決算業務にあたって経理に必要なスキルとは?
渋谷区 恵比寿 の 税理士 上田智雄です。
経理という仕事は、10年後に無くなると言われる職業のランキングにおいて常に上位にあります。それは経理処理という作業の多くがITで代替することが可能だということを表しています。その一方で、人でしかできない経理のお仕事というのがあります。とくに決算業務においてはそれが顕著に表れるタイミングがあり、そのお仕事をこなすための3つスキルについてお伝えします。
想像力
経理の数字のすべては人の行動が源泉になっています。そして、その人の行動の背後には「人の営み」が存在します。
たとえば、仕入の金額がやたらと少ないことに気づくことがあります。その時に帳簿を見ながら想像力を働かせることになります。「取引先のA社はしょっちゅう出入りしているし、お仕事たくさん依頼しているはずなのに金額が少ないな、、、」という当たりがつけらえれれば、それに基づいて調査をすることができたりするのです。
コロナ禍によってリモートワークが流行ってきていますが、経理は「足で稼げ」という逆説の言葉があります。実際の現場の状況を肌で感じ、想像力を発揮することで大きな勘違いを防ぐことができるのです。
人を動かす力
決算書の数字を綺麗にするには、会計の技術で多少は整えられるものの、小手先の技術では限界があります。経理の数字は人の行動が源泉なのであれば、人の行動を変えなければ本当の意味で綺麗にはなっていきません。
たとえば、在庫が過大にあるような場合です。決算書に年商を超えるような在庫があれば、当然ながら異常値としてみられ、銀行や投資家から経営の甘さを指摘されることになります。
過剰在庫にへの対策というのは、「販売する」「廃棄する」のいずれかの選択肢になります。しかし、分かっていてもなかなか行動に移せないのが人の性というものです。「いつか売れる」「あとで何とかする」「もったいない」といった心理が働くのです。この人の心を受け止め、より人が勇気をもった行動を促せる力こそが経理にとって重要なスキルとなります。
揺るがない倫理観
お金はただの数字にすぎませんが、人はお金に対して独特の反応を見せるものです。特に「利益を多く見せたい」「利益を少なく見せたい」という反応は必然的に生じます。
利益を多く見せれれば、自分の経営能力を高く表現することができるし、外部からの資金協力も得られやすくなります。逆に利益を少なく見せれば、税金を払わなくて済むし、来期に利益を回せば楽ができるだろうし、株主への配当はもう少し儲かってからできるようになります。こういった心理は、人類が存続する限り永遠につづくし、これに向き合うことは経理の重要なテーマだと思います。
数字としっかり向きあって、現実を扱っていくことを促すことは、本当の意味で会社が強くなっていくことにつながります。経理は強い倫理観をもち、経営陣にそれを促すことで、会社を良くし、そしてそこに集まる人たちを豊かにできることができるのです。
経理は、お金の番人という存在です。テクノロジーが発達しても、人を知り、人と向きあえる経理は重要性はさらに増していくものだと思います。
YouTube番組「マネーリテラシー研究所」
やっています!
一日1クリック応援お願いします。![]()
経営に会計を生かすのがミッション!
