力平価で換算した一人当たりGNI(2010年)は、タイが8,190ドルと7,640ドルの中国よりも高い。従って、タイ・バーツと人民元の現地での購買力を基準にする場合は、タイ人の方が中国人よりも依然として豊かな生活をしていることに変わりはない。



 いずれにしても、中国の一人当たり所得は、驚く程早いスピードで上昇してきた。世界銀行のデータがそれを裏付けてくれる。世界銀行は一人当たりGNI(米ドル換算)を基準にして、世界の国々を4グループに分類している。所得水準の低いグループから、低所得経済、低位中所得経済、高位中所得経済、高所得経済という分類である。2010年に、タイと中国は共に低位中所得(1,006-3,975ドル)から高位中所得(3,976-12,275ドル)へ移行した。



古いデータをさかのぼってみると、タイは、1976年の時点ですでに中所得(現在の低位中所得に相当する)国として分類されている。中国の場合、1980年において、低所得のグループに分類されていることが確認できる。



従って、今から30数年前においては、タイは低位中所得まで経済成長を達成した国、片や中国は最も貧しい国のグループの一国と位置付けられていたのである。

しかしながら両国は、2010年に同時に、低位中所得を卒業し、高位中所得への仲間入りを果たした。つまり、両国がこの所得水準の階段を上るのに要した年数は大きく異なっている。データの制約はあるものの、タイは、少なくとも35年以上を費やして低位中所得から高位中所得へゆっくりと移行した。


他方、1999年に低所得から低位中所得へ移行した中国は、2010年に高位中所得の仲間入りを果たしている。タイが35年以上かけて上った階段を、中国は、わずか11年で駆け上がったことになる。



短期間のうちに、急速に成長する「圧縮型」の経済成長は、果たして良いことだろうか。経済成長に伴って、それに見合った制度や組織を整備し形成することは持続的な成長のために必須の条件である。


しかし、制度や組織は時として硬直的であり、その改革には長い年数を要する場合もある。経済成長に必要な改革の実施が遅れる場合、様々な問題が短期間のうちに「圧縮」されて生じる結果となる。その国が、「圧縮」されて噴出する混乱を克服できない場合、経済成長や経済発展そのものが頓挫する可能性も指摘できよう。



今日の中国において、現状に不満を持つ国民が多く、それが種々の抗議運動という形をとって頻発していることはよく知られている。The Wall Street Journalは、清華大学のある教授の研究を引用し、2010年の中国においては、18万件もの抗議運動、暴動、その他の集団行為が発生したと報道している。


昨今の反日運動についても、国民の不満を解消する一つの手段として、中国政府が最初は「黙認」したという点も、よく知られるところである。



タイに目を転じると、2006年のクーデタでタックシンが追放されて6年が過ぎようとしている。タックシンが首相に就任した2001年を起点にとるならば、彼の登場によって既存の政治体制が揺れ動き始めて、すでに10年以上が経過したことになる。それにもかかわらず未だに、タイの政治が今後どのように展開するのか、予測するのが困難な状況が続いている。



しかし、ゆっくりとした歩みで経済成長の階段を上ってきたタイは、政治の改革にもじっくりと時間をかけて取り組むのがふさわしいのかもしれない。そう考えれば、この歯がゆいような政治の現状は、むしろタイの健全性を表していることになる。それを突き詰めると、タイの政治体制は、大きな振動があっても、それに耐えられるだけの強靭性をもちあわせているとも考えられるのである。



一人当たり所得が中国に追い越されたという、衝撃的な事実も余裕を持って受け止められるのが、タイの良いところである。経済統計の数字とは、実にいろいろなことを教えてくれるものである。